デート日和、時々嵐。(まもうさ遠)
あの後まもちゃんも一回で一個取ってくれて、景品用の袋の中には色違いのネコちゃんたちが仲良く詰められていた。
「ありがとうね、二人とも」
笑顔でそう言うと、やっぱり大人しく二人は笑みを返してくれる。
「これ、美奈Pたちのお土産にする。ほら、みんなのカラーにピッタリでしょ?」
オレンジ、水色、赤、緑のお洋服着たネコちゃんを見せて言うと、「そういえばそうだな」とまもちゃんは感心したように答えてくれる。
「うさぎちゃんは? この白い子?」
「うん。あとこっちのまもちゃんが取ってくれたピンクの子も。大切にするね」
「ああ」
「嬉しいよ、うさぎちゃん」
ぽんぽんとまもちゃんに頭を撫でられ、遠藤さんにきゅっと手を繋がれる。
んーー…なんだかこれ、やっぱりちょーっとあたしの心臓保たないかもしれない。
「あ、あの、次はどれで遊ぼうか!」
「じゃあ、あれは?」
遠藤さんが指さしたのはプリクラだった。
「初めて見るなと思って。気になってたんだ」
そっか。遠藤さんが現れた時にはまだあの機械ってなかったんだっけ。
プリクラ…この前まもちゃんとも初めて撮ったけど、結構…密着するのよね。
どうしよう、とチラッとまもちゃんを見れば、ふーっとため息をついて仕方ないと呟いて頷いた。
「一回撮れば満足するだろ」
と適当に話す。
まあ、そうだよね。遠藤さんがしたいことを叶えればきっとまもちゃんの体に戻るはず。
あたしもうんと頷いてプリクラへと向かった。
「ほらうさぎちゃん。もっとくっつかないと」
「うさ、俺の方に腕回して」
「腰はオレが支えるから安心してね」
「ちょ、ちょちょっとふたりともっっ!」
「はあ…うさぎちゃん可愛い」
ちゅっと頬に唇を寄せる遠藤さん。
「うさ、俺にもキスして」
「まもちゃ…っ」
顔を引き寄せられてあっという間にまもちゃんにもキスされる。
「今度はオレ」
「わっあわわ…っんぅ…っ」
次々と鳴るシャッター音とともに、これ以上ないほど密着したあたしたちは、絶対誰にも見せられないようなキスプリを撮るハメになってしまった。
撮り終わると遠藤さんはふっと腕を解いて笑う。
「あー、楽しかったな。ありがとう、うさぎちゃん」
ちゅっとキスしてそんな言葉を残した彼は次の瞬間。姿形がどこにも見えなくなった。
まもちゃんの方を見ると、ぼやっとした光が揺らめいて体の中に吸収されるように消えていく。
え、これって。もしかしなくても、戻った……??
「っとに。毎度毎度お騒がせな奴だな」
まもちゃんは口をへの字にしてやれやれ、と肩をすくめた。その後撮影ブースを出たあたしたちはプリントアウトされる取り出し口に移動する。そしてやっぱり、どうしても。気になることをあたしは口にした。
「ねえ、まもちゃん? なんで遠藤さんって出てきちゃうようになったんだろうね??」
「……」
「もしかして、まもちゃんの…」
「うーさ? それ以上は聞かない方がいーよ」
手をきゅっと握ってもう片方の手でしーっと人差し指を立てるちょっと悪い顔をする恋人に、あたしの心臓はぴゃっと震える。
そして彼にくすくす手渡されるプリントされたシールのあられもないあたしたちの写真を見て、今度は遅れてきた恥ずかしさで全身真っ赤に大噴火した。
それからあたしのことを意地悪な顔して「オレんちに帰ろ」と手を引くまもちゃんはどこか遠藤さんで、遠藤さんはやっぱりまもちゃんなんだと……整理しきれない頭の片隅で思うのだった。
おわり
2023.10.16
「ありがとうね、二人とも」
笑顔でそう言うと、やっぱり大人しく二人は笑みを返してくれる。
「これ、美奈Pたちのお土産にする。ほら、みんなのカラーにピッタリでしょ?」
オレンジ、水色、赤、緑のお洋服着たネコちゃんを見せて言うと、「そういえばそうだな」とまもちゃんは感心したように答えてくれる。
「うさぎちゃんは? この白い子?」
「うん。あとこっちのまもちゃんが取ってくれたピンクの子も。大切にするね」
「ああ」
「嬉しいよ、うさぎちゃん」
ぽんぽんとまもちゃんに頭を撫でられ、遠藤さんにきゅっと手を繋がれる。
んーー…なんだかこれ、やっぱりちょーっとあたしの心臓保たないかもしれない。
「あ、あの、次はどれで遊ぼうか!」
「じゃあ、あれは?」
遠藤さんが指さしたのはプリクラだった。
「初めて見るなと思って。気になってたんだ」
そっか。遠藤さんが現れた時にはまだあの機械ってなかったんだっけ。
プリクラ…この前まもちゃんとも初めて撮ったけど、結構…密着するのよね。
どうしよう、とチラッとまもちゃんを見れば、ふーっとため息をついて仕方ないと呟いて頷いた。
「一回撮れば満足するだろ」
と適当に話す。
まあ、そうだよね。遠藤さんがしたいことを叶えればきっとまもちゃんの体に戻るはず。
あたしもうんと頷いてプリクラへと向かった。
「ほらうさぎちゃん。もっとくっつかないと」
「うさ、俺の方に腕回して」
「腰はオレが支えるから安心してね」
「ちょ、ちょちょっとふたりともっっ!」
「はあ…うさぎちゃん可愛い」
ちゅっと頬に唇を寄せる遠藤さん。
「うさ、俺にもキスして」
「まもちゃ…っ」
顔を引き寄せられてあっという間にまもちゃんにもキスされる。
「今度はオレ」
「わっあわわ…っんぅ…っ」
次々と鳴るシャッター音とともに、これ以上ないほど密着したあたしたちは、絶対誰にも見せられないようなキスプリを撮るハメになってしまった。
撮り終わると遠藤さんはふっと腕を解いて笑う。
「あー、楽しかったな。ありがとう、うさぎちゃん」
ちゅっとキスしてそんな言葉を残した彼は次の瞬間。姿形がどこにも見えなくなった。
まもちゃんの方を見ると、ぼやっとした光が揺らめいて体の中に吸収されるように消えていく。
え、これって。もしかしなくても、戻った……??
「っとに。毎度毎度お騒がせな奴だな」
まもちゃんは口をへの字にしてやれやれ、と肩をすくめた。その後撮影ブースを出たあたしたちはプリントアウトされる取り出し口に移動する。そしてやっぱり、どうしても。気になることをあたしは口にした。
「ねえ、まもちゃん? なんで遠藤さんって出てきちゃうようになったんだろうね??」
「……」
「もしかして、まもちゃんの…」
「うーさ? それ以上は聞かない方がいーよ」
手をきゅっと握ってもう片方の手でしーっと人差し指を立てるちょっと悪い顔をする恋人に、あたしの心臓はぴゃっと震える。
そして彼にくすくす手渡されるプリントされたシールのあられもないあたしたちの写真を見て、今度は遅れてきた恥ずかしさで全身真っ赤に大噴火した。
それからあたしのことを意地悪な顔して「オレんちに帰ろ」と手を引くまもちゃんはどこか遠藤さんで、遠藤さんはやっぱりまもちゃんなんだと……整理しきれない頭の片隅で思うのだった。
おわり
2023.10.16