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2.
男は玄関で乱暴に靴を脱ぎ明かりも付けずに部屋へと進む。
4LDKの広いその部屋は主の帰宅を無味乾燥とした気配で出迎える。
男はそのままリビングを通り過ぎ、自室の扉を開きベッド脇に脱いだ背広と荷物を放り、自身はベッドへ仰向けに倒れた。ネクタイを緩める。ベッドサイドの明かりを付け天井を見上げる。無だった表情に笑みが落ちた。
「ただいま。」
天井には大きく引き伸ばされた写真、それを囲むように貼られた無数の写真、写真、写真写真写真。
それらに微笑みかける男はもう一度囁いた。
そこに写る人物とは…
「ただいま――――うさぎ。」
男はベッドサイドにも置いている写真立てを取り、その中の人物の頬をそっと撫ぜた。
――――――
「何…?それはどれくらいの頻度だ?…そうか。それで今うさぎさんは?」
早朝。携帯に友人の名が記されているのを見て通話を始めたのは北崎賢人。大学在学中に司法試験にパスし、卒業と同時に法律事務所に就職した彼はまだ起きぬ恋人の剥き出しの肩にそっと毛布を掛けてやると自身も体を起こしてシャツを羽織る。
「その人物にうさぎさんが心当たりあるのかもう一度よく聞いてみろ。情報を集めることが最優先だ。」
『分かってる。』
「いいか衛。間違ってもお前一人でどうこうしようとするな。お前はうさぎさんのことになると冷静さを欠いてしまうのが常だからな。」
『ああ。美奈たちにも知らせておいてくれ。大学内で何か無いとも限らない。』
美奈子とまことはうさぎと同じ短大に通っていた。
他の仲間達も自然とうさぎの下に集まってくる。それならばうさぎの身に何が起こっているのか知らせない方が不自然だ。
それから二言三言会話を続けた後賢人は通話を終える。と同時にシャツの袖を引かれて隣の恋人に視線を向けた。
「賢人…?うさぎに何かあったの?」
「美奈子。今日は支度をしたらそのままうさぎさんの所へ迎えに行け。」
「え?」
彼から手渡される衣類を受け取りながら今の電話でのやり取りを伝えられる。彼女の表情は戦士であった頃のような雰囲気を纏わせた。
「そいつも、何を考えてるのか知らないけどよりによってうさぎを狙うだなんて運が悪いわね。」
「全くだ。我らのプリンセスを脅かす不届き者はどうなるか。俺達が完膚なきまでに叩きのめして知らしめてやろう。」
戦術の守護戦士リーダーと英知の四天王リーダーは一瞬ギラリと闘志を瞳に宿し互いに口角を上げて笑む。そして恋人同士としての時間に区切りをつけるかのように、そこに一縷の未練も残さずにベッドから立ち上がった。
男は玄関で乱暴に靴を脱ぎ明かりも付けずに部屋へと進む。
4LDKの広いその部屋は主の帰宅を無味乾燥とした気配で出迎える。
男はそのままリビングを通り過ぎ、自室の扉を開きベッド脇に脱いだ背広と荷物を放り、自身はベッドへ仰向けに倒れた。ネクタイを緩める。ベッドサイドの明かりを付け天井を見上げる。無だった表情に笑みが落ちた。
「ただいま。」
天井には大きく引き伸ばされた写真、それを囲むように貼られた無数の写真、写真、写真写真写真。
それらに微笑みかける男はもう一度囁いた。
そこに写る人物とは…
「ただいま――――うさぎ。」
男はベッドサイドにも置いている写真立てを取り、その中の人物の頬をそっと撫ぜた。
――――――
「何…?それはどれくらいの頻度だ?…そうか。それで今うさぎさんは?」
早朝。携帯に友人の名が記されているのを見て通話を始めたのは北崎賢人。大学在学中に司法試験にパスし、卒業と同時に法律事務所に就職した彼はまだ起きぬ恋人の剥き出しの肩にそっと毛布を掛けてやると自身も体を起こしてシャツを羽織る。
「その人物にうさぎさんが心当たりあるのかもう一度よく聞いてみろ。情報を集めることが最優先だ。」
『分かってる。』
「いいか衛。間違ってもお前一人でどうこうしようとするな。お前はうさぎさんのことになると冷静さを欠いてしまうのが常だからな。」
『ああ。美奈たちにも知らせておいてくれ。大学内で何か無いとも限らない。』
美奈子とまことはうさぎと同じ短大に通っていた。
他の仲間達も自然とうさぎの下に集まってくる。それならばうさぎの身に何が起こっているのか知らせない方が不自然だ。
それから二言三言会話を続けた後賢人は通話を終える。と同時にシャツの袖を引かれて隣の恋人に視線を向けた。
「賢人…?うさぎに何かあったの?」
「美奈子。今日は支度をしたらそのままうさぎさんの所へ迎えに行け。」
「え?」
彼から手渡される衣類を受け取りながら今の電話でのやり取りを伝えられる。彼女の表情は戦士であった頃のような雰囲気を纏わせた。
「そいつも、何を考えてるのか知らないけどよりによってうさぎを狙うだなんて運が悪いわね。」
「全くだ。我らのプリンセスを脅かす不届き者はどうなるか。俺達が完膚なきまでに叩きのめして知らしめてやろう。」
戦術の守護戦士リーダーと英知の四天王リーダーは一瞬ギラリと闘志を瞳に宿し互いに口角を上げて笑む。そして恋人同士としての時間に区切りをつけるかのように、そこに一縷の未練も残さずにベッドから立ち上がった。