嫉妬シリーズ(前サイトからの移行作品集)
『promise』(エリレディ)
ここはかつてゴールデンキングダムが統治していた美しき楽園、エリュシオン。
私と恋人のエリオスは、パレスでの公務から解放された時によくこの地を訪れていた。
エリオスがパパに許しをもらってパレスに移住してきてから丁度1年くらい経ったかしら。
私たちの関係はといえば極めて順調。セレスたちに婚儀はいつですか、なんて冷やかされるくらいには幸せな日々を送っていた。
「いつ来てもここは本当に何もかも綺麗ね。」
「…そうですね。」
「また花を摘んでママにプレゼントしようかな。」
「…喜ばれますよ、きっと。」
彼より少し前に歩いていた満面の笑顔の私と比べて、どことなく心ここに在らずな恋人の対応に違和感を抱いて振り返った。
すると彼は目線を足元に向けていて、思案しているように何だか難しい顔をしていた。
「エリオス!久しぶりのデートだって言うのに仕事のことでも考えてるの!?」
「え?」
腰に手をやり膨れる私の顔を見たエリオスは困惑気味に声を上げる。
「ちっとも楽しそうじゃないんだもん!」
「そんなことは…」
やっぱり歯切れの悪い彼に対して、怒りよりも悲しくなってきた私は目を逸らして瞳を震わせた。
「毎日一緒にいて、私のことなんて飽きちゃった?」
「そんなことあるはずない!!」
いつになく荒々しい口調で彼は私の手をぐっと掴んだ。
私を見つめる瞳はとても真剣で、これだけは一歩も譲れないという思いが伝わってくる。
そんな表情に私も顔が赤くなっていくのが分かったけれど、さっきの彼の様子も気になっていることには変わりなくて。
潤んだままの瞳でもう一度恋人に尋ねる。
「じゃあ…何で難しい顔してたのか教えて。」
「それは…」
「それは?」
「最近の君が綺麗過ぎて困ってたんだ。」
「…………へ?」
ものすごーく真剣な顔で何を言われるのかと身構えていたのに、出てきた内容は予想のどれにも当て嵌まらなくて。一瞬思考が停止した後理解した時には、更に私の顔はボンっと音を立てるように赤くなった。
「レディは知らないかもしれないけど、最近の君はどんどん美しくなっていてパレスでも皆噂してるんですよ。僕の臣下も勿論ですが、裏方の料理長のタケノさんまで言ってるんですから、それはもうパレスの男性一人残らず全員がそう思っているのと同じことです。」
「エ…エリオス??」
急に堰を切ったように話す彼の言葉に戸惑いを隠せない。
そんな風に何も言えない私の事を包み込むように抱き締められて、驚く間もなく耳元に唇を寄せられた。
「僕だけの…プリンセスなのに…」
悔しそうに、でもとびきり甘く紡ぐ囁きは、私の心臓を飛び上がらせた。
頬に触れるだけのキスを落としてそっと優しく彼の手が頭を撫でていく。
「自分がこんな風に思うなんて…知りませんでした。君の事を誰にも渡したくない、見せたくないなんて。レディこそこんなに器の狭い僕のこと、嫌ではありませんか?」
切なそうに言う彼の声に胸が震えた。だから私は顔を上げて真っ直ぐに見つめる。
「嫌なわけないよ!私が、その…綺麗に見えるのだってエリオスのお陰だもん。」
「え?」
「恋をしたら、女の子は綺麗になるの!だから、それだけ私はエリオスのこと大好きってこと!!要するにエリオスは何も心配することなんて無いんだからね!!」
「レディ…君という人は…」
そう言った後、彼は今日一番の笑顔を私に向けてくれた。
嬉しくて、ちょっと恥ずかしくなった私は彼の手を引くと笑顔で振り向く。
「エリシュオンで一番綺麗な花、探しに行こう!」
「うわ!!レディ!急に走らないで!」
私が笑う
あなたが笑う
ほら、それだけでこんなに私は幸せよ
――――――
君が笑う
僕が笑う
どんな綺麗な花も敵わない笑顔が眩しい君に、やっぱり一つだけわがままを言わせて
約束をしたいんだ
これからもずっと一緒に歩んで行ける約束を
