私の彼氏を紹介します(まもうさ、大阪なる視点)



「まもちゃーん!」

思わずなるはその先の呼ばれた彼を凝視する。

彼は読んでいた本を閉じて眼鏡を外すととても優しい微笑みを浮かべて手を挙げた。

すると後ろの方でぎゃあだとかきゃあだとか悲鳴が上がる。クラスメートの女子達が遠巻きに見ていたのだ。うそーだとか何でうさぎ!?とかの類も聞こえてくる。

しかしうさぎも彼もそんな言葉は聞こえていないようで互いに歩み寄って嬉しそうに見つめ合っていた。

なるは彼の想像以上の素敵な微笑みにドキドキしてしまう。

その表情のまま顔をこちらに向けられてぴっと緊張が走った。

「こんにちは、うさこからも聞いてると思うけど「彼氏の地場衛さんで~っす!」

途中で親友の明るい声が引き継いで紹介されると、もう一度彼らは少し照れたような嬉しそうな笑みを漏らした。当然周囲も悲鳴を上げている。

しかしうさぎのそんな表情をなるは初めて見た。可愛くてちょっぴり綺麗で幸せそうな顔。

そんな様子を見ているとなんだかこちらまで嬉しくなってしまう。

「あ、えーと。こんにちは!初めましてではないんですけど、うさぎの友達の大阪なるです。」

「うん。よろしく、なるちゃん。」

衛もなるのことは覚えていて、自分がうさぎをからかっているところばかり居合わせていたので少々気まずそうに笑いながら言った。

なるはそんな普通の青年のような様子に好感を覚えて微笑む。それに、親友のことを大事にしてくれていることもうさぎの表情からもよく分かったので彼に対しての印象は下がるようなことは無かった。

「はい、よろしくお願いします。」

しかしこれらの様子を周囲の野次馬は相変わらず騒ぎ立てていたのでなるは小声で言った。

「ちょっと場所変えません?」

「あ!じゃあパーラークラウン行こうっね?まもちゃん!」

「ああいいよ。」

するとそれはもう自然に、うさぎは衛の腕にきゅっとくっつき、彼も至って普通(若干頬が染まったようにも見えるが)の表情で歩き出すものだからなるは苦笑した。意識せずとも独り言が零れ落ちる。

「…あっつあつねー…ヤケドしそう。」

「あれ?なるちゃん!早く~!」

「あ。はーい!」

こうなったら徹底的に質問しようと心に決めて、なるは二人の方へと駆け出した。





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