❤️💛四四で四つの季節💙💚
Summer クン美奈『サマージャンボ』
「ここで見ててやる。お前は入ってこい」
夏。青い空に照りつく日差し。熱を持つ砂浜は白く、波打ち際できらきら跳ねる。
そんな中ローテンションで恋人にのたまう男、北崎賢人は案の定彼女の喧嘩心に火をつけた。
「はあー?! あんたは私の保護者かライフセーバーかなんか?!」
この男、小麦色の肌なのに海に無関心。恋人とこの場所までデートしに来ておいてパラソルの下で地蔵になるとは何事か。だいたい、ラッシュガードの開いたチャックからのぞくやたらと逞しい胸筋はなんなのだ。筋肉美の無駄遣いではないのか。
「分かった。俺は後から行くから、お前は先に行ってろ」
ため息混じりに言われていよいよ美奈子は悲しくなる。
彼女はおろしたての水着をパーカーとショートパンツの下に着ていた。
ああそう、いいわよ。そんなにめんどくさいならこの水着だって拝ませてやらない! と、切なさと怒り半々の状態で、呼び止められる彼からの言葉も聞かずに波打ち際近くまで猛然と進んでいった。
空いているパラソルの下にヤケクソ気味にパーカーとショーパンを乱雑に脱ぎ捨てて海へダイブする。
後方の賢人の表情が大きく変化したことにももちろん気づかずに。
美奈子はワンショルダーのビキニを着ていた。
アシンメトリーのトップスはオレンジ色で大きめのフリルがふわふわと揺れる華やかさで、小ぶりの花柄のショーツのサイドには切り込みが入っているセクシーキュートデザインだった。ボリュームのある胸元、くびれた腰、引き締まった形の良い尻のラインは美しく、スラリと長い膝下にキュッとしまった足首。スタイルが抜群の美少女がそんな魅力的な姿で一人泳いでいたら当然渚のヴィーナスの如く注目を集めてしまう。
賢人が海水浴に気が乗らなかったのはこうなる事が分かっていたからだ。けれど可愛い恋人から海デートに誘われて断れるほど枯れてもいない。むしろ歓迎すらしていた。表情にはおくびにも出さないが。
しかし浮かれてばかりもいられない。大切な恋人を守る任務も同時に遂行しなければならなかったから。
どこから現れるとも分からない美奈子に近づく輩を瞬時にロックオンして撃退できるようにある程度の距離が必要だったためパラソルの下を動かなかったのだが。すぐにそれは失敗だった事に気付く。
「なんなんだあれは」
恋人の水着姿が女神すぎる。
何が遠距離だ。何がロックオンだ。近くで護衛しなければ即アウトじゃないか!
頭を抱えた賢人は無造作に髪を結び、色素の薄い瞳を守るためのサングラス(ダニエル•ウィリン◯ン)をかけ、ラッシュガードの上を脱いで持つと鬼神のような圧を醸し出しながら恋人の元へと向かった。
「ねえねえお姉さん! ひとりー?」
「俺たちとあっちで遊ばない? 飲み物も奢ってあげるし!」
早速二人組の男に声を掛けられる美奈子は機嫌悪そうに振り向いた。けれど、そのすぐ後ろに仁王像のように立つ長身の恋人が二人を見下ろしていてひゅっと息をのむ。
「け、けん…「俺の連れだ。他を当たれ」
「?!」
「はー?」
すぐさま顔色を変えたナンパ男その1。そして状況を掴み切れていないナンパ男その2が遅れて振り向く。すると、サングラスを外した超イケメンな男が惜しげなく均整の取れた上半身を晒して無言で見下ろしていた。
さぁーっと顔面から血の気が引いた男達はひいっと叫びながら道をあけた。全てにおいて自分たちよりも圧倒的に上回っている怖いお兄さんの登場になす術なし、である。
「「し、失礼しましたー!」」
ぴゅーっとその場から逃げ出す二人にため息をつく賢人。
コトが収まってもふるふると震える美奈子は、キッと睨むとそのまま恋人をパチンとビンタした。
彼女が本気で痛めつけたいわけではない事は受けた頬の衝撃で分かっていたが、自分の馬鹿さ加減にも反省していた賢人はすぐに「すまん」と謝る。
「謝るくらいならね、ずっとそばにいなさいよ!」
「そうだな」
「ばか! あと、まあ……ありがと?」
別にあんたに守られなくても私一人でも充分追い払えたけどね! と続ける彼女にふっと穏やかに笑う賢人。美奈子は元々こういう女なのだ。だから、好きなのだ。
「ところで、目立ち過ぎだ。これを着ろ」
サングラスを再びかけた男は、持っていたラッシュガードを恋人に差し出す。
「えー?! 嫌よ。あんたのじゃない」
賢人は美奈子の肩に手を置き、耳元に顔を寄せる。
「察しろ、バカ娘」
不貞腐れた様な、拗ねた様な甘い声に鼓膜を揺らされて固まってしまう美奈子の頬にキスをひとつ。
「な! なにす…っ」
ニヤリと笑うダニエル・ウェ◯ントンはラッシュガードを羽織らせると恋人の手を引いて歩き出す。
その後ろではなんだかんだ言いつつも、嬉しそうに笑う美奈子を、視界の端に捉えながら。