それを交した時。願わくば、今までで一番の笑顔が輝きますように
おわり
ここはかつてゴールデンキングダムが統治していた美しき楽園、エリュシオン。
私と恋人のエリオスは、パレスでの公務から解放された時によくこの地を訪れていた。
エリオスがパパに許しをもらってパレスに移住してきてから丁度1年くらい経ったかしら。
私たちの関係はといえば極めて順調。セレスたちに婚儀はいつですか、なんて冷やかされるくらいには幸せな日々を送っていた。
「いつ来てもここは本当に何もかも綺麗ね。」
「…そうですね。」
「また花を摘んでママにプレゼントしようかな。」
「…喜ばれますよ、きっと。」
彼より少し前に歩いていた満面の笑顔の私と比べて、どことなく心ここに在らずな恋人の対応に違和感を抱いて振り返った。
すると彼は目線を足元に向けていて、思案しているように何だか難しい顔をしていた。
「エリオス!久しぶりのデートだって言うのに仕事のことでも考えてるの!?」
「え?」
腰に手をやり膨れる私の顔を見たエリオスは困惑気味に声を上げる。
「ちっとも楽しそうじゃないんだもん!」
「そんなことは…」
やっぱり歯切れの悪い彼に対して、怒りよりも悲しくなってきた私は目を逸らして瞳を震わせた。
「毎日一緒にいて、私のことなんて飽きちゃった?」
「そんなことあるはずない!!」
いつになく荒々しい口調で彼は私の手をぐっと掴んだ。
私を見つめる瞳はとても真剣で、これだけは一歩も譲れないという思いが伝わってくる。
そんな表情に私も顔が赤くなっていくのが分かったけれど、さっきの彼の様子も気になっていることには変わりなくて。
潤んだままの瞳でもう一度恋人に尋ねる。
「じゃあ…何で難しい顔してたのか教えて。」
「それは…」
「それは?」
「最近の君が綺麗過ぎて困ってたんだ。」
「…………へ?」
ものすごーく真剣な顔で何を言われるのかと身構えていたのに、出てきた内容は予想のどれにも当て嵌まらなくて。一瞬思考が停止した後理解した時には、更に私の顔はボンっと音を立てるように赤くなった。
「レディは知らないかもしれないけど、最近の君はどんどん美しくなっていてパレスでも皆噂してるんですよ。僕の臣下も勿論ですが、裏方の料理長のタケノさんまで言ってるんですから、それはもうパレスの男性一人残らず全員がそう思っているのと同じことです。」
「エ…エリオス??」
急に堰を切ったように話す彼の言葉に戸惑いを隠せない。
そんな風に何も言えない私の事を包み込むように抱き締められて、驚く間もなく耳元に唇を寄せられた。
「僕だけの…プリンセスなのに…」
悔しそうに、でもとびきり甘く紡ぐ囁きは、私の心臓を飛び上がらせた。
頬に触れるだけのキスを落としてそっと優しく彼の手が頭を撫でていく。
「自分がこんな風に思うなんて…知りませんでした。君の事を誰にも渡したくない、見せたくないなんて。レディこそこんなに器の狭い僕のこと、嫌ではありませんか?」
切なそうに言う彼の声に胸が震えた。だから私は顔を上げて真っ直ぐに見つめる。
「嫌なわけないよ!私が、その…綺麗に見えるのだってエリオスのお陰だもん。」
「え?」
「恋をしたら、女の子は綺麗になるの!だから、それだけ私はエリオスのこと大好きってこと!!要するにエリオスは何も心配することなんて無いんだからね!!」
「レディ…君という人は…」
そう言った後、彼は今日一番の笑顔を私に向けてくれた。
嬉しくて、ちょっと恥ずかしくなった私は彼の手を引くと笑顔で振り向く。
「エリシュオンで一番綺麗な花、探しに行こう!」
「うわ!!レディ!急に走らないで!」
私が笑う
あなたが笑う
ほら、それだけでこんなに私は幸せよ
――――――
君が笑う
僕が笑う
どんな綺麗な花も敵わない笑顔が眩しい君に、やっぱり一つだけわがままを言わせて
約束をしたいんだ
これからもずっと一緒に歩んで行ける約束を
それを交した時。願わくば、今までで一番の笑顔が輝きますように
おわり