第三話 『黒魔王と王子』
『わー!つよーい!ぞおまやっつけたー!!』
『ちゃんと敵と仲間の戦い方が分かってたら倒せるんだよ。うさちゃんもきっとできるようになるよ。』
『むずかしいよーうさは、みるのが楽しいのっ』
『しょうがないなあ』
頭をポンポン優しく叩いてくれたあの男の子はだれだっけ?
「だから、何で基本は分かってんのに応用問題になると途端に駄目になるんだ!?」
「だってなんかイジワルじゃない?この問題の聞き方!やたらと長いしマワリクドイし。もっと優しく聞いてくれれば私だって答えられるもん!」
「馬鹿か。問題に意地悪も優しいもない。中学の数学なんてな、答えは一つ。決まってんの。こんなに簡単なことないだろ。」
「それは頭がいい人限定の考えなんですー!!その一つの答えが分かんないから困ってるんでしょ私は!」
そこまで言い合うと大きめの咳払いが横から聞こえてきた。図書委員のおねーさんが呆れながらも少し怖い顔で私達を見ている。
ごまかし笑いを浮かべて謝る私と憮然とした顔で背もたれに腕を組んで機嫌悪そうに背を預ける彼。
「そんなに怒んなくてもいいじゃないですかっ」
「基本は出来てる。」
「え?」
「お前どうせゲームとか好きなんだろ?」
「は?うん。弟とよくやったり帰りにゲーセン行ったり…って、何でゲーム!?馬鹿にしてます?!」
「弟か…」
どこか遠くを見つめるような優しい顔にドキリとしてしまう。
何?あ!一人っ子だから羨ましいのかな?
とか思ってたらもうさっきの顔に戻ってて問題集を指差した。
「いいか?ゲームと一緒だ。この問題の基本、公式をRPGで言ったら技とか魔法とかだとする。要するに戦いに備えた武器をお前は既に持ってるって訳。あとは、作戦に応じてその武器を使い分けていくだけ。」
「…はあ、なるほど…!」
「ほらこの問題、中ボス戦だと思ってやってみろ。こっちの基礎問題で使いまくった武器を思い出して。」
いつの間にか彼の話術、戦法にまんまと嵌まった私は導かれるままにその問題をするすると解いていった。
「で…きた…?やっつけた!!」
戦闘勝利のBGMが流れているかのような達成感に包まれながら目を輝かせる。「あんた天才ーー!!」と叫ぶと周りの痛い視線と彼の深い溜め息。
再び居心地悪くなって小さくしょげていると。
「本当に恥ずかしい奴だな、お前。天才ってなんだよ…」
憎まれ口に顔を上げれば、目を逸らして口元に手をやっている地場センパイ。
「もう!せっかく褒めたのにっ!じゃあ…ゲームオタクってことでいいですよね?」
にやっと笑って切り返すと再び俺様な態度を取り戻して見下してきた。
「ばーか。俺はわざわざお前の知的レベルまで下げてやってんだよ。」
「…っっ!あんたはいちいち嫌味しか言えないの!?」
「お前がいちいち突っかかってくるからだ。」
「じゃあどうも!ありがとうございました!あとは自分でやります!」
「どーいたしまして是非そうしてくれ。」
「さよならっ!!」
完全に沸点を越えた私が立ち上がろうとしたとき。
「お前、やればできるんだから。」
「え?」
突然優し気な声がして顔を上げる。
すると本に視線を戻している彼がそのまま言葉を続ける。
「すぐに諦めないで、今みたいにちゃんと問題と向き合えよ。」
そして器用に私の頭に手をやるとポンポンと撫でられ、そのとても穏やかな笑みにとにかく驚いて固まった。
どうしよ…なんでそんな顔して笑ってるの?嫌味な顔をどこに置いてきたのよ!二重人格?!しかも私、何でこんなに胸がバクバク鳴ってんの?
静まりなさいよ私の心臓!しっかりして!間違ってるからほんとっ!こんなやつにドキドキするとか明らかに故障よ故障!
