第一話 光の未来

『改めまして。初めまして未来のプリンセス。お目に掛かれて光栄です。私達はマスターエンディミオン様に前世から仕えていた側近四天王。以後お見知りおきを』
 クンツァイトはリーダーらしく完璧な挨拶をしてみせた。
「あたしはクリスタルトーキョーのキング・エンディミオンとネオクイーンセレニティの娘、うさぎ・スモールレディ・セレニティです。こちらこそどうぞよろしく」
 四人の壮麗な空気に、パパとママに教わったお辞儀を返す。それを見て、感慨深げに頷いた四人の表情が和らいだ気がした。
『で?俺たちに何が聞きたいの?ちびなうさぎちゃん』
 ネフライトが人懐こい笑顔で語り掛ける。
「そうね。ネフライトたちはどうして石に宿ってるの?」
『そうか、そこからか……本当に何にも知らないんだな。マスターも秘密主義って言うか、つれないって言うか、面倒くさがりというか……』
 その言葉にクンツァイトが、ネフライト!と睨みを効かせた。それに苦笑するネフライトに代わって、ジェダイトが前に出るとあたしのことを初めて真っ直ぐに見つめた。
『マスターをお守りするため。そして、罪滅ぼしのため』
「罪滅ぼし……?」
 重い響きのあるその言葉を繰り返して見つめ返すと、再びクンツァイトが語りだした。

 それは前世でのこと。そして、ダークキングダムに操られてしまったこと。いつの時代も自分たちの大切な主を守るばかりか裏切ってしまったこと。
 感情の起伏を表わさずに抑揚のない口調でそれらを話してくれた。
 けれどそれが却って痛々しくて、あたしの胸も苦しくなる。
『私たちはいつでも呪いたくなるほど無力で……愚かだった』
 そう言うクンツァイトは相変わらず無表情だったけれど、瞳は悲しみでうんと暗くなったように感じた。
「そんな事は……」
『あるのよ? 小さなプリンセス。』
 ゾイサイトが少し辛そうに微笑んだ。
「だけど! あなたたちは……もう肉体はなくて……精神だけで……そんなの辛いわ」
 あたしのその言葉に四人は目を見開いて一瞬黙った。だけどその後彼らの周りが優しい雰囲気に変わっていくのを感じる。
『俺たちはどうしようもない馬鹿だったけれど、死んでから初めてダークキングダムから解放された。ようやく守るべき人の傍にこうしていられるようになったんだ』
 ネフライトは穏やかに微笑んでみせた。
『だから、今はこれで僕等は幸せなんだよ。』
 ジェダイトもあたしを見つめて少年のように笑う。最初の態度と余りにも違って驚いたけれど、嬉しかった。
『さっきは失礼な態度で悪かった。どうも子供は苦手で……。だけど、君はやっぱりお二人の娘だね』
 ジェダイトは続けてそう言った。
『ああ。広くて優しい心を持っておいでだ』
 クンツァイトも思わず赤くなってしまうような素敵な笑顔で頷く。
「あなたたちも……とってもまもちゃんが大事で、優しいのね」
 なんだか照れてしまって顔も上げれずに呟いた。
『あら、素直じゃない。いい子ね♪』
 ゾイサイトの言葉に少しムッとして頬を膨らました。でも彼も思いの外優しい笑顔をこちらに向けていたから、何も言えなかった。
『そこは母親譲りだな』
 クンツァイトがくすくす笑いながら同意する。
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