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数日後。私と亜美は牽制し合っていた時間を取り戻すかのように一緒にいることが増えていった。


私の部屋のソファーにきちんと足を揃えて座っている彼女に近付いて体を引き寄せる。


「ねえ亜美。」

「な、なんですか?」

たったこれだけなのにもう真っ赤になっている恋人を心の中で可愛いと思いながら、もっと意地悪したくなって。肩、背中、腰を優しく撫でていく。

「私聞いてないんだけど。」

「何を…ですか?」

「亜美から『好き』って聞いてない。」

耳に口を寄せて囁くように言えば、大袈裟なくらい体を跳ねさせて涙目で私を見てくる。

「い…いいじゃないですか!もうつ、つつ付き合ってるんですから!」

「い~や~だ。聞きたいの。」

大混乱に陥っている普段秀才の彼女の頬にキスを送る。

「さ…西園寺さんっ!!」

「ほーら!早く。」

耳まで真っ赤の彼女は半分泣いていた。



もうホント、なんであなたはそんなに可愛いの。



「わ…たしは…」

そこまで言うと耳元に内緒話するように近付いてくる彼女の顔。




その内容に、私の心は信じられないほど満たされて。




思わずキスしそうになったのに。





私の拘束から逃れるように立ち上がる彼女。






「じゅ、塾があるのでこれで帰ります!!」

「そんなのサボりなさいよ。」

「そ、そうはいきません!!模試が私を待ってます!」

どこから取り出したのかわざとらしく眼鏡を掛けて宣言する彼女は未だに顔は真っ赤だ。

「亜美の信念には脱帽だよ。」

「では!」

私の小言が聞こえたのか否か。彼女は疾風のごとく部屋から去っていった。



ではって何よ。ではって。



「お預け食らったのは残念だけど、飽きないわね。あの子といると。」


何となく一人呟いて笑う。



こんな風に穏やかに笑うことが出来るのも彼女のお陰。





これからはそんな些細な幸せをたくさん彼女と紡いでいきたい。








ピアノに向かって今の気持ちを表すかのように即興で奏でるメロディー。



それは幸福な一滴の雨のような。


あの時の亜美の涙のような。







自分でも呆れてしまうほど甘い甘い旋律だった。










『Raindrop』

『綴る想い』







おわり
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