甘い甘いまもうさ
内緒話
※ルナ視点
私は黒猫のルナ。コンピューターも扱えちゃう喋れる猫よ。
夏休みがもうすぐという暑い日。クーラーの効いた衛さんの部屋でいつものようにソファーの上でいちゃいちゃの花を咲かせている姫と王子の足元でくぁあーとあくびと伸びをした私は、この状況でも寝られるようになった自分の精神力を密かに褒め称えながら瞼を降ろそうとしたちょうどその時。
「ねえまもちゃん?あのー、あのね!えっと……二人で旅行するなら、どこ行きたい??」
「えっ?!」
う、うさぎちゃん!?あなたってば突然何言い出すの!まだハタチ前の乙女だっていうのに男の子と旅行だなんて!!眠気も吹っ飛んじゃったじゃない!
衛さんが声を上げる中、私も心の中で叫んでいた。
「私たち、今までは戦いもあったし遠くまで二人で出かけたこと無かったでしょ?だから行きたいなあって。でもやっぱり、だめ、かなぁ。」
けれどしんみり言ううさぎちゃんを見る衛さんの表情は今までの驚きのものから一転。甘く切なそうな色をしていて、きゅっとその腕にお姫様を閉じ込めた。
考えてみたら、2人が付き合い始めてからもう5年が経とうとしている。うさぎちゃんもこの春から短大に入って大人の階段をまた一歩踏み出したところ。しかもうさぎちゃんが高校を卒業したと同時に婚約した2人。こんなに好き合ってるんだもの。私だって大手を振って送り出したい気持ちもあるわ。だけど……
「俺だって、うさと色んなところに行きたいって思ってるよ。うさと一緒なら、きっとどこでも楽しいだろうな。」
「まもちゃん……!」
「だけど、お父さんとお母さんには何て言うつもりなんだ?」
とても真剣な、吸い込まれてしまいそうな蒼い瞳。うさぎちゃんのこと、育子ママと謙之パパのことを大切に考えている誠実な瞳。そう。だから私はいくらいつもいちゃいちゃラブラブバカップルしていても、いざという時はきちんと節度を保てる衛さんに安心してご主人様を預けられるのよ。
「そ、それは、内緒にして、みんなと一緒に旅行行くって言うしぃ」
気まずいのか衛さんから少し身を離して両手の人差し指をツンツンいじけたように付けながら言っちゃううさぎちゃん。
そんな姿にふっと表情を緩めた衛さんはくしゃくしゃと頭を撫でて甘~い顔をして額同士をピタリと付けて、悪い子だな、うさは。と低音で囁いた。うさぎちゃんは目をおっきく開いてまっかっか。
にゃあーー!!もうやめなさーいっ!視界に入れないで聞いてる分にはだいぶ慣れたけど、直で見るのはまだまだ私も慣れてないから!ピンクの猫が出来上がっちゃいますから!!
毛を逆立てて汗ダラダラな私。
そして衛さんのシャツにきゅうっとしがみ付いて何も言えないうさぎちゃん。
「だけどなうさ?旅行は、来年の夏休みまで待ってくれないか?」
「え??でも…!私たち婚約してるし、もしかしたら本当のこと言ってもパパとママも許してくれるかもしれないし!」
「婚約してるからだよ。成人するまではちゃんとうさのこと守りたい。お父さんとの約束なんだ。」
「だけどまもちゃんちには泊まってるんだよ?」
「うーん、それは…そうなんだけど、旅行はまた別。」
ん?衛さんごまかしわね?今。
まぁね、互いに引力抜群の2人だから離れがたくてそうなってしまう事は、ある意味付き合ってる好き好きカップルの自然な流れなのかもしれない。わ、私は知らないけどね!
