衛誕まとめ
俺のだから。
※衛大学二年、うさぎ高校二年
キンモク星から星野さんたち来ちゃってますよ設定。そして星野さんたちは男設定。
「知ってました?俺今日誕生日なんです。」
「へー。」
「衛さんももうすぐらしいっすね。」
「そうだな。」
7月30日。星野は窓際の席で本を片手にコーヒーを飲んでいるだけで絵になる男、地場衛を見つけると呼ばれてもいないのにコーヒーを注文して相席した。それが数分前。
衛はアイドルスターの登場に片眉を少し上げただけで、「ちわっす!」というおどけたような挨拶に「ああ」と短く答え本に目を落としてコーヒーを啜った。
周りの女子の視線とざわめきを余所に二人はどうにも微妙な沈黙を奏でている。
そこへ星野の誕生日の話題が漸く飛び出し、それでもテンションの変わらない衛はさして興味も無さそうにコーヒーをもう一口啜った。
「お団子、俺にプレゼントくれましたよ♪」
楽しげな星野の言葉に僅かに目線を上げ、空気が若干変わった衛。それに気付いた星野は内心にやりと笑った。
「うさが?君に?」
「とーぜん!だってダチだし?俺ら。」
「うさはそうでも君にそれ以上の感情があるのだからその表現は的確じゃないな。」
「逆。いっくら俺がお団子のこと想ってもあいつはこれっぽっちもそんな感情ねーんだから。一生オトモダチっすよ!ま、俺はそのオトモダチの特権ってやつを最大限まで利用させてもらいますけどね。」
その発言に完全に本から星野に視線を合わせて真正面から見据える衛は、口端だけ上げて目を細めた。
「…宣戦布告に来たのか?それともまさか君の誕生日を俺から祝ってもらいたいとか?ああ、気付かなくて悪かった。『たんじょうびおめでとう』」
「さぶっ!てかこええっ!!あんたに言われてもぜんっぜん祝われてる気がしねーっ」
「そんなことないぞ。キンモク星の期待の守護戦士の君の誕生の日とあれば、太陽系の地球の王子としても喜ばしいことだと思っている。」
「そりゃーどうも。」
形だけの台詞と分かっているのか星野は適当に受け流す。
衛の自身への吹きすさぶブリザード、凍えるようなアイスハート(意味不)はいつものことなのでさしてダメージもないようだ。
しかしこんな態度を取られてもこの男は衛にちょっかいを出すのが好きなようで。衛を見かけてはこうして話しかけることが多かった。
それは何故か。
「まもちゃーん!おまたせ!!」
「よ!お団子!」
「星野!?」
そう。意中の少女、月野うさぎに高確率で会えることに他ならない。
「なんか~、最近星野、まもちゃんとよく一緒にいない?」
「そうかな。」
「そうだよ~!」
うさぎが現れてからは正面に座っているはずの男のことは完全に空気か何かのように無視する衛はうさぎの質問に答え、優しげな瞳で見つめる。横に座るうさぎに腕を抱きつかれていて、その手で彼女の片方の手を取ると柔らかく握った。そんな風に自然と恋人同士のスキンシップを取る二人だが。
「お団子、さっきはプレゼントありがとな!」
めげない男代表星野光。彼は人懐っこい笑顔でそう言うと、うさぎは「どーいたしまして♪」と微笑んで答える。それに満足した星野は、今度はさぞ氷点下な眼差しで自分のことを見ているであろう衛にどこかワクワクしながら目を向ける。
しかし、その予想とは全く違う彼の表情を見て慌てた。
衛はどこか寂し気に、傷付いたような顔をして星野に笑顔を向けるうさぎのことを見ていたのだ。
衛は常に感情を素直に表に出さない男だと星野は思っていた。現に今までがそうだったのだから。星野が何を言っても意に介さず、しかしうさぎにちょっかいを出せば彼女には決して気付かれない範疇で鋭く牽制を掛けてきていた。
それが、こうも無防備に寂しそうな雰囲気を漂わせてくるとは。
なんともいたたまれない、というか罪悪感のようなものを背負ってしまった星野は立ち上がった。
「愛野たちにも言っておいてくれ!皆で俺にプレゼントを一つくれてありがとなって!!」
