エンセレ政略結婚。
「私は、離縁なんてしないわ」
「なぜ?俺の事など嫌いでしょう」
「顔も見たくない程嫌ってるのはあなたの方でしょ!?」
「…その通りだ。そもそも月の人間と婚姻など間違っていた」
「私は!使命のために来たの!月と地球の平和の架け橋になろうと…だから」
そうよ、初めはそれだけだったのに。貴方の事が気になって…
「なるほど。では尚のことこの婚姻は無意味です。別に我々はあなた方の国と敵対しようなどと思ってはいませんし、これからもそんな事を考える余裕もありません」
「待ってよ…それじゃあ貴方は本当に私の事を必要とはしていないの?夫としても、王としても…」
だめ…泣いたりなんかしたら、だめよ
※※※
「それは……」
本当は俺の手はこんなにも君を求めてて。だから早く遠くへ行って欲しくて
「もう私には帰る場所なんて無いのに。今更月になんて帰れない」
「そんな事は無いでしょう」
「私っ帰れない。貴方の事がこんなに好きになってしまったのに…帰れない…!」
「え……」
泣きじゃくる彼女の震える肩を触れようとした瞬間、駆け出してしまう。
※※※
「待って!」
「嫌!」
追ってこないで!私の事なんて嫌いなのに、いらないのに…っ
「待ってくれ!」
「やだっ…!?」
え…?何…?抱きしめ、られてる…?
「俺は…」
声が震えてる…どうして?
「俺も君が…」
顔を上げたら唇に初めての感触が触れて、その熱さに心臓も、流していた涙も…止まってしまったの。
何度キスされただろう。ついさっきまでは全く見てもくれなかった彼の瞳がこれ以上ないくらい近くで私の事だけを映してる。
初めてのキスは想像していたよりもずっと激しくて、熱くて。考える力も何もかも奪っていって。
「ごめん、セレニティ」
「なぜ謝るの?」
「君だけは死なせたくない。だから……離縁してくれ」
意味が、分からなかった。だって今のキスは?あなたも私と同じ気持ちという事じゃないの?けど、あなたは一言も私の事を好きだなんて言ってない。
「私は死んだりなんかしないわっ!あなたが……私の事を愛してくれているなら」
声が震えた。だって、もしかしたら違うかもしれない。
分からないもの。人をこんなに好きになった事なんてなくて。
初めてなんだもの。ただでさえあなたはいつも謎だらけで。
でもこんなに唇が、熱いから。
あなたの瞳が、熱いから。
「教えて。あなたの気持ち」
顔を上げられなくて抱き付いたら引き離されることもなくて、ただ温もりがそっと私を包んだ。
確かに抱きしめられていたのにすまないと一言押し殺した声で謝って突き離すと、目を合わす事も無く立ち去ってしまった。
私は引き止めることもできなかった。涙が私の肩に落ちてきて彼の一人で抱え込んでいる気持ちに触れてしまったから。
気づいてたわ
喧嘩ばかりだったけど貴方は本当は優しい人だって
この国の事を少しでも勉強しようと自室で本を読んでいたらやっぱり難しくて寝てしまって。気付いたら毛布が掛けられていた事。
いつも部屋に飾られている花はジュピターからかと思っていたのに、ある日庭園で花を手に取って微笑む貴方の横顔を見付けて胸が痛くなって慌てて逃げた事。
気付いていたわ
でも、貴方は何も話してくれなかった。
それが今少しだけ分かった。
私を死なせない為?
一体誰がそんな事を?
私は平和でみんなが心から笑い合う月で過ごして来た。気づかなかったけれど私は幸せだったんだ。あまりにも何も知らない。これじゃあ貴方の力になれない。
私が今貴方の為にできる事は、何?
「なぜ?俺の事など嫌いでしょう」
「顔も見たくない程嫌ってるのはあなたの方でしょ!?」
「…その通りだ。そもそも月の人間と婚姻など間違っていた」
「私は!使命のために来たの!月と地球の平和の架け橋になろうと…だから」
そうよ、初めはそれだけだったのに。貴方の事が気になって…
「なるほど。では尚のことこの婚姻は無意味です。別に我々はあなた方の国と敵対しようなどと思ってはいませんし、これからもそんな事を考える余裕もありません」
「待ってよ…それじゃあ貴方は本当に私の事を必要とはしていないの?夫としても、王としても…」
だめ…泣いたりなんかしたら、だめよ
※※※
「それは……」
本当は俺の手はこんなにも君を求めてて。だから早く遠くへ行って欲しくて
「もう私には帰る場所なんて無いのに。今更月になんて帰れない」
「そんな事は無いでしょう」
「私っ帰れない。貴方の事がこんなに好きになってしまったのに…帰れない…!」
「え……」
泣きじゃくる彼女の震える肩を触れようとした瞬間、駆け出してしまう。
※※※
「待って!」
「嫌!」
追ってこないで!私の事なんて嫌いなのに、いらないのに…っ
「待ってくれ!」
「やだっ…!?」
え…?何…?抱きしめ、られてる…?
「俺は…」
声が震えてる…どうして?
「俺も君が…」
顔を上げたら唇に初めての感触が触れて、その熱さに心臓も、流していた涙も…止まってしまったの。
何度キスされただろう。ついさっきまでは全く見てもくれなかった彼の瞳がこれ以上ないくらい近くで私の事だけを映してる。
初めてのキスは想像していたよりもずっと激しくて、熱くて。考える力も何もかも奪っていって。
「ごめん、セレニティ」
「なぜ謝るの?」
「君だけは死なせたくない。だから……離縁してくれ」
意味が、分からなかった。だって今のキスは?あなたも私と同じ気持ちという事じゃないの?けど、あなたは一言も私の事を好きだなんて言ってない。
「私は死んだりなんかしないわっ!あなたが……私の事を愛してくれているなら」
声が震えた。だって、もしかしたら違うかもしれない。
分からないもの。人をこんなに好きになった事なんてなくて。
初めてなんだもの。ただでさえあなたはいつも謎だらけで。
でもこんなに唇が、熱いから。
あなたの瞳が、熱いから。
「教えて。あなたの気持ち」
顔を上げられなくて抱き付いたら引き離されることもなくて、ただ温もりがそっと私を包んだ。
確かに抱きしめられていたのにすまないと一言押し殺した声で謝って突き離すと、目を合わす事も無く立ち去ってしまった。
私は引き止めることもできなかった。涙が私の肩に落ちてきて彼の一人で抱え込んでいる気持ちに触れてしまったから。
気づいてたわ
喧嘩ばかりだったけど貴方は本当は優しい人だって
この国の事を少しでも勉強しようと自室で本を読んでいたらやっぱり難しくて寝てしまって。気付いたら毛布が掛けられていた事。
いつも部屋に飾られている花はジュピターからかと思っていたのに、ある日庭園で花を手に取って微笑む貴方の横顔を見付けて胸が痛くなって慌てて逃げた事。
気付いていたわ
でも、貴方は何も話してくれなかった。
それが今少しだけ分かった。
私を死なせない為?
一体誰がそんな事を?
私は平和でみんなが心から笑い合う月で過ごして来た。気づかなかったけれど私は幸せだったんだ。あまりにも何も知らない。これじゃあ貴方の力になれない。
私が今貴方の為にできる事は、何?