第二話 この星に産まれて
私の名前は月野育子。ちょっと頼りないけれど優しい旦那と、おっちょこちょいで甘えん坊の娘。そしてそんな姉を見て口だけは達者になってしまった息子がいる、どこにでもいる普通の主婦よ。
そんな娘も、無事にとても素敵な彼と結婚して、私も母親としての肩の荷が少しだけ軽くなったと思っていた。
けれどある日突然、天地が逆さまになるほどに驚いた事件が起こったわ。
「ママ、私この国のクイーンになります」
私はあの子が特別な力を持っていたことも、実は正義の戦士だったことも、未来を担う大切な使命があるということも、その時に初めて知った。
娘の横には彼がいて、彼もまた同じものを背負ってきたのだということも。
二人の手は静かに重なり合っていて、ちらと目が合うだけで全てが通じ合っているような、そんな特別な『絆』も、本当の意味でその時初めて悟ったの。
だから突拍子も無い現実も受け止めることが出来たし、パパも進悟も驚いてはいたけれどでも、私と同様に二人なりに理解したのだと思う。
娘がこの国を統べる存在になるということ。
そんなとてつもない重責を務めることができるのかという不安ももちろんあったけれど、それよりももっとシンプルで母親の私にとってはもっと大切なことが心の中を占めていた。
だからどうしても聞いておきたくて、いつの間にか知らない人のように成長した姿でしっかりと私たちを見つめている娘に、遠くなってしまったような気持ちを抱きながらも思い切って口を開いた。
「私たちはもう、今までのようにうさぎに会うことは出来ないのかしら……?」
「ママ」
横に座っていたパパが私の肩に手を置いて、寂しさを含んだ穏やかな声で制した。けれど思いを止める事もできずに、目の前にいる娘のことだけを、まるでその愛おしい姿を必死に覚えようとするかのように見つめた。
「そんな事ないよママ。私はネオクイーン・セレニティである前に、『うさぎ』だから。パパとママと進悟の前ではいつだってうさぎでありたいの。
私からこの家に会いに来るのは、やっぱりなかなか出来ないとは思うけど、ママたちにはいつでも会いに来て欲しいって思ってる。
だから、そんなに寂しそうな顔、しないで」
そう言ううさぎこそ、泣きそうな顔をして笑みを浮かべていた。
ああやっぱり、いつまでも甘えん坊で泣き虫な大事な大事な愛娘。
そしてその日から二年の月日が流れた。
そんな娘も、無事にとても素敵な彼と結婚して、私も母親としての肩の荷が少しだけ軽くなったと思っていた。
けれどある日突然、天地が逆さまになるほどに驚いた事件が起こったわ。
「ママ、私この国のクイーンになります」
私はあの子が特別な力を持っていたことも、実は正義の戦士だったことも、未来を担う大切な使命があるということも、その時に初めて知った。
娘の横には彼がいて、彼もまた同じものを背負ってきたのだということも。
二人の手は静かに重なり合っていて、ちらと目が合うだけで全てが通じ合っているような、そんな特別な『絆』も、本当の意味でその時初めて悟ったの。
だから突拍子も無い現実も受け止めることが出来たし、パパも進悟も驚いてはいたけれどでも、私と同様に二人なりに理解したのだと思う。
娘がこの国を統べる存在になるということ。
そんなとてつもない重責を務めることができるのかという不安ももちろんあったけれど、それよりももっとシンプルで母親の私にとってはもっと大切なことが心の中を占めていた。
だからどうしても聞いておきたくて、いつの間にか知らない人のように成長した姿でしっかりと私たちを見つめている娘に、遠くなってしまったような気持ちを抱きながらも思い切って口を開いた。
「私たちはもう、今までのようにうさぎに会うことは出来ないのかしら……?」
「ママ」
横に座っていたパパが私の肩に手を置いて、寂しさを含んだ穏やかな声で制した。けれど思いを止める事もできずに、目の前にいる娘のことだけを、まるでその愛おしい姿を必死に覚えようとするかのように見つめた。
「そんな事ないよママ。私はネオクイーン・セレニティである前に、『うさぎ』だから。パパとママと進悟の前ではいつだってうさぎでありたいの。
私からこの家に会いに来るのは、やっぱりなかなか出来ないとは思うけど、ママたちにはいつでも会いに来て欲しいって思ってる。
だから、そんなに寂しそうな顔、しないで」
そう言ううさぎこそ、泣きそうな顔をして笑みを浮かべていた。
ああやっぱり、いつまでも甘えん坊で泣き虫な大事な大事な愛娘。
そしてその日から二年の月日が流れた。