貴女に花束を(ジェダマーズ)
「今日は、来るかな…」
俺は一人の女性を思い浮かべてそう零した。
火星を守護に持つセーラーマーズ
その漆黒の長い流れるような髪
神秘的な雰囲気に美しい顔立ち
初めて見た時から俺は…恋に落ちた。
「ジェダイト。」
急に背後から名を呼ばれて振り向く。
そこには今思っていた彼女が俺を真っ直ぐ見て立っていた。
「マーズ!今日の護衛は貴女だったんだね!?」
思わず自分の気持ちを隠すことなく満面の笑みを彼女に向ける。
しかしそんな俺からふいと目を反らして口を噤んでしまった。
それでも俺は思っていることを言わずにはいられないのは、それらを打ち消すほど喜びが勝っていたから。
「マーズ。今日も変わらず美しいね。」
「ジェダイト、やめて。私はプリンセスのお供に来ただけよ。」
視線を反らしたまま言う。
この人は俺が何度こういうことを言っても、こうしてサラリと受け流してしまう。
俺はいつも本心で言っているから、やはりこういう反応は寂しくないと言ったら嘘になるけれど、俺と彼女の関係も、本来ならあるはずがなかったもの。
だからこれ以上求めてはいけないと分かっているから、いつも深くは掘り下げないでいた。
「そうだね。でも、プリンセスの姿が見えないようだけど?」
すると少しだけ頬を染めて、ばつが悪そうにして俺を見た。
「だから…プリンセスを見失ってしまったのよ。一緒に探してくれる?どうせ貴方の主とご一緒なんですから。」
「嬉しいな。貴女がこの俺に頼み事をするなんて初めてだ。」
恋をすると、自分がこれほどまでに盲目的になるとは思いもしなかった。
「いいから。早く探しに行くわよ!」
そう言うと髪の毛をサラリとかき上げる。
ちらりと見えた顔は、さっきよりも赤くなっているように思えた。