でも日常の延長でのそーゆー展開と、旅行の非日常。確かに意識の違いはかなりあるわよね。
衛さんの言っている事を納得したくてもうるうると泣きべそをかいてしまううさぎちゃんに衛さんは愛おしげに、困ったように。頭を撫で続けていた。
少しは助け船を出してあげましょうかしらね。プリンセスの優秀な側近としては。
「うさぎちゃん、今そういう事して、いざ結婚って時になって衛さんは信用できない!ってパパとママに反対されちゃったらどうするの?」
「ルナ…」
衛さんは私にすまんなルナという表情で笑いかけてくる。そしてうさぎちゃんは鼻をすんとしてからヤダ…と呟いた。あなたのそういう、素直で正直で可愛いところ。今も昔も大好きよ。
ほら、衛さんも絶対そう思ってるわ。だってものすごーい優しい顔して……
「来年の夏はうさもハタチになってるし、婚前旅行ってことで許しをもらいに行くよ。」
「こっ婚前旅行…!!!」
衛さんは何気ない風だったけれど婚前旅行という単語にうさぎちゃんは再び完熟トマトになって両頬を手で抑えた。そして私は本気で毛の色が変わらないうちに部屋を出ようと心に決めた。
「嫌か?」
「ぜ、全然全然嫌じゃない!!来年まで我慢する!!」
首をブンブン横に振って笑顔になるうさぎちゃんにいい子と手を取り頬にキスをする衛さんはやっぱり手に追えないほど甘々だ。
「あ!ルナ!私がさっき言ってたこと、パパとママには内緒ね??」
去り行こうとする私に両手をパチンと合わせてお願いのポーズで言ってくるうさぎちゃんに分かってるわーと呆れつつ返事をした。背中越しに彼らの会話が聞こえてくる。
「でも、旅行とまもちゃんちのお泊まりってどこが違うの?」
「旅行は3週間くらいうさのこと独り占めできるんだぞ?全然違うだろ。」
「まもちゃん////」
ちょっ!もっと早く出れば良かったーーーー!
衛さんてば3週間も旅行するつもりなの?!美奈子ちゃんじゃないけど言わせてもらうわ。
このムッツリ王子ーー!!!
心の中の叫びも虚しくいちゃいちゃ再開したカップルを尻目に部屋から一目散に飛び出した。
育子ママと謙之パパには頼まれなくても絶対話せないわよ!あーでも、アルテミスには犠牲になってもらおうかしらね。私だって誰かに言わなきゃ呼吸困難で恋の海に溺れちゃうわ!
前世とは違う、甘い甘いトップシークレットを持った王子とお姫様のね---
※ルナ視点
私は黒猫のルナ。コンピューターも扱えちゃう喋れる猫よ。
夏休みがもうすぐという暑い日。クーラーの効いた衛さんの部屋でいつものようにソファーの上でいちゃいちゃの花を咲かせている姫と王子の足元でくぁあーとあくびと伸びをした私は、この状況でも寝られるようになった自分の精神力を密かに褒め称えながら瞼を降ろそうとしたちょうどその時。
「ねえまもちゃん?あのー、あのね!えっと……二人で旅行するなら、どこ行きたい??」
「えっ?!」
う、うさぎちゃん!?あなたってば突然何言い出すの!まだハタチ前の乙女だっていうのに男の子と旅行だなんて!!眠気も吹っ飛んじゃったじゃない!
衛さんが声を上げる中、私も心の中で叫んでいた。
「私たち、今までは戦いもあったし遠くまで二人で出かけたこと無かったでしょ?だから行きたいなあって。でもやっぱり、だめ、かなぁ。」
けれどしんみり言ううさぎちゃんを見る衛さんの表情は今までの驚きのものから一転。甘く切なそうな色をしていて、きゅっとその腕にお姫様を閉じ込めた。
考えてみたら、2人が付き合い始めてからもう5年が経とうとしている。うさぎちゃんもこの春から短大に入って大人の階段をまた一歩踏み出したところ。しかもうさぎちゃんが高校を卒業したと同時に婚約した2人。こんなに好き合ってるんだもの。私だって大手を振って送り出したい気持ちもあるわ。だけど……
「俺だって、うさと色んなところに行きたいって思ってるよ。うさと一緒なら、きっとどこでも楽しいだろうな。」
「まもちゃん……!」
「だけど、お父さんとお母さんには何て言うつもりなんだ?」
とても真剣な、吸い込まれてしまいそうな蒼い瞳。うさぎちゃんのこと、育子ママと謙之パパのことを大切に考えている誠実な瞳。そう。だから私はいくらいつもいちゃいちゃラブラブバカップルしていても、いざという時はきちんと節度を保てる衛さんに安心してご主人様を預けられるのよ。
「そ、それは、内緒にして、みんなと一緒に旅行行くって言うしぃ」
気まずいのか衛さんから少し身を離して両手の人差し指をツンツンいじけたように付けながら言っちゃううさぎちゃん。
そんな姿にふっと表情を緩めた衛さんはくしゃくしゃと頭を撫でて甘~い顔をして額同士をピタリと付けて、悪い子だな、うさは。と低音で囁いた。うさぎちゃんは目をおっきく開いてまっかっか。
にゃあーー!!もうやめなさーいっ!視界に入れないで聞いてる分にはだいぶ慣れたけど、直で見るのはまだまだ私も慣れてないから!ピンクの猫が出来上がっちゃいますから!!
