第一話 光の未来

『君と話ができて、マスターの未来を垣間見た気がした。嬉しかったよ』
 ジェダイトが本当に嬉しそうに言って手を差し出したけど、すぐに引っ込めた。
『うっかりしてた。触れられないんだったな……』
 少しおどけて言っていたけど、あたしの目頭は熱くなる。
『そろそろ私たちの役目も終わりかもしれないな。二人のプリンセスがいてくだされば、マスターはきっとこれからも幸せなのだから』

 え…!?

 零れそうになる涙がその言葉で引っ込んだ。

『そうだよな。俺もそろそろなのかなって思ってた。最近精神だけでいる状態ですら、ちょっときつくなって来たから』
 ネフライトまでそんなことを言い出す。
『マスターのこと、これからもよろしくね』
 ゾイサイトの今生の別れ(もう死んでいるのだけれど)のようなセリフにあたしは反射的にキッと四人を睨む。
「何がよろしくよ!! あなたたちが勝手に消えるなんてそんなの……そんなのあたしが許さないから!!」
『プリンセス……』
「まもちゃんは、あなたたちに罪滅ぼしでいて欲しいんじゃない! 大切な、大事な友達だからいて欲しいんだよ!! それは……それは、あなたたちだって同じでしょう!?」

 ケースを見たときからどこかで見た覚えがある気がしていた。
 思い出した。今はっきりと。

「まもちゃんは、あたしのパパになってからもずっとずっとあなたたちのこと大切に想ってた!! パパは、四人のこと大好きだったんだよ!!」

 パパの書斎の棚にこのケースはいつもあった。あまりにもそれが当たり前の風景となって溶け込んでしまっていたから思い出せなかったんだ。
 パパがこの四人のことを未来であたしに話したことは無かったけれど、片時も忘れたことなんてなかったに違いない。
 もしかして話さなかったのは、今ここにいる四人がもうすでに消えてしまっていたからではないだろうか。

 あたしの両頬には涙が伝っていた。

「消えるなんて……許さないんだからっ!」
 もう一度呟いた。
『ありがとうプリンセス』
 ゆっくりと紡ぐ低音のクンツァイトの声に目を向ける。四人はあたしのことを、まるで本当の兄か父親のような眼差しで見つめていて、あたしはもう一度涙を流した。
『そうだな。もう少しだけ見守ることにしよう』
「クンツァイト……」

 あたしは濡れた頬をぐいっと拭って笑顔を作って頷いた。

 約束よ?またあたしたち、こうやってお話しようね。だから、何年経ったって、あたしの事ちゃんと見つけてね?そしたらまたパパの事、まもちゃんの事、たくさんたくさん話そうね。

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