4 共に

外に出ると、二人はその変わり果てた景色に言葉を失う。

ドームの中に吹いていた風は止み、美しかった草花は焼け、柱は倒れてあちらこちらから噴煙が上がっていた。

「こんな…!」

「エンディミオン…!!」

セレニティは歯をくいしばって涙をこぼすのを耐えていた。王子にしがみつく手の力はそれに比例して強くなる。

「すまない…!君の愛する国をこんな姿にしてしまって…!!」

エンディミオンの声は震えていた。少しでも糸が切れたらその涙腺は決壊しそうだった。

破壊からは何も生まれないというのに…


なぜ



なぜこんなことをするんだ…!!





すると再び爆発音が聴こえ、二人はその方角へ走り出した。

見れば丘の下に光に包まれてそのまま倒れている兵士達の姿があった。

「お母様…お母様が銀水晶の力を解放している…!」

「クイーンが?ではあの者たちは悪しき心から解き放たれたのだろうか?」

しかし一瞬の安堵はたちまち消え失せる。


『使えぬ人形どもなどいらぬわ!!』

地鳴りのようなクインメタリアの声が聞こえたかと思えば、今までで一番の爆発が起こったのだった。


「きゃああ!!」


叫ぶセレニティを咄嗟にエンディミオンは抱きかかえて、瓦礫の陰へと身を隠す。



飛び散る噴煙と風圧が収まったころ恐る恐る目を開け、再び下を見ると、身が凍る程の戦慄を覚えた。





「兵士達が…!?」

「嘘!!」


先程まであんなにもたくさんいた兵士達の姿が跡形もなく消えて無くなってしまっていた。


「ひどい…!」


セレニティはついにその頬を涙で濡らす。


「何て事を…!化け物め…っ!!」

エンディミオンは叫んでいた。


地球の民達をこんなに一瞬で奪ってしまうなど


彼らにも家族がいた




愛する者がいた―――!!


二人は愕然とその場に膝を付く。

「くそ…!俺は…俺は何のために月へ来たんだ!
大切な地球の者たちを見殺しにしてしまった…!!これが地球の王子のすることか!!」


愛する彼の涙、苦悩を目の当たりにしたセレニティは王子の肩を支えて必死に語り掛けた。

「エンディミオン…エンディミオン聞いて?まだ終わりではないわ!」

視線を地面に落としたままの彼はそれでも顔を上げない。

「まだ生きている人たちがいるわ!その人たちを助けるの!!クンツァイト達と一緒に…!!」

「セレニティ…」

エンディミオンは真っ赤に充血した目で愛する彼女を見上げる。


「大丈夫よ。きっと!銀水晶はね、希望と再生のクリスタルなの。あの魔物を倒すことができれば、今失ってしまった多くの人々も甦らせることができるわ。
だから皆で力を合わせましょう!」

セレニティは必死だった。彼女だって辛いことには変わりない。銀水晶であの悪を倒せるかなど分からない。
けれど、愛する彼が辛そうにしているのはもっと辛い。そう思った。

「うん。そうだな…。まだ希望は…ある。」

「ええ!」






セレニティ


君は俺が守らなければとずっと思っていた


でも



本当に守られていたのは俺の方だったのかもしれないね




白く優しく包んでくれる月のような君のその温もり



俺は君がいなければここまで強くはなれなかった





行こう



最後まで希望を捨てずに




例え俺の命を無くしても



きっと最期まで君を守るから――――――

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