「うん!伝えとくね。でも、あげた時も皆にあんた言ってたんだから大丈夫じゃない??」
「いやいや!大事なことだから二回言っておく!皆からのプレゼントまじ嬉しかったって!」
(あーあ…。なんか惨めだな俺。お団子だけからもらったんじゃなくてあいつらからもらったって自分でばらす予定じゃなかったのに。あと少しだけ彼氏のことからかってやろうと思ってたのになー…)
星野はそう思うも、あれだけ本気で傷付いたような表情をした衛を見たのが初めてだったため、まあこの場合は仕方ないと引き下がった。
一方衛は星野の大声の種明かしに目を丸くして見上げていた。そしてそのすぐ後。
「うさたちは友達思いだな。」
と、恋人の頭を撫でてやりながらふうっと大きく息を吐いてさっきまでの雰囲気に戻って言った。
さっきまでの雰囲気とは、うさぎのことが好きで好きでもうどうしようもないという雰囲気のことである。
恋敵に塩を送ってしまった星野はその様子を見て、なぜか顔を赤くし、衛のうさぎへの思いの大きさを不覚にも認めてしまうのであった。
「まもちゃんも誕生日もうすぐだね!」
「ああ。」
「プレゼント、楽しみにしててね♪♪」
「それは、うさから?それとも、皆から?」
「え!まもちゃん、皆からの方がよかった!?」
「皆からでももちろん嬉しいけど、うさからもらうのが一番嬉しい。」
「うん!よかった~!」
微笑み合う二人。
そして出るタイミングを逃した男が一人。
そんな男にふっと笑ってみせる衛。
(くっそーーーー!こんな男に同情なんかするんじゃなかった!!!俺もお団子に言ってみてえよそんな台詞!!!)
(駄目だ。これは彼氏の俺の特権だから。)
目で会話する二人に気付かないうさぎは運ばれてきたフルーツパフェに目を輝かせて感嘆を上げる。
そんな彼女に可愛い…と同時に思った男二人はしばし和む。
しかしはっとなった衛は、いつまでそこに座ってるつもりだろうかこの男は。と、星野をちらりと見つめた。その時。
「星野!このあと撮影あるんじゃなかった??」
「げっ!忘れてた!!」
うさぎはさっきここへ来る途中に会った大気の言葉を思い出して慌てて言った。
それにがたんと音を立てて立ち上がった星野はコーヒーを一気に飲んで帽子とサングラスを装備する。
「じゃあなお団子!夏休み中、どっかで遊ぼうぜ!」
「うん!みんなでね~!」
その言葉に追い討ちを掛けられた彼はがっくしと肩を下げつつコーヒー代をテーブルに出すと急いで店から出て行った。
「アイドルも大変だぁ…」
ほうっと溜め息を付いたうさぎ。そしてどこか思いつめたような表情の衛は繋いでいた手をぎゅっと強めた。
「うさはいつもさ、友達と遊ぶときってどこに行く?」
「え!?そうだなー。買い物にカラオケにー、ゲーセンとかかな。遊園地も行ったりするよ?あ、でも今度海に行く約束もしたんだ♪」
「じゃあそれ今日は全部行こう。」
「え!?全部!?」
「うん。全部。……っていうのは流石に無理か。」
自嘲した笑みにどこか不安になったうさぎは彼の瞳を覗き込む。
「まもちゃん…?」
「ごめん、変なこと言ったな。」
「ううん!変じゃないよ!!私もまもちゃんと今言ったとこ全部行きたい!!」
衛は、必死に顔を赤くしながらもそう言う彼女が可愛くてポンと頭に手を置いた。そしてよしよしと撫でながら…
「じゃあ、俺の誕生日は手始めに海でも行くか。」
「行く!!あ、でもプレゼントも渡したいから…」
「帰りに俺の家に寄って行けば?」
「いいの!?」
「もちろん。」
単純に喜ぶうさぎに対して、完全に下心を伴っている衛はばれないように溜め息を一つ付いた。
「夏休み、いろんなとこ遊びに行こうね♪」
「ああ。」
彼らの夏休みはまだまだ始まったばかり。これからの予定に思いを馳せる二人に『めげない男代表』が今後どう絡んでくるのか絡んでこないのか。
それはまた別のお話。
