6 さよならの代わりに

「ありがとう…みんな…」

プリンセスは最愛の人としっかりと支え合いながら彼らに笑顔を向ける。

それは今まで見た中で



一番美しく




一番悲しい笑顔だった――――





第六話
『さよならの代わりに』





そんな残酷なほど幸福な時間が長く続くはずもなく、メタリアによる破壊のシナリオはいよいよ終局へと向かっていた。


「クイーンが銀水晶の力を全て解放してメタリアに攻撃をするまで、私達が応戦してきます。」

ヴィーナスが言う。そして彼女は他の守護戦士と目配せをしてうなずき、あるものをプリンセスに差し出す。

「ヴィーナス…これは?」

4人のカラーがキラキラと輝くダイヤモンドにも似た美しいクリスタルが並んでいるブレスレットを見て、彼女はリーダーに訊ねた。

「私達からの贈り物です。プリンセス、お忘れですか?明日はあなたの誕生日ですよ。結婚のお祝いを兼ねて…。受け取って下さい。」


王女の嬉しそうな表情はすぐに消え去る。彼女達には明日が永遠に来ないと言うことを暗に知らしめてきたから…。

プリンセスはもう何も言わず、ただ守護戦士からの贈り物を、身に付けていたパールのブレスレットと入れ換えて付ける。

そしてそれをヴィーナスの掌にそっと乗せると、4人の顔を順に見つめる

「御守りよ。持っていて?」

クシャリと泣き笑いの表情を浮かべる。

「ありがとうございます…!」

4人は涙を堪えてプリンセスに礼を述べた。


「マスター、プリンセス。次代を背負うために、今は何としても生き延びて下さい。」

クンツァイトは左腕の怪我を気付かれぬように毅然と言った。


「クンツァイト…。」


王子はあの日からいつも側にいてくれた4人を涙で滲む瞳で見つめる。


「どうか…お二人で未来を創っていって下さい。」

マーズがジェダイトと手を取り合って微笑む。

「掟など、あなた方の代で無くしてしまえばいいでしょう?」

ゾイサイトがすました顔で言う。隣ではマーキュリーがフワリと笑っていた。

「じゃあな!マスター。」

ネフライトがジュピターの肩に腕を回してウインクすると、そう言って背を向けた。
最後までそんな口のきき方をするな!と、クンツァイトに小言を投げ掛けられながら。

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