毛を逆立てて汗ダラダラな私。
そして衛さんのシャツにきゅうっとしがみ付いて何も言えないうさぎちゃん。
「だけどなうさ?旅行は、来年の夏休みまで待ってくれないか?」
「え??でも…!私たち婚約してるし、もしかしたら本当のこと言ってもパパとママも許してくれるかもしれないし!」
「婚約してるからだよ。成人するまではちゃんとうさのこと守りたい。お父さんとの約束なんだ。」
「だけどまもちゃんちには泊まってるんだよ?」
「うーん、それは…そうなんだけど、旅行はまた別。」
ん?衛さんごまかしわね?今。
まぁね、互いに引力抜群の2人だから離れがたくてそうなってしまう事は、ある意味付き合ってる好き好きカップルの自然な流れなのかもしれない。わ、私は知らないけどね!
でも日常の延長でのそーゆー展開と、旅行の非日常。確かに意識の違いはかなりあるわよね。
衛さんの言っている事を納得したくてもうるうると泣きべそをかいてしまううさぎちゃんに衛さんは愛おしげに、困ったように。頭を撫で続けていた。
少しは助け船を出してあげましょうかしらね。プリンセスの優秀な側近としては。
「うさぎちゃん、今そういう事して、いざ結婚って時になって衛さんは信用できない!ってパパとママに反対されちゃったらどうするの?」
「ルナ…」
衛さんは私にすまんなルナという表情で笑いかけてくる。そしてうさぎちゃんは鼻をすんとしてからヤダ…と呟いた。あなたのそういう、素直で正直で可愛いところ。今も昔も大好きよ。
ほら、衛さんも絶対そう思ってるわ。だってものすごーい優しい顔して……
「来年の夏はうさもハタチになってるし、婚前旅行ってことで許しをもらいに行くよ。」
「こっ婚前旅行…!!!」
衛さんは何気ない風だったけれど婚前旅行という単語にうさぎちゃんは再び完熟トマトになって両頬を手で抑えた。そして私は本気で毛の色が変わらないうちに部屋を出ようと心に決めた。
「嫌か?」
「ぜ、全然全然嫌じゃない!!来年まで我慢する!!」
首をブンブン横に振って笑顔になるうさぎちゃんにいい子と手を取り頬にキスをする衛さんはやっぱり手に追えないほど甘々だ。
「あ!ルナ!私がさっき言ってたこと、パパとママには内緒ね??」
去り行こうとする私に両手をパチンと合わせてお願いのポーズで言ってくるうさぎちゃんに分かってるわーと呆れつつ返事をした。背中越しに彼らの会話が聞こえてくる。
「でも、旅行とまもちゃんちのお泊まりってどこが違うの?」
「旅行は3週間くらいうさのこと独り占めできるんだぞ?全然違うだろ。」
「まもちゃん////」
ちょっ!もっと早く出れば良かったーーーー!
衛さんてば3週間も旅行するつもりなの?!美奈子ちゃんじゃないけど言わせてもらうわ。
このムッツリ王子ーー!!!
心の中の叫びも虚しくいちゃいちゃ再開したカップルを尻目に部屋から一目散に飛び出した。
育子ママと謙之パパには頼まれなくても絶対話せないわよ!あーでも、アルテミスには犠牲になってもらおうかしらね。私だって誰かに言わなきゃ呼吸困難で恋の海に溺れちゃうわ!
前世とは違う、甘い甘いトップシークレットを持った王子とお姫様のね---