私の彼氏を紹介します(まもうさ、大阪なる視点)
遡ること数分前。月野うさぎの親友、大阪なるはそのことを打ち明けられたとき、うさぎが予想するよりも随分とあっさりその事実を受け止めた。
「やっぱりね。あたしはそうなるんじゃないかってなんとなーく思ってたわよ。」
「どおしてなるちゃん!もしかしてエスパー!?」
「だって彼と会ってるときのうさぎの顔ったら。真っ赤だったもん。それに彼も真面目でクールそうなのに、うさぎにだけ意地悪言ってたでしょ?気の無い相手にあれだけ言ったりしてこないって。」
「なるちゃんすごい!エスパーじゃなくて恋愛マスターだ!!」
「そんなすごいもんじゃないって。だったらとっくに彼氏の二人や三人はできてるでしょ。要は、知らぬは当人ばかりだったってわけ。こういうのは周りの人のほうが気付くもんなの。」
「ほーほー。」
なるほどと頷きながら言う親友に溜め息を付く。
「で?今日はその彼氏が迎えに来るってわけね?」
「そうなの!なるちゃんにも紹介したくて!なんたってなるちゃんは小学校のときからの親友だもんっ」
「地場さんは了解したの?」
「もっちろん!うさこの親友なら俺もちゃんと挨拶しとかないとなって♪」
そんな風に彼氏にも言ってくれていることが嬉しくもあったが、なるにとっては、クールそうな部分とうさぎに意地悪を言っている部分しか彼のことに関しては知らなかったので『うさこ』とうさぎのことを言ったりだとか、そこかしこから甘い雰囲気を感じ取って信じられないような、こそばゆいようななんとも落ち着かない気持ちに晒された。
「で?あんたは彼のことなんて呼んでんの?」
「え?まもちゃん!!」
「まもちゃん、ねえ…」
このうさぎにまもちゃんと呼ばれて返事をする彼もどうも頭の中で結びつかないなるは微妙な表情をしつつも、親友に腕を引かれて校門へと向かっていった。