おわり
※衛大学二年、うさぎ高校二年
キンモク星から星野さんたち来ちゃってますよ設定。そして星野さんたちは男設定。
「知ってました?俺今日誕生日なんです。」
「へー。」
「衛さんももうすぐらしいっすね。」
「そうだな。」
7月30日。星野は窓際の席で本を片手にコーヒーを飲んでいるだけで絵になる男、地場衛を見つけると呼ばれてもいないのにコーヒーを注文して相席した。それが数分前。
衛はアイドルスターの登場に片眉を少し上げただけで、「ちわっす!」というおどけたような挨拶に「ああ」と短く答え本に目を落としてコーヒーを啜った。
周りの女子の視線とざわめきを余所に二人はどうにも微妙な沈黙を奏でている。
そこへ星野の誕生日の話題が漸く飛び出し、それでもテンションの変わらない衛はさして興味も無さそうにコーヒーをもう一口啜った。
「お団子、俺にプレゼントくれましたよ♪」
楽しげな星野の言葉に僅かに目線を上げ、空気が若干変わった衛。それに気付いた星野は内心にやりと笑った。
「うさが?君に?」
「とーぜん!だってダチだし?俺ら。」
「うさはそうでも君にそれ以上の感情があるのだからその表現は的確じゃないな。」
「逆。いっくら俺がお団子のこと想ってもあいつはこれっぽっちもそんな感情ねーんだから。一生オトモダチっすよ!ま、俺はそのオトモダチの特権ってやつを最大限まで利用させてもらいますけどね。」
その発言に完全に本から星野に視線を合わせて真正面から見据える衛は、口端だけ上げて目を細めた。
「…宣戦布告に来たのか?それともまさか君の誕生日を俺から祝ってもらいたいとか?ああ、気付かなくて悪かった。『たんじょうびおめでとう』」
「さぶっ!てかこええっ!!あんたに言われてもぜんっぜん祝われてる気がしねーっ」
「そんなことないぞ。キンモク星の期待の守護戦士の君の誕生の日とあれば、太陽系の地球の王子としても喜ばしいことだと思っている。」
「そりゃーどうも。」
形だけの台詞と分かっているのか星野は適当に受け流す。
衛の自身への吹きすさぶブリザード、凍えるようなアイスハート(意味不)はいつものことなのでさしてダメージもないようだ。
しかしこんな態度を取られてもこの男は衛にちょっかいを出すのが好きなようで。衛を見かけてはこうして話しかけることが多かった。
それは何故か。
「まもちゃーん!おまたせ!!」
「よ!お団子!」
「星野!?」
そう。意中の少女、月野うさぎに高確率で会えることに他ならない。
「なんか~、最近星野、まもちゃんとよく一緒にいない?」
「そうかな。」
「そうだよ~!」
うさぎが現れてからは正面に座っているはずの男のことは完全に空気か何かのように無視する衛はうさぎの質問に答え、優しげな瞳で見つめる。横に座るうさぎに腕を抱きつかれていて、その手で彼女の片方の手を取ると柔らかく握った。そんな風に自然と恋人同士のスキンシップを取る二人だが。
「お団子、さっきはプレゼントありがとな!」
めげない男代表星野光。彼は人懐っこい笑顔でそう言うと、うさぎは「どーいたしまして♪」と微笑んで答える。それに満足した星野は、今度はさぞ氷点下な眼差しで自分のことを見ているであろう衛にどこかワクワクしながら目を向ける。
しかし、その予想とは全く違う彼の表情を見て慌てた。
衛はどこか寂し気に、傷付いたような顔をして星野に笑顔を向けるうさぎのことを見ていたのだ。
衛は常に感情を素直に表に出さない男だと星野は思っていた。現に今までがそうだったのだから。星野が何を言っても意に介さず、しかしうさぎにちょっかいを出せば彼女には決して気付かれない範疇で鋭く牽制を掛けてきていた。
それが、こうも無防備に寂しそうな雰囲気を漂わせてくるとは。
なんともいたたまれない、というか罪悪感のようなものを背負ってしまった星野は立ち上がった。
「愛野たちにも言っておいてくれ!皆で俺にプレゼントを一つくれてありがとなって!!」
