覚めない夢はないけれど(クンヴィ)
触れる
あふれて
夢をみる
ーーーーー
キスされた後。誰の目にも触れられたくないかのように彼はあたしの肩を抱いて小さな宿屋に連れて行った。逃げることもできたけれど、もう、そんな事はしなかった。
彼から初めて嫉妬という感情をぶつけられて…あたしを縛りつける何もかもが遠く彼方に飛んでいってしまったのように感じたの。
「ん、も…だめっ」
「すまない…」
そうして何度目かわからないキスをされる。
優しい人だって分かってた。あたたかい人だって、知ってた。あたしがいつだって線を引いていたからそれに気付いて。でもあたしが何を思っているのかは気付かないふりをして、触れられない壁を隔てて…あたしが楽に息をできるように距離を置いてくれていた。
知っていたわ。あなたはそういう人だって。
それなのに今、あなたはあたしのことを囲うようにして離さない。
やめてと言っても、だめだと言っても。苦しそうに眉間に皺を縦に作って謝りながら、一層強くあたしのことを閉じ込める。
どうしよう
嬉しい
こんなにあなたの温かさに体全部が覆われて、涙が出るほど…あたしは彼への愛おしさでいっぱいになるの。
全身、触れられてないところなんてないくらい彼からの熱を受けたあたしは…注がれるものが実を結ぶことがないことを知りながら、小さくて柔らかい手を引いて、彼と並んで歩く夢を見た。
あふれて
夢をみる
ーーーーー
キスされた後。誰の目にも触れられたくないかのように彼はあたしの肩を抱いて小さな宿屋に連れて行った。逃げることもできたけれど、もう、そんな事はしなかった。
彼から初めて嫉妬という感情をぶつけられて…あたしを縛りつける何もかもが遠く彼方に飛んでいってしまったのように感じたの。
「ん、も…だめっ」
「すまない…」
そうして何度目かわからないキスをされる。
優しい人だって分かってた。あたたかい人だって、知ってた。あたしがいつだって線を引いていたからそれに気付いて。でもあたしが何を思っているのかは気付かないふりをして、触れられない壁を隔てて…あたしが楽に息をできるように距離を置いてくれていた。
知っていたわ。あなたはそういう人だって。
それなのに今、あなたはあたしのことを囲うようにして離さない。
やめてと言っても、だめだと言っても。苦しそうに眉間に皺を縦に作って謝りながら、一層強くあたしのことを閉じ込める。
どうしよう
嬉しい
こんなにあなたの温かさに体全部が覆われて、涙が出るほど…あたしは彼への愛おしさでいっぱいになるの。
全身、触れられてないところなんてないくらい彼からの熱を受けたあたしは…注がれるものが実を結ぶことがないことを知りながら、小さくて柔らかい手を引いて、彼と並んで歩く夢を見た。