『ちゃんと敵と仲間の戦い方が分かってたら倒せるんだよ。うさちゃんもきっとできるようになるよ。』
『むずかしいよーうさは、みるのが楽しいのっ』
『しょうがないなあ』
頭をポンポン優しく叩いてくれたあの男の子はだれだっけ?
「だから、何で基本は分かってんのに応用問題になると途端に駄目になるんだ!?」
「だってなんかイジワルじゃない?この問題の聞き方!やたらと長いしマワリクドイし。もっと優しく聞いてくれれば私だって答えられるもん!」
「馬鹿か。問題に意地悪も優しいもない。中学の数学なんてな、答えは一つ。決まってんの。こんなに簡単なことないだろ。」
「それは頭がいい人限定の考えなんですー!!その一つの答えが分かんないから困ってるんでしょ私は!」
そこまで言い合うと大きめの咳払いが横から聞こえてきた。図書委員のおねーさんが呆れながらも少し怖い顔で私達を見ている。
ごまかし笑いを浮かべて謝る私と憮然とした顔で背もたれに腕を組んで機嫌悪そうに背を預ける彼。
「そんなに怒んなくてもいいじゃないですかっ」
「基本は出来てる。」
「え?」
「お前どうせゲームとか好きなんだろ?」
「は?うん。弟とよくやったり帰りにゲーセン行ったり…って、何でゲーム!?馬鹿にしてます?!」
「弟か…」
どこか遠くを見つめるような優しい顔にドキリとしてしまう。
何?あ!一人っ子だから羨ましいのかな?
とか思ってたらもうさっきの顔に戻ってて問題集を指差した。
「いいか?ゲームと一緒だ。この問題の基本、公式をRPGで言ったら技とか魔法とかだとする。要するに戦いに備えた武器をお前は既に持ってるって訳。あとは、作戦に応じてその武器を使い分けていくだけ。」
「…はあ、なるほど…!」
「ほらこの問題、中ボス戦だと思ってやってみろ。こっちの基礎問題で使いまくった武器を思い出して。」
いつの間にか彼の話術、戦法にまんまと嵌まった私は導かれるままにその問題をするすると解いていった。
「で…きた…?やっつけた!!」
戦闘勝利のBGMが流れているかのような達成感に包まれながら目を輝かせる。「あんた天才ーー!!」と叫ぶと周りの痛い視線と彼の深い溜め息。
再び居心地悪くなって小さくしょげていると。
「本当に恥ずかしい奴だな、お前。天才ってなんだよ…」
憎まれ口に顔を上げれば、目を逸らして口元に手をやっている地場センパイ。
「もう!せっかく褒めたのにっ!じゃあ…ゲームオタクってことでいいですよね?」
にやっと笑って切り返すと再び俺様な態度を取り戻して見下してきた。
「ばーか。俺はわざわざお前の知的レベルまで下げてやってんだよ。」
「…っっ!あんたはいちいち嫌味しか言えないの!?」
「お前がいちいち突っかかってくるからだ。」
「じゃあどうも!ありがとうございました!あとは自分でやります!」
「どーいたしまして是非そうしてくれ。」
「さよならっ!!」
完全に沸点を越えた私が立ち上がろうとしたとき。
「お前、やればできるんだから。」
「え?」
突然優し気な声がして顔を上げる。
すると本に視線を戻している彼がそのまま言葉を続ける。
「すぐに諦めないで、今みたいにちゃんと問題と向き合えよ。」
そして器用に私の頭に手をやるとポンポンと撫でられ、そのとても穏やかな笑みにとにかく驚いて固まった。
どうしよ…なんでそんな顔して笑ってるの?嫌味な顔をどこに置いてきたのよ!二重人格?!しかも私、何でこんなに胸がバクバク鳴ってんの?
静まりなさいよ私の心臓!しっかりして!間違ってるからほんとっ!こんなやつにドキドキするとか明らかに故障よ故障!