いい夫婦の日・椿(キンクイ)
「ヴィーナス、セレニティを見なかったか?」
「あらキング。ご一緒ではなかったのですか?」
公務の合間、キングは愛しい妻を探していたのだが一向に見つからずマーキュリーに頼まれて書棚の整理をしていたヴィーナスに声をかけた。
何をどう整頓しているのか瞬時に理解した彼は手伝いながら答える。
「いや、セレニティの方が先に奥へ戻ったと思ったんだが……」
「そうでしたか。まあ私が言うのも悲しいことですが、あの『うさぎちゃん』が休憩時間に書庫に来ると思います?」
「……思わない。」
「あーーー!クイーンに言いつけちゃお♪」
「やめてくれ。」
目元を赤らめてげんなりため息を付くキングは昔と変わらない。
相変わらず衛さんの最大の弱点はうさぎなのね、とヴィーナスは思いながらクスクス笑った。
「ヴィーナス、作業は進んだかしら?」
「ま、マーキュリー!もちろんよ!」
他の仕事を終えた知の戦士の登場に今度はヴィーナスが慌てる番だった。
マーキュリーはキングに美しく礼をすると、彼の心の奥を見透かすように目を細めた。
「キング、クイーンでしたら庭園でお見掛けしましたよ。」
「そ、そうか。ありがとうマーキュリー。」
持っていた本を書棚に入れて礼を言う。
「いえ。もう次のご公務までお時間が余りないのでクイーンにもお伝えくださいね。」
「ああ分かっているよ。」
涼やかに笑うマーキュリーであるが。
『イチャイチャしている時間はないんですから我慢してくださいね』という彼女の心の声が聴こえてくるので苦笑するしかないキングだった。
速足で去っていくこの星の王を見送る二人は顔を見合わせて笑う。
「キングの愛妻ぶりは困ったものね。」
「でも夫婦円満なのはいいことじゃない。」
「それはそうだけど、ほら見てヴィーナス。さっきキングが入れて下さった本。」
マーキュリーがふふっと笑って指差す先を見ると吹き出すヴィーナス。
「やあだ!逆になってるー!」
そこには背表紙が逆さになった本がちょこんと収まっていた。
「あらキング。ご一緒ではなかったのですか?」
公務の合間、キングは愛しい妻を探していたのだが一向に見つからずマーキュリーに頼まれて書棚の整理をしていたヴィーナスに声をかけた。
何をどう整頓しているのか瞬時に理解した彼は手伝いながら答える。
「いや、セレニティの方が先に奥へ戻ったと思ったんだが……」
「そうでしたか。まあ私が言うのも悲しいことですが、あの『うさぎちゃん』が休憩時間に書庫に来ると思います?」
「……思わない。」
「あーーー!クイーンに言いつけちゃお♪」
「やめてくれ。」
目元を赤らめてげんなりため息を付くキングは昔と変わらない。
相変わらず衛さんの最大の弱点はうさぎなのね、とヴィーナスは思いながらクスクス笑った。
「ヴィーナス、作業は進んだかしら?」
「ま、マーキュリー!もちろんよ!」
他の仕事を終えた知の戦士の登場に今度はヴィーナスが慌てる番だった。
マーキュリーはキングに美しく礼をすると、彼の心の奥を見透かすように目を細めた。
「キング、クイーンでしたら庭園でお見掛けしましたよ。」
「そ、そうか。ありがとうマーキュリー。」
持っていた本を書棚に入れて礼を言う。
「いえ。もう次のご公務までお時間が余りないのでクイーンにもお伝えくださいね。」
「ああ分かっているよ。」
涼やかに笑うマーキュリーであるが。
『イチャイチャしている時間はないんですから我慢してくださいね』という彼女の心の声が聴こえてくるので苦笑するしかないキングだった。
速足で去っていくこの星の王を見送る二人は顔を見合わせて笑う。
「キングの愛妻ぶりは困ったものね。」
「でも夫婦円満なのはいいことじゃない。」
「それはそうだけど、ほら見てヴィーナス。さっきキングが入れて下さった本。」
マーキュリーがふふっと笑って指差す先を見ると吹き出すヴィーナス。
「やあだ!逆になってるー!」
そこには背表紙が逆さになった本がちょこんと収まっていた。