守ってあげたい(年齢逆転まもうさパロ)
その後は急激に口数が減った俺を、特に疑問も持たずに体を起こしてお粥をれんげで掬って食べさせてくれる彼女に、熱以外の動悸が頭に鳴り響いて顔を上げることができなくなってしまう。
お粥は意外なほど美味しくて、誰かに食べさせてもらうなんて記憶の中では初めてだったからどうしようもなく落ち着かない。
「自分で食えるから…。」
耐えられなくてそう切り出した。
「いいから!体辛いときは甘えなさいよ。」
その言葉が嬉しくて、つい話題を変える。
「お前は昼飯どうしたんだよ?」
「え?えっとそれは~…。」
目の前のお粥とキッチンをちらちらと見る彼女にピンとくる。
「失敗したお粥食べたんだろ?」
「げっ!?なあんで分かっちゃうの!?」
その慌てぶりに吹き出す。
「お前の態度が分かりやす過ぎなんだよ。」
「もう!またお前って言う!!」
「はいはい。それより薬くれ。」
「ったく!これでも飲んで大人しくしてなさい!」
錠剤と水の入ったコップを乱暴に差し出す彼女。
俺は苦笑混じりにそれらを受け取って一気に流し込んだ。
そしてそのまま布団に潜り込んで背を向ける。
「…がと。」
「え?何?」
体を彼女の方に向けて目を合わせて睨み付ける。
「ありがとう!」
感謝を伝えるには程遠い喧嘩腰の叫び声。
言ったそばから自分に呆れる。
すると彼女はクスクス笑って再び冷たく絞ったタオルを額に置いて頭を撫でてくる。
「どういたしまして。」
「子供扱いするなよな!」
「あ、ごめん。弟がいるからついね。」
俺は弟か…?お前にとっては…弟みたいな存在?
嫌だ。だって、俺は――――
頭に当てられたままの腕をがしりと掴む。
三つ年上の彼女の腕は細くて、どうしようもないくらい、『女の子』だった。
今だって手も俺の方が大きい。きっと、もっと背も高くなるし、並んで立ってもおかしくないような男に成長するよ。
だから
「今度うさぎさんに何かあったら俺を呼んで?」
彼女は突然の俺の行動と申し出に動きを止めていた。
「俺が、お前を守るから…。」
絶対守る。うさぎさんを…守らせて?
祈るような思いで真っ直ぐに彼女を見つめる。空色の瞳はそんな俺を揺らしながらも映していた。
掴む手の力をぐっと強めると、息を詰めて彼女は目を逸らし、顔を背けた。
「や…っやあねー、中学生が生意気に何言ってんのよ!」
冗談で済まそうとしている彼女の言葉にかっとなる。
「だから…っ!年下扱いするのやめろって言ってるだろ!?」
大声にビクリと体を揺らすのが掴んだ腕越しに伝わってきた。
「ち…地場君…?」
ほんの少し怯えた表情をしている彼女を見て我に帰る。
どうしよう。俺、間違った…?
困らせた?
怖がらせた?
嫌われた…?
もう、俺とは一緒にいたく、ない?
「ごめん…。もう寝る。」
掴んでいた手をパッと放す。
俺はもう、完全に気付いてしまった。彼女に対する自分の想いを。
でも、そうだよな。彼女が困るのは当然だ。好きでもなんでもないやつに守るだなんて言われても、戸惑いこそすれ、嬉しいわけなんてあるはずない。
痛い
こんなに胸の奥が痛くなることがあるなんて、知らなかった。
知らなかった感情。行き場の無い想い。
「地場く…」
「帰ってください。色々、ありがとうございました。」
酷く他人行儀な言い方。だけどこうでもしないとすぐに自分の気持ちが止まらなくなりそうだった。
お粥は意外なほど美味しくて、誰かに食べさせてもらうなんて記憶の中では初めてだったからどうしようもなく落ち着かない。
「自分で食えるから…。」
耐えられなくてそう切り出した。
「いいから!体辛いときは甘えなさいよ。」
その言葉が嬉しくて、つい話題を変える。
「お前は昼飯どうしたんだよ?」
「え?えっとそれは~…。」
目の前のお粥とキッチンをちらちらと見る彼女にピンとくる。
「失敗したお粥食べたんだろ?」
「げっ!?なあんで分かっちゃうの!?」
その慌てぶりに吹き出す。
「お前の態度が分かりやす過ぎなんだよ。」
「もう!またお前って言う!!」
「はいはい。それより薬くれ。」
「ったく!これでも飲んで大人しくしてなさい!」
錠剤と水の入ったコップを乱暴に差し出す彼女。
俺は苦笑混じりにそれらを受け取って一気に流し込んだ。
そしてそのまま布団に潜り込んで背を向ける。
「…がと。」
「え?何?」
体を彼女の方に向けて目を合わせて睨み付ける。
「ありがとう!」
感謝を伝えるには程遠い喧嘩腰の叫び声。
言ったそばから自分に呆れる。
すると彼女はクスクス笑って再び冷たく絞ったタオルを額に置いて頭を撫でてくる。
「どういたしまして。」
「子供扱いするなよな!」
「あ、ごめん。弟がいるからついね。」
俺は弟か…?お前にとっては…弟みたいな存在?
嫌だ。だって、俺は――――
頭に当てられたままの腕をがしりと掴む。
三つ年上の彼女の腕は細くて、どうしようもないくらい、『女の子』だった。
今だって手も俺の方が大きい。きっと、もっと背も高くなるし、並んで立ってもおかしくないような男に成長するよ。
だから
「今度うさぎさんに何かあったら俺を呼んで?」
彼女は突然の俺の行動と申し出に動きを止めていた。
「俺が、お前を守るから…。」
絶対守る。うさぎさんを…守らせて?
祈るような思いで真っ直ぐに彼女を見つめる。空色の瞳はそんな俺を揺らしながらも映していた。
掴む手の力をぐっと強めると、息を詰めて彼女は目を逸らし、顔を背けた。
「や…っやあねー、中学生が生意気に何言ってんのよ!」
冗談で済まそうとしている彼女の言葉にかっとなる。
「だから…っ!年下扱いするのやめろって言ってるだろ!?」
大声にビクリと体を揺らすのが掴んだ腕越しに伝わってきた。
「ち…地場君…?」
ほんの少し怯えた表情をしている彼女を見て我に帰る。
どうしよう。俺、間違った…?
困らせた?
怖がらせた?
嫌われた…?
もう、俺とは一緒にいたく、ない?
「ごめん…。もう寝る。」
掴んでいた手をパッと放す。
俺はもう、完全に気付いてしまった。彼女に対する自分の想いを。
でも、そうだよな。彼女が困るのは当然だ。好きでもなんでもないやつに守るだなんて言われても、戸惑いこそすれ、嬉しいわけなんてあるはずない。
痛い
こんなに胸の奥が痛くなることがあるなんて、知らなかった。
知らなかった感情。行き場の無い想い。
「地場く…」
「帰ってください。色々、ありがとうございました。」
酷く他人行儀な言い方。だけどこうでもしないとすぐに自分の気持ちが止まらなくなりそうだった。