私の彼氏を紹介します(まもうさ、大阪なる視点)
「あの!」
頬を赤くした女生徒が後ろにも同じようにそわそわした友人達を背に思い切ってその男に声を掛けた。
偏差値90の超エリート進学校の制服を着たすらりと背の高い王子系超イケメンが、なぜこんな公立の中学の校門の横に佇んでいるのか。そして眼鏡をかけて原語のままの海外の書物を読んでいるその姿のなんと絵になることか。
遠巻きにしていた彼女たちは色めき立ち、好奇心で一杯の表情を隠せずにいた。
「え?」
返事をされただけで黄色い悲鳴でざわつく彼女たち。
「元麻布高校の方ですよね!?だ、誰かと待ち合わせですかっ!?よよかったら呼びますけど…っ」
聞きたいことは山ほどあるが当たり障りのないことしか話せない。名前も勿論気になったが、そんな彼が待っているであろう相手のことも物凄く気になる。もし知り合いであるならばお近付きになれるチャンスかもしれない。そう思っての言葉だった。
「ありがとう、でも大丈夫だよ。多分もうすぐ来ると思うから。」
少しだけ微笑んだ表情、そのテノールよりもやや低い声にますます頬の色を濃くする彼女たちは言葉になっていないような返事をした後、仕方無しにその場を一旦離れるのだった。
「誰なの何なのあのカッコいいひと!」
「分かんない!誰かの彼氏!?」
「えーそんなぁ男子の知り合いかもしれないわよ!」
「あ!ちょっと誰かきた!」
「ああ、なるちゃんとうさぎちゃんね。別にあの人とは関係ないっしょ!二人とも彼氏いないって言ってたし。」
「うさぎはともかく、なるちゃんは美人でしかもお嬢だからひょっとしたら有り得なくもないんじゃない?」
「えー!?」
しかし彼女たちはその数秒後に驚きの現場を目の当たりにするのである。
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