「うん!伝えとくね。でも、あげた時も皆にあんた言ってたんだから大丈夫じゃない??」
「いやいや!大事なことだから二回言っておく!皆からのプレゼントまじ嬉しかったって!」
(あーあ…。なんか惨めだな俺。お団子だけからもらったんじゃなくてあいつらからもらったって自分でばらす予定じゃなかったのに。あと少しだけ彼氏のことからかってやろうと思ってたのになー…)
星野はそう思うも、あれだけ本気で傷付いたような表情をした衛を見たのが初めてだったため、まあこの場合は仕方ないと引き下がった。
一方衛は星野の大声の種明かしに目を丸くして見上げていた。そしてそのすぐ後。
「うさたちは友達思いだな。」
と、恋人の頭を撫でてやりながらふうっと大きく息を吐いてさっきまでの雰囲気に戻って言った。
さっきまでの雰囲気とは、うさぎのことが好きで好きでもうどうしようもないという雰囲気のことである。
恋敵に塩を送ってしまった星野はその様子を見て、なぜか顔を赤くし、衛のうさぎへの思いの大きさを不覚にも認めてしまうのであった。
「まもちゃんも誕生日もうすぐだね!」
「ああ。」
「プレゼント、楽しみにしててね♪♪」
「それは、うさから?それとも、皆から?」
「え!まもちゃん、皆からの方がよかった!?」
「皆からでももちろん嬉しいけど、うさからもらうのが一番嬉しい。」
「うん!よかった~!」
微笑み合う二人。
そして出るタイミングを逃した男が一人。
そんな男にふっと笑ってみせる衛。
(くっそーーーー!こんな男に同情なんかするんじゃなかった!!!俺もお団子に言ってみてえよそんな台詞!!!)
(駄目だ。これは彼氏の俺の特権だから。)
目で会話する二人に気付かないうさぎは運ばれてきたフルーツパフェに目を輝かせて感嘆を上げる。
そんな彼女に可愛い…と同時に思った男二人はしばし和む。
しかしはっとなった衛は、いつまでそこに座ってるつもりだろうかこの男は。と、星野をちらりと見つめた。その時。
「星野!このあと撮影あるんじゃなかった??」
「げっ!忘れてた!!」
うさぎはさっきここへ来る途中に会った大気の言葉を思い出して慌てて言った。
それにがたんと音を立てて立ち上がった星野はコーヒーを一気に飲んで帽子とサングラスを装備する。
「じゃあなお団子!夏休み中、どっかで遊ぼうぜ!」
「うん!みんなでね~!」
その言葉に追い討ちを掛けられた彼はがっくしと肩を下げつつコーヒー代をテーブルに出すと急いで店から出て行った。
「アイドルも大変だぁ…」
ほうっと溜め息を付いたうさぎ。そしてどこか思いつめたような表情の衛は繋いでいた手をぎゅっと強めた。
「うさはいつもさ、友達と遊ぶときってどこに行く?」
「え!?そうだなー。買い物にカラオケにー、ゲーセンとかかな。遊園地も行ったりするよ?あ、でも今度海に行く約束もしたんだ♪」
「じゃあそれ今日は全部行こう。」
「え!?全部!?」
「うん。全部。……っていうのは流石に無理か。」
自嘲した笑みにどこか不安になったうさぎは彼の瞳を覗き込む。
「まもちゃん…?」
「ごめん、変なこと言ったな。」
「ううん!変じゃないよ!!私もまもちゃんと今言ったとこ全部行きたい!!」
衛は、必死に顔を赤くしながらもそう言う彼女が可愛くてポンと頭に手を置いた。そしてよしよしと撫でながら…
「じゃあ、俺の誕生日は手始めに海でも行くか。」
「行く!!あ、でもプレゼントも渡したいから…」
「帰りに俺の家に寄って行けば?」
「いいの!?」
「もちろん。」
単純に喜ぶうさぎに対して、完全に下心を伴っている衛はばれないように溜め息を一つ付いた。
「夏休み、いろんなとこ遊びに行こうね♪」
「ああ。」
彼らの夏休みはまだまだ始まったばかり。これからの予定に思いを馳せる二人に『めげない男代表』が今後どう絡んでくるのか絡んでこないのか。
それはまた別のお話。
おわり
