残したいモノ(まもうさちび)

 まっさらな朝。衛の部屋で甘い言葉を交わして微笑み合う二人がいた。
 昨夜の50回のプロポーズ。そして今朝もまた、うさぎのおねだりに根負けして51回目のプロポーズの言葉を送った衛に彼女は目一杯抱きつく。
 そして、彼の肩越しに見える写真が一枚。
 
 そう。それはあの日のアイスを片手に顔を寄せ合って笑う三人がおさまっていて。
 うさぎの瞳からはキラキラとした希望こうふくの涙が一筋こぼれていった。


 ※※※
 
 30世紀のクリスタルパレスでは、ベッドで眠る王女がぱちりと目を覚ました瞬間。
「スモールレディ!」
 ダイアナが勢いよく顔面に飛び込んできた。
「ちょ、ダイアナーーっっ?!」
 立派ですー! さすが次期クイーンですぅうと号泣する仔猫の身体をなんとかべりっと引き離すと、彼女もまた、近くに置いてある写真立てを見て笑った。それは衛の部屋にあるものと同じもの。写真を撮ってすぐに、うさぎが張り切って焼き増ししてくれたのだ。
 渡してくれた時の大好きな笑顔を心に浮かべながら、クリスタルパレスのプリンセスは写真立てをそっと胸に抱きしめた。

 残したいモノ
 
 心の中の宝物

 もうきっと、過去の二人とは会う事はないのだろうけれど

 それでも

 あの日の十番街の幸せなひとときは、


 ずっとずっと、消えないから


 だからあたしたちは

 時を超えて


 ずっと繋がって歩いていけるの  


 胸の中の星を光らせて、これからもずっと生きていく

 大好きなあなたが

 迷わず



 希望の道を歩いていけるように



おわり
2023.7.11
 
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