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さて。お姫様を守る万全な態勢は整った。しかし事件は思いもよらない展開を迎える。
短大の授業も終わり、まことと美奈子と帰るうさぎだったが、校門前に見覚えの無い車がまるで帰宅時間を見計らったかのように停められた。今日は衛がどうしても遅い帰宅になってしまうため、賢人が迎えに来る手筈だった。しかし賢人の車はグレー。停められた車は白だった。その車から降りた男はうさぎの姿を捉えると叫ぶ。
「うさぎさん!大変なんだっ!」
「え?あ…篠塚、さん…?」
突然の見知らぬ男の登場にまことも美奈子も警戒の色を濃くする。だがうさぎとは面識があるようでどんな関係なのかと目線を送り暗黙のうちに尋ねると、うさぎは些か言いづらそうに口を開いた。
「あ、あのね…実は彼、パパのお仕事の上司の息子さんで篠塚涼介さん。警察官なの。それで…一回だけ食事したことがあって。」
「え!?聞いてないわよそんな話…!それにそれってまさか」
美奈子が言い掛けた時。篠塚はもう近くまで来ていて血相を変えて「君のお父さんが…っ」と話し始めた。
「パパが…?」
「うさぎさん、落ち着いて聞いてくれ。君のお父さんが職場で倒れて病院に運ばれた。」
「え!?」
うさぎの表情も一気に青褪める。
最後に会ったのは正にその食事会のときだった。終始申し訳無さそうな表情で自分のことを見ていた父、月野謙之の姿が浮かぶ。家族思いで娘である自分のことも人一倍可愛がってくれた父。風邪を引いても大きな病気は今まで一度も患ったことの無い元気な彼が職場で倒れるなど余程のことだ。
「僕もさっき父から連絡が来たんだ。君のご家族は先に病院に向かってる。僕はここから職場も近いしうさぎさんを迎えに行くように君のお母さんからも頼まれて。」
「パパの様子は…!?」
「詳しいことはまだ分からないんだ。とにかく早く病院へ行こう。お母さんも進悟君も待ってるから。」
そう言いながらあっという間にうさぎの手荷物を受け取ると車の方へ促す。そして篠塚はまことと美奈子に一礼し詫びる。
「すみません、うさぎさんのお友達の方ですよね?突然こんな風に騒いだりして。とにかく急の用なので彼女を病院へ連れて行ってもいいでしょうか?」
「あ、私達も付いていきますっ!おじさんには私達も世話になっていますので。」
美奈子の言葉にまことも頷く。謙之が心配なのは勿論のことだが、この篠塚に対しても警戒を全て解いたわけでは無いからだ。うさぎの現状を考えれば誰かと二人きりになる状況は避けたかった。
「大丈夫です。僕は刑事。警察官ですよ。責任持って彼女を病院まで送り届けます。それに、今はご家族だけで会った方がいいと思います。僕も送ったらすぐに仕事に戻るつもりなので。」
警察手帳を胸ポケットから出すと人好きのする笑顔で篠塚は言う。
「篠塚さんは大丈夫だよ美奈P。皆にも伝えておいてくれる?」
うさぎにも言われ彼女たちは漸く頷いたのだった。
まだうさぎの身に何かが起こったわけではない。しかし何かが起こる前に防がなければ守る意味が無い。さすが刑事だけあってその表情から嘘のようなものは見えなかった。けれど職業上その程度の演技は簡単だとも言える。つまり彼の疑いが晴れたわけでは決して無いのだ。
それでも彼が何もまだしていない状態でこちら側から攻撃は出来ない。彼女たちはリスクがあることは承知の上で彼を泳がせ、尻尾を出すタイミングを計るために敢えて行かせたのだった。
白の車が走り出した直後。まことは自身のバイクに跨って追跡を始める。そして美奈子は仲間内全員に連絡を入れた。
さて。お姫様を守る万全な態勢は整った。しかし事件は思いもよらない展開を迎える。
短大の授業も終わり、まことと美奈子と帰るうさぎだったが、校門前に見覚えの無い車がまるで帰宅時間を見計らったかのように停められた。今日は衛がどうしても遅い帰宅になってしまうため、賢人が迎えに来る手筈だった。しかし賢人の車はグレー。停められた車は白だった。その車から降りた男はうさぎの姿を捉えると叫ぶ。
「うさぎさん!大変なんだっ!」
「え?あ…篠塚、さん…?」
突然の見知らぬ男の登場にまことも美奈子も警戒の色を濃くする。だがうさぎとは面識があるようでどんな関係なのかと目線を送り暗黙のうちに尋ねると、うさぎは些か言いづらそうに口を開いた。
「あ、あのね…実は彼、パパのお仕事の上司の息子さんで篠塚涼介さん。警察官なの。それで…一回だけ食事したことがあって。」
「え!?聞いてないわよそんな話…!それにそれってまさか」
美奈子が言い掛けた時。篠塚はもう近くまで来ていて血相を変えて「君のお父さんが…っ」と話し始めた。
「パパが…?」
「うさぎさん、落ち着いて聞いてくれ。君のお父さんが職場で倒れて病院に運ばれた。」
「え!?」
うさぎの表情も一気に青褪める。
最後に会ったのは正にその食事会のときだった。終始申し訳無さそうな表情で自分のことを見ていた父、月野謙之の姿が浮かぶ。家族思いで娘である自分のことも人一倍可愛がってくれた父。風邪を引いても大きな病気は今まで一度も患ったことの無い元気な彼が職場で倒れるなど余程のことだ。
「僕もさっき父から連絡が来たんだ。君のご家族は先に病院に向かってる。僕はここから職場も近いしうさぎさんを迎えに行くように君のお母さんからも頼まれて。」
「パパの様子は…!?」
「詳しいことはまだ分からないんだ。とにかく早く病院へ行こう。お母さんも進悟君も待ってるから。」
そう言いながらあっという間にうさぎの手荷物を受け取ると車の方へ促す。そして篠塚はまことと美奈子に一礼し詫びる。
「すみません、うさぎさんのお友達の方ですよね?突然こんな風に騒いだりして。とにかく急の用なので彼女を病院へ連れて行ってもいいでしょうか?」
「あ、私達も付いていきますっ!おじさんには私達も世話になっていますので。」
美奈子の言葉にまことも頷く。謙之が心配なのは勿論のことだが、この篠塚に対しても警戒を全て解いたわけでは無いからだ。うさぎの現状を考えれば誰かと二人きりになる状況は避けたかった。
「大丈夫です。僕は刑事。警察官ですよ。責任持って彼女を病院まで送り届けます。それに、今はご家族だけで会った方がいいと思います。僕も送ったらすぐに仕事に戻るつもりなので。」
警察手帳を胸ポケットから出すと人好きのする笑顔で篠塚は言う。
「篠塚さんは大丈夫だよ美奈P。皆にも伝えておいてくれる?」
うさぎにも言われ彼女たちは漸く頷いたのだった。
まだうさぎの身に何かが起こったわけではない。しかし何かが起こる前に防がなければ守る意味が無い。さすが刑事だけあってその表情から嘘のようなものは見えなかった。けれど職業上その程度の演技は簡単だとも言える。つまり彼の疑いが晴れたわけでは決して無いのだ。
それでも彼が何もまだしていない状態でこちら側から攻撃は出来ない。彼女たちはリスクがあることは承知の上で彼を泳がせ、尻尾を出すタイミングを計るために敢えて行かせたのだった。
白の車が走り出した直後。まことは自身のバイクに跨って追跡を始める。そして美奈子は仲間内全員に連絡を入れた。