「ここで見ててやる。お前は入ってこい」
夏。青い空に照りつく日差し。熱を持つ砂浜は白く、波打ち際できらきら跳ねる。
そんな中ローテンションで恋人にのたまう男、北崎賢人は案の定彼女の喧嘩心に火をつけた。
「はあー?! あんたは私の保護者かライフセーバーかなんか?!」
この男、小麦色の肌なのに海に無関心。恋人とこの場所までデートしに来ておいてパラソルの下で地蔵になるとは何事か。だいたい、ラッシュガードの開いたチャックからのぞくやたらと逞しい胸筋はなんなのだ。筋肉美の無駄遣いではないのか。
「分かった。俺は後から行くから、お前は先に行ってろ」
ため息混じりに言われていよいよ美奈子は悲しくなる。
彼女はおろしたての水着をパーカーとショートパンツの下に着ていた。
ああそう、いいわよ。そんなにめんどくさいならこの水着だって拝ませてやらない! と、切なさと怒り半々の状態で、呼び止められる彼からの言葉も聞かずに波打ち際近くまで猛然と進んでいった。
空いているパラソルの下にヤケクソ気味にパーカーとショーパンを乱雑に脱ぎ捨てて海へダイブする。
後方の賢人の表情が大きく変化したことにももちろん気づかずに。
美奈子はワンショルダーのビキニを着ていた。
アシンメトリーのトップスはオレンジ色で大きめのフリルがふわふわと揺れる華やかさで、小ぶりの花柄のショーツのサイドには切り込みが入っているセクシーキュートデザインだった。ボリュームのある胸元、くびれた腰、引き締まった形の良い尻のラインは美しく、スラリと長い膝下にキュッとしまった足首。スタイルが抜群の美少女がそんな魅力的な姿で一人泳いでいたら当然渚のヴィーナスの如く注目を集めてしまう。
賢人が海水浴に気が乗らなかったのはこうなる事が分かっていたからだ。けれど可愛い恋人から海デートに誘われて断れるほど枯れてもいない。むしろ歓迎すらしていた。表情にはおくびにも出さないが。
しかし浮かれてばかりもいられない。大切な恋人を守る任務も同時に遂行しなければならなかったから。
どこから現れるとも分からない美奈子に近づく輩を瞬時にロックオンして撃退できるようにある程度の距離が必要だったためパラソルの下を動かなかったのだが。すぐにそれは失敗だった事に気付く。
「なんなんだあれは」
恋人の水着姿が女神すぎる。
何が遠距離だ。何がロックオンだ。近くで護衛しなければ即アウトじゃないか!
頭を抱えた賢人は無造作に髪を結び、色素の薄い瞳を守るためのサングラス(ダニエル•ウィリン◯ン)をかけ、ラッシュガードの上を脱いで持つと鬼神のような圧を醸し出しながら恋人の元へと向かった。
「ねえねえお姉さん! ひとりー?」
「俺たちとあっちで遊ばない? 飲み物も奢ってあげるし!」
早速二人組の男に声を掛けられる美奈子は機嫌悪そうに振り向いた。けれど、そのすぐ後ろに仁王像のように立つ長身の恋人が二人を見下ろしていてひゅっと息をのむ。
「け、けん…「俺の連れだ。他を当たれ」
「?!」
「はー?」
すぐさま顔色を変えたナンパ男その1。そして状況を掴み切れていないナンパ男その2が遅れて振り向く。すると、サングラスを外した超イケメンな男が惜しげなく均整の取れた上半身を晒して無言で見下ろしていた。
さぁーっと顔面から血の気が引いた男達はひいっと叫びながら道をあけた。全てにおいて自分たちよりも圧倒的に上回っている怖いお兄さんの登場になす術なし、である。
「「し、失礼しましたー!」」
ぴゅーっとその場から逃げ出す二人にため息をつく賢人。
コトが収まってもふるふると震える美奈子は、キッと睨むとそのまま恋人をパチンとビンタした。
彼女が本気で痛めつけたいわけではない事は受けた頬の衝撃で分かっていたが、自分の馬鹿さ加減にも反省していた賢人はすぐに「すまん」と謝る。
「謝るくらいならね、ずっとそばにいなさいよ!」
「そうだな」
「ばか! あと、まあ……ありがと?」
別にあんたに守られなくても私一人でも充分追い払えたけどね! と続ける彼女にふっと穏やかに笑う賢人。美奈子は元々こういう女なのだ。だから、好きなのだ。
「ところで、目立ち過ぎだ。これを着ろ」
サングラスを再びかけた男は、持っていたラッシュガードを恋人に差し出す。
「えー?! 嫌よ。あんたのじゃない」
賢人は美奈子の肩に手を置き、耳元に顔を寄せる。
「察しろ、バカ娘」
不貞腐れた様な、拗ねた様な甘い声に鼓膜を揺らされて固まってしまう美奈子の頬にキスをひとつ。
「な! なにす…っ」
ニヤリと笑うダニエル・ウェ◯ントンはラッシュガードを羽織らせると恋人の手を引いて歩き出す。
その後ろではなんだかんだ言いつつも、嬉しそうに笑う美奈子を、視界の端に捉えながら。