第二話 この星に産まれて
「なんだって? う……産まれた?!」
月野家のリビングで電話を取ったパパの、上ずった声が響いた。
受話器を放り投げて万歳を繰り返す旦那様に代わって私は受話器を取る。
「もしもし?……衛君?あらまあまあ!! 二人とも元気で……! まあそう!! すぐに行くわ!」
孫が誕生することがこんなに嬉しいことだったなんて!もう踊りだしたいくらいよ!
私は今まで感じたことが無い喜びに胸を一杯にさせていた。
「あ~あ。俺もおじさんか」
受話器を置いた私の後ろで進悟が呟く。
振り返れば、嬉しいような困ったような複雑な表情を浮かべていて。けれども決して嫌な思いはしていないようだった。
「ほら! 早く行こうぜ!」
私やパパよりも早く準備をし始めた様子からもそれが良く分かった。
「まあ! な~んて可愛いのかしらぁ!! こんなに手も小さくて……!!」
うさぎの傍らで眠る可愛い可愛い初孫の手に触れて、思わず声を上げる。
「うさぎー! すごいぞ!! よくやった!!」
隣でパパも娘の一大イベントを褒め称えた。
「いいか~? 母親には似るなよ~?」
赤ん坊の頬をツンと優しくつつきながら進悟が言う。
「進悟ーあんたって弟は。こんな時くらいお姉さまを労わりなさいよ!」
うさぎはジロリと進悟を睨みながら力なく対抗した。
「はいはいお疲れ様でございましたうさぎお姉様」
相変わらずの憎まれ口だけれど、私は知ってるのよ?
うさぎが嫁いでからそんな風に言える相手がいなくなってやたらと寂しそうだったことを。
久しぶりの子供たちの言い合いに私は思わず笑ってしまう。
「さあて、これからが大変よ!オムツ換えに授乳、夜泣き。ちょっと成長したら離乳食に怪我の数々……」
「もうママ、産まれたばっかりなのに不安になることばっかり言わないでよ」
眉を下げて言う娘にふふふと含み笑いをして返す私。
「安心しなさい! ママがこれからもたっくさん来てあげるわ!!」
「おいお袋、それは色々と無理なんじゃ……」
進悟が私と衛君の顔を交互に見ながら遠慮がちに言って来る。
「あらあ~? いいわよねえ? 衛君」
こんなことを言い出したら困るかしらと思ったけれど、彼はほっと胸を撫で下ろしたように頷き、歓迎した表情で声を上げた。
「ええ。もちろんですよ。その方が君も安心だろ?」
うさぎに極上の甘い顔を向けてそう言う彼に、私もつられて赤面してしまった。
全く、うさぎったら本当に幸せな娘ね。
「なにい! ママだけずるいぞ!! 僕だってちっちゃなうさぎちゃんに会いに来るんだからな!」
パパが大げさに私を批難して主張する。
「じゃ、俺も~。母親と同じ轍を踏まないようにちゃんと見守っててやらないと」
進悟までそんなことを言い出して、さぞうさぎも怒り出すんじゃないかと思ったけれど。
「みんな、ありがとね」
心底幸せそうな表情でそう言われてしまって、私たち三人はうさぎの思いがけない言葉に目を丸くしてから少しだけ頬を染める。
小さなうさぎちゃん、こんにちは。この世界は決して楽しいことばかりじゃないかもしれないけれど、でもきっと大丈夫。
あなたのお母さんがいつでも光となって導いてくれるわ。
そうすればきっと世界はとても優しくあなたを包んでくれるから。
そしてこれは、おばあちゃんとのお約束よ?
あなたのその小さな手で、たくさんの幸せを掴んでね。
月野家のリビングで電話を取ったパパの、上ずった声が響いた。
受話器を放り投げて万歳を繰り返す旦那様に代わって私は受話器を取る。
「もしもし?……衛君?あらまあまあ!! 二人とも元気で……! まあそう!! すぐに行くわ!」
孫が誕生することがこんなに嬉しいことだったなんて!もう踊りだしたいくらいよ!
私は今まで感じたことが無い喜びに胸を一杯にさせていた。
「あ~あ。俺もおじさんか」
受話器を置いた私の後ろで進悟が呟く。
振り返れば、嬉しいような困ったような複雑な表情を浮かべていて。けれども決して嫌な思いはしていないようだった。
「ほら! 早く行こうぜ!」
私やパパよりも早く準備をし始めた様子からもそれが良く分かった。
「まあ! な~んて可愛いのかしらぁ!! こんなに手も小さくて……!!」
うさぎの傍らで眠る可愛い可愛い初孫の手に触れて、思わず声を上げる。
「うさぎー! すごいぞ!! よくやった!!」
隣でパパも娘の一大イベントを褒め称えた。
「いいか~? 母親には似るなよ~?」
赤ん坊の頬をツンと優しくつつきながら進悟が言う。
「進悟ーあんたって弟は。こんな時くらいお姉さまを労わりなさいよ!」
うさぎはジロリと進悟を睨みながら力なく対抗した。
「はいはいお疲れ様でございましたうさぎお姉様」
相変わらずの憎まれ口だけれど、私は知ってるのよ?
うさぎが嫁いでからそんな風に言える相手がいなくなってやたらと寂しそうだったことを。
久しぶりの子供たちの言い合いに私は思わず笑ってしまう。
「さあて、これからが大変よ!オムツ換えに授乳、夜泣き。ちょっと成長したら離乳食に怪我の数々……」
「もうママ、産まれたばっかりなのに不安になることばっかり言わないでよ」
眉を下げて言う娘にふふふと含み笑いをして返す私。
「安心しなさい! ママがこれからもたっくさん来てあげるわ!!」
「おいお袋、それは色々と無理なんじゃ……」
進悟が私と衛君の顔を交互に見ながら遠慮がちに言って来る。
「あらあ~? いいわよねえ? 衛君」
こんなことを言い出したら困るかしらと思ったけれど、彼はほっと胸を撫で下ろしたように頷き、歓迎した表情で声を上げた。
「ええ。もちろんですよ。その方が君も安心だろ?」
うさぎに極上の甘い顔を向けてそう言う彼に、私もつられて赤面してしまった。
全く、うさぎったら本当に幸せな娘ね。
「なにい! ママだけずるいぞ!! 僕だってちっちゃなうさぎちゃんに会いに来るんだからな!」
パパが大げさに私を批難して主張する。
「じゃ、俺も~。母親と同じ轍を踏まないようにちゃんと見守っててやらないと」
進悟までそんなことを言い出して、さぞうさぎも怒り出すんじゃないかと思ったけれど。
「みんな、ありがとね」
心底幸せそうな表情でそう言われてしまって、私たち三人はうさぎの思いがけない言葉に目を丸くしてから少しだけ頬を染める。
小さなうさぎちゃん、こんにちは。この世界は決して楽しいことばかりじゃないかもしれないけれど、でもきっと大丈夫。
あなたのお母さんがいつでも光となって導いてくれるわ。
そうすればきっと世界はとても優しくあなたを包んでくれるから。
そしてこれは、おばあちゃんとのお約束よ?
あなたのその小さな手で、たくさんの幸せを掴んでね。
