嫉妬シリーズ(前サイトからの移行作品集)
『夢見たものは』(まもうさ+エンディミオン)
どうしても大学の研究のレポートが残っていて、うさが来ていてもなかなか相手をしてやることが出来なかった。
始めからその事は彼女に言っていたけれど、
『それでもいい!まもちゃんのそばにいたいんだもん。』
上目遣いで必死に訴えてくるから…断り切れなかった。
俺だってせっかくの休みなんだから一緒にいたいという気持ちが無い訳じゃない。
むしろ一緒にいたい。
だけどすぐ近くにいるのになかなか触れられないのが辛い、ということも否定は出来なかった。
それでもいざはじめてしまうと周りが見えなくなるほどの集中力は、学力の上では向上に繋がるものの、今の状況を考えれば悲しき能力。
結局うさのことを随分と長い時間放置してしまっていた。
「うさ、ごめんな遅くなって。」
自室のドアを開けてリビングに目を向ける。ソファーにもたれている彼女に話し掛けるが返事がなかった。
そしてうさの正面まで移動すると、やっぱり…という気持ちになる。
彼女は規則正しい寝息を立てていた。
あまりにも気持ち良さそうに寝ているものだから、自然と微笑んでしまう。
春とは言っても夕方は肌寒い。俺は自室に戻って毛布を出すとうさに掛けてやった。
「ん…」
もぞもぞ動き、声を漏らしたから起こしたかと思ったが、再び寝息を立て始めた。
さて、夕飯はどうするかな…うさが起きるまでに何か作るか。かまってやれなかった詫びに好きなものをたくさん作ってやろう。
今日一日分の笑顔でいられるように…。
俺はそう思い、財布を取りに行こうとした時だった。
「…ありがとう…」
うさの声がして驚いて彼女の方を見る。
「うさ…?」
しかしやはり返事はない。
寝言、か…。
俺は苦笑して背を向け、離れようとする。
「ありがとう…来てくれて…エンディミオン…。」
え?
うさの口から飛び出した名前にもう一度振り向いた。
「エンディミオン…」
そして彼女は、ふふっと笑って幸せそうな顔を浮かべる。
相変わらず目を閉じたままで夢の世界にいることは間違いなく…。
だけどうさが前世の俺を呼ぶ声はとてもリアルで。
俺は何とも言えない気持ちでうさを見つめた―――――
※※※
エンディミオンは確かに前世の俺だけど…それはやはり『俺』ではない。
俺がうさのことを笑顔にしたかったのに…
夢の中のエンディミオンに先を越されてしまった。
俺が俺にこんな気持ちになるなんて馬鹿げてる。
どれだけこいつを独り占めしたいんだ、と自分に突っ込みたくなる。
だけど今のうさは間違いなく今の俺を思っていない…。
そう考えるとどうしても嫉妬という感情が沸き上がってきてしまう。
夢の中では君はセレニティなのか?
俺はここにいるよ。
エンディミオンはセレニティを愛したけれど、地場衛は月野うさぎを愛してる。
だから…俺を見てくれ。
夢から醒めて…。
まるで白雪姫のラストシーンのように眠る彼女にキスを落とす。
唇を離せば瞳を開けて頬を赤く染めるうさがいて…。
エンディミオンって呼ばれたらどうしよう…なんて、弱気な事を考えて不器用に微笑む。
そして次に彼女から呟かれた名前に…俺の心は嘘のように晴れ渡っていった――――
おわり(初出2012年)
どうしても大学の研究のレポートが残っていて、うさが来ていてもなかなか相手をしてやることが出来なかった。
始めからその事は彼女に言っていたけれど、
『それでもいい!まもちゃんのそばにいたいんだもん。』
上目遣いで必死に訴えてくるから…断り切れなかった。
俺だってせっかくの休みなんだから一緒にいたいという気持ちが無い訳じゃない。
むしろ一緒にいたい。
だけどすぐ近くにいるのになかなか触れられないのが辛い、ということも否定は出来なかった。
それでもいざはじめてしまうと周りが見えなくなるほどの集中力は、学力の上では向上に繋がるものの、今の状況を考えれば悲しき能力。
結局うさのことを随分と長い時間放置してしまっていた。
「うさ、ごめんな遅くなって。」
自室のドアを開けてリビングに目を向ける。ソファーにもたれている彼女に話し掛けるが返事がなかった。
そしてうさの正面まで移動すると、やっぱり…という気持ちになる。
彼女は規則正しい寝息を立てていた。
あまりにも気持ち良さそうに寝ているものだから、自然と微笑んでしまう。
春とは言っても夕方は肌寒い。俺は自室に戻って毛布を出すとうさに掛けてやった。
「ん…」
もぞもぞ動き、声を漏らしたから起こしたかと思ったが、再び寝息を立て始めた。
さて、夕飯はどうするかな…うさが起きるまでに何か作るか。かまってやれなかった詫びに好きなものをたくさん作ってやろう。
今日一日分の笑顔でいられるように…。
俺はそう思い、財布を取りに行こうとした時だった。
「…ありがとう…」
うさの声がして驚いて彼女の方を見る。
「うさ…?」
しかしやはり返事はない。
寝言、か…。
俺は苦笑して背を向け、離れようとする。
「ありがとう…来てくれて…エンディミオン…。」
え?
うさの口から飛び出した名前にもう一度振り向いた。
「エンディミオン…」
そして彼女は、ふふっと笑って幸せそうな顔を浮かべる。
相変わらず目を閉じたままで夢の世界にいることは間違いなく…。
だけどうさが前世の俺を呼ぶ声はとてもリアルで。
俺は何とも言えない気持ちでうさを見つめた―――――
※※※
エンディミオンは確かに前世の俺だけど…それはやはり『俺』ではない。
俺がうさのことを笑顔にしたかったのに…
夢の中のエンディミオンに先を越されてしまった。
俺が俺にこんな気持ちになるなんて馬鹿げてる。
どれだけこいつを独り占めしたいんだ、と自分に突っ込みたくなる。
だけど今のうさは間違いなく今の俺を思っていない…。
そう考えるとどうしても嫉妬という感情が沸き上がってきてしまう。
夢の中では君はセレニティなのか?
俺はここにいるよ。
エンディミオンはセレニティを愛したけれど、地場衛は月野うさぎを愛してる。
だから…俺を見てくれ。
夢から醒めて…。
まるで白雪姫のラストシーンのように眠る彼女にキスを落とす。
唇を離せば瞳を開けて頬を赤く染めるうさがいて…。
エンディミオンって呼ばれたらどうしよう…なんて、弱気な事を考えて不器用に微笑む。
そして次に彼女から呟かれた名前に…俺の心は嘘のように晴れ渡っていった――――
おわり(初出2012年)