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『次の雨の日には』(親子+内部)
※未来。ちびちゃん3歳設定です。
「ねえルナP!似合う??」
あたしはパパとママからもらった新しい長靴を履いてレインコートを着て、最後に傘まで開いて。ルナPにはしゃいで聞いた。
クルクル、ふよふよ。あたしの周りをゆっくりと回るルナPは最後に正面でコクリと頷いてくれる。
「えへへー♪皆に見せてこよっと!!」
あたしはヴィーナスたちに見せに部屋から飛び出した。
「あらー!プリンセス!新しい雨グッズですね。そのピンクの傘とっても可愛いですよ♪」
「ホントだ。その長靴なら水溜りでも一杯遊べますね!」
一緒にいたヴィーナスとジュピターのその言葉に大きく頷く。「このピンクの傘と長靴はパパが選んでくれたの!」そう言うと、どうしてか分からないけどヴィーナスは「キングもすっかり親バカねー」とちょびっとイタズラっこみたいな顔して笑った。その横でジュピターも面白そうに笑ってた。
「パパはバカじゃないよ!優しいもん!!」
ぷうっとほっぺたを膨らませてあたしが言うと、ヴィーナスとジュピターは目を丸くしたあと困ったように笑いながら謝ってくれた。
もう!ヴィーナスってば!!パパのことバカなんて言って!!…でも、「オヤバカ」って、何だろう?
怒ったり不思議に思ったりしながら走っていると、たくさんの本を抱えたマーキュリーがあたしに気付いてくれた。
「とっても似合ってますよプリンセス。そのレインコートなら少しの雨も大丈夫ですね。」
「うん!前のがちっちゃくなっちゃったから膝のところまで隠れるの、ママがくれたんだよ!このうさちゃんのマーク、可愛いでしょー!!」
ママが付けてくれたうさぎのワッペンをジャーンと言いながらマーキュリーに見せると、とっても優しい笑顔で「かわいいです」と言ってくれた。
「でも梅雨になったはずなのに今週…しばらくは晴れが続くみたいですね。」
「えーーー!雨、降らないの!!??」
「予報では。」
「やだやだ絶対雨降るんだもん!!あ!そうだ!マーキュリーなら降らせられるでしょ??水の戦士だもんね!?」
「プリンセス…それは、ですね…」
「私が雨乞いして、雨を降らせてあげますよ、プリンセス。」
「マーズ!」
困っていたマーキュリーの肩に後ろから手を置いて言ったマーズはウインクして微笑んだ。あたしはとっても嬉しかったんだけど、マーキュリーはなんだかとても不思議なものを見るかのようにマーズのことをポカンと見つめてた。
「どうしたんだ?三人で、何の相談かな?」
「パパ!あのね、皆にこの格好を見せたくて!皆褒めてくれたよ!!でもね、マーキュリーから明日もその次も雨が降らないって聞いて。そしたらマーズが雨を降らせてくれるって!!」
今まであったことを一気に話すとパパはうんうんと頷きながら聞いてくれて、最後にポンポンと優しくあたしの頭を撫でてくれた。
「そうか、マーズが。それは楽しみだな。」
にっこりと笑って言うパパにマーズは真っ赤にして怒ったような顔になる。
「っ何ですかキング!私がプリンセスを喜ばせたいと思うのがそんなに珍しいですかっ」
「いやいや、ありがとう。」
そこまで話していたらヴィーナスとジュピター、それにママもあたし達のことを見つけると集まってきた。
そこであたしは思い出してパパに尋ねる。
「あ。そうだ。さっきね、ヴィーナスがパパのこと言ってたんだけど、オヤバカってなあに?」
「……ん?」
あれ?あたし、変なこと言ったかな??
「ちょっとヴィーナス、話をしようか」と笑ったままのパパの言葉に顔をひくひくさせて後ろに下がるヴィーナス。それを苦笑いして見守るマーキュリーとジュピターに深ーい溜め息を付くマーズ。そして誰よりも嬉しそうにニコニコしているママ。これってちょっと、やっぱり変だよね?
「親バカっていうのはね、子どものこと、パパにとってあなたのことがだ~い好きってことなのよ?」
困っていたあたしだったけど、傍に寄って耳元で教えてくれたママの言葉にほっとして笑顔になった。
「じゃああたしは子どもバカだね!!だって、パパと、ママのこと大大大だ~いすきだもんっ♪」って答えたら、さっきまでの空気がさっと変わって。皆揃って微笑んでくれた。
次に雨が降ったら、皆のこと、あたしが連れてってあげるからね。カタツムリさんや、水溜りもたくさん見つけて、みんなでいっぱい、遊ぼうね。きっとすっごく楽しいよ?
次の雨の日をわくわくして思い浮かべたあたしは、マーズのアマゴイのお手伝いもしなくちゃとやる気満々に頷いた。