プランB(クン美奈)
「お前の誕生日、列島の天気は大荒れみたいだぞ?」
リビングでテレビの天気予報を観ていた賢人は、洗面台にいる恋人に声を掛けた。
「さっすがこのあたし! 嵐を呼ぶ愛の女神ヴィーナス様ね!」
ブォンとドライヤーを鳴らして得意になる美奈子に短く息を吐くと、洗面台へと向かった。
「というわけで、お前の決めていたデートコースは全部キャンセルだな」
「えー?!」
ドライヤーをひょいと取り上げてにべもなく言う鉄面皮に美奈子は思いっきりしかめ面をして声を上げた。
「仕方ないだろ? 美奈子の要望は全て晴れ前提のプランだ」
緩やかにドライヤーを掛けてやりながら淡々と真実を述べる賢人に、「この冷血男!」と返すものの、髪を扱う手と熱くなりすぎないように絶妙にあててくれる温風が心地よくて、いまいち迫力に欠ける。
「まあ、たまには俺と家で大人しくしてろ」
仕上げとばかりに頭にポンと手を置かれて、恨みがましく鏡越しにその狡い右手の持ち主を見やると、淡い光を宿した瞳とぶつかる。
ドキドキを悟られるのも悔しい美奈子は、あっかんべーで返事をした。
リビングでテレビの天気予報を観ていた賢人は、洗面台にいる恋人に声を掛けた。
「さっすがこのあたし! 嵐を呼ぶ愛の女神ヴィーナス様ね!」
ブォンとドライヤーを鳴らして得意になる美奈子に短く息を吐くと、洗面台へと向かった。
「というわけで、お前の決めていたデートコースは全部キャンセルだな」
「えー?!」
ドライヤーをひょいと取り上げてにべもなく言う鉄面皮に美奈子は思いっきりしかめ面をして声を上げた。
「仕方ないだろ? 美奈子の要望は全て晴れ前提のプランだ」
緩やかにドライヤーを掛けてやりながら淡々と真実を述べる賢人に、「この冷血男!」と返すものの、髪を扱う手と熱くなりすぎないように絶妙にあててくれる温風が心地よくて、いまいち迫力に欠ける。
「まあ、たまには俺と家で大人しくしてろ」
仕上げとばかりに頭にポンと手を置かれて、恨みがましく鏡越しにその狡い右手の持ち主を見やると、淡い光を宿した瞳とぶつかる。
ドキドキを悟られるのも悔しい美奈子は、あっかんべーで返事をした。
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