3 冷静と情熱の間

「何を言おうが無駄だ!!」

クンツァイトは再び強力な攻撃を放つ。
無抵抗な彼女達は激しく地面に叩き付けられた。


それでも四人の脳裏には、彼等が穏やかに自分に微笑み掛けてくれたときのことが掠めていく。



出会わなければ良かった?

知らなければ良かった?


自分がこんな状態に陥ってしまっていても



そんな風には思えない




だって貴方といることで幸せが何なのか




知ってしまったから…






守護戦士たちは虫の息で彼等が近付く気配を感じていた。




私はこのまま、愛する人に殺されるんだろうか…




これは、地球の人間を愛した罰なの…?





「戦わないのならば、そのまま死ね。」

ジェダイトは氷のような目で言う。

「ジェ…ダ…イト」

マーズは彼の顔を見ようとしたが、視界が歪んでいて、うまく見えない。
それが自分の涙のせいだということに初めて気が付く。

私はいつの間に…こんなに彼の事を強く思っていたんだろう…。



「俺たちは月の者を許さない。これ以上地球を思う通りになどさせん!」

ネフライトは怒号を飛ばした。
ジュピターは彼の足下を見る。そこにはまだ生きている花があった。彼から教わった肥料の配分で大事に育てた花。

しかしその花を今叫んだ長身の男によって踏み潰される。

その事実が彼女の胸に突き刺さった。それはどんな攻撃を受けるよりも痛かったのだ。

「やめろ…ネフライト…!」



「今こそこの星を滅ぼす時。」

ゾイサイトは静かに言い放つ。
マーキュリーは呆然と、頭の中で彼の言葉を聞き流していた。
そして、彼が月の光と言う題名で演奏していた優しいメロディーを思い出す。
あんなに美しい音楽を奏でていたあの人が…こんなことを言うなんて。きっと何かの間違い。そうよ。私、聞き違えたんだわ…。

マーキュリーはぎゅっと目をつぶって、夢なら覚めてほしいと…強く願った。




「殺す。月のクイーンも、幼いプリンセスもな!!」




しかしクンツァイトのその言葉に四人は心臓をドクリと強く波立たせ、目を覚ます。




「それだけは…させない!!」

ヴィーナスは傷だらけの体を奮い立たせて、真っ赤な目を見開いて叫ぶ。

そこには愛する男性を想う女の顔から、主を守る戦士のそれに戻った四人の姿があった。

「私たちは…プリンセスセレニティの守護戦士!」

マーキュリーは悲しみに溢れた瞳の奥に、燃えるような強い意志を宿して立ち上がる。

「例え…相手が誰であろうと…プリンセスに危害を加えようとする者は全力で止める!!」

ジュピターは両目から溢れる涙を止めることはできなかったが、迷いは無かった。

「それが…私たちの使命だから!!」

今までの思いを全て振り払ってマーズも歩みを進める。
そうしなければ到底これからしようとすることなど、できなかったからだ。




私たちには




彼女よりも大切なものなど…





ないのだから――――!!





「セーラープラネットアターーック!!!」





四戦士は今ある力を全て出し切り、放たれたその聖なる力は、四天王に直撃した。


3/3ページ
スキ