100回のキスより一度の好き
俺はあのあと十番の街をぐるっと遠回りして自宅に帰ると、無駄に疲れた足を引きずりながらそのままソファーに上着を放る。寝室に移動するとベッドにうつ伏せになって体を投げ出した。
脱力して枕の中で我にかえると、緩慢な動きで仰向けになって腕で目を抑える。知らずに漏れる溜め息。
「なにやってんだよ、俺は」
うさこが言ってくれていたことは俺のためを想っての事だった。ずっと喧嘩腰だったから分かりづらくはあるけれど、彼女なりに一生懸命考えた末 の言葉だったんだ。
それなのに五つも年下の恋人に大人げなく言い返してしまった。
目を抑えていた腕にぐっと力を込めて呟く。
「だけど、帰ることがしたいことなんて言われたら……誰だって凹むだろ」
言われた相手が可愛い恋人なら尚更だ。
俺は、うさこの笑った顔が好きだ。一緒にいるだけで元気になるくらい……幸せで、俺にとってただ一人の恋人。あの子の温かくて明るい笑顔を一番近くで守ってやれるならどこに行っても何をしていても楽しい。
だから、うさこの願いを叶えてやることは、いつの間にか俺の願いになっていて、俺にとっての幸せになっていた。
以前、言葉にしなきゃ伝わらないぞ、と元基にも言われたことがある。確かに、そうだよな。
言わなくても分かってくれてるって、どこかで思っていたかもしれない。
ワガママだったら、とっくの昔から俺だってしてるんだよって伝えたい。
うさこに会おう。ちゃんと話し合わなければ。
そう思った時、呼び鈴が鳴った。
※裏部屋100回のキスより一度の好き 2へつづく
脱力して枕の中で我にかえると、緩慢な動きで仰向けになって腕で目を抑える。知らずに漏れる溜め息。
「なにやってんだよ、俺は」
うさこが言ってくれていたことは俺のためを想っての事だった。ずっと喧嘩腰だったから分かりづらくはあるけれど、彼女なりに一生懸命考えた
それなのに五つも年下の恋人に大人げなく言い返してしまった。
目を抑えていた腕にぐっと力を込めて呟く。
「だけど、帰ることがしたいことなんて言われたら……誰だって凹むだろ」
言われた相手が可愛い恋人なら尚更だ。
俺は、うさこの笑った顔が好きだ。一緒にいるだけで元気になるくらい……幸せで、俺にとってただ一人の恋人。あの子の温かくて明るい笑顔を一番近くで守ってやれるならどこに行っても何をしていても楽しい。
だから、うさこの願いを叶えてやることは、いつの間にか俺の願いになっていて、俺にとっての幸せになっていた。
以前、言葉にしなきゃ伝わらないぞ、と元基にも言われたことがある。確かに、そうだよな。
言わなくても分かってくれてるって、どこかで思っていたかもしれない。
ワガママだったら、とっくの昔から俺だってしてるんだよって伝えたい。
うさこに会おう。ちゃんと話し合わなければ。
そう思った時、呼び鈴が鳴った。
※裏部屋100回のキスより一度の好き 2へつづく