第四話 繋ぐ未来
沢山の書類と妻が待つ部屋に着いたキングは大きな溜め息を付いた。
「エンディミオン、話は終わったの?」
「終わった終わった。もう勝手に終わらせてくれという感じだよ」
いつも穏やかな彼が珍しく機嫌が悪そうにマスクを外しながら答える。
啓示の部屋では見せることの無かった表情は、本当の顔を見せることが出来るのは妻である彼女の前だけなのだということを物語っている。
「どうしたの?」
「どうもこうもないさ」
もう一度ふうっと溜め息を付きながら具体的に答えることなく席に着く夫を見たクイーンはピンと来た。
「もしかして、二人の熱にあてられちゃった?」
くすくす笑いながら言うクイーンに隠すことなくあからさまにムッとしたキングは、書類をわざとバサバサと音を立てて広げた。
「全く。父親なんて切ないばかりだよ」
つい口にしてしまった本音に後悔するもすでに遅し。
妻はニコニコしながら彼に近付いて背後から腕を回して抱きしめた。
「大丈夫。あの子にとっての父親は世界でただ一人。あなただけなんだから。それはこの先もずうっと変わらないでしょ? それに、私もこれからもずっとエンディミオンを愛してるわ」
妻の柔らかいその声と温もりに僅かに甘えるように腕にキスをしたキングの表情は、やはり他の場では決して見ることの出来ない『地場衛』としての顔だった。
「エリオスを迎え入れる準備をしないとな」
「そうね」
夫の呟いた言葉に微笑みながらクイーンは返事をした。
啓示の部屋では真っ赤になったままの二人が取り残されていた。
「レディ・セレニティ……」
長い沈黙のあとようやく口を開いた彼に、プリンセスは幼かったあの日のように頬を膨らませて睨んだ。
「エリオスのバカ」
「すみません」
「私が近くにいたら使命を果たせないだなんて信じらんない!」
「……はい」
腰に手を当ててそう言い放つ彼女にエリオスは頷くしかない。そんな弱音を吐いてしまった自分自身を情けないと認めていたから。
「てゆうか、私が近くにいたほうがエリシュオンで一人で祈ってたときよりも地球は平和になると思うんだけど」
「え?」
「だから、私の願いもこの星がずっと平和でみんなが幸せに暮らしていくことなの。エリオスだって私の願いを叶えたいでしょ? だったら同じ場所で一緒に願った方が、今よりもこの星は幸せになれるって事」
「スモール・レディ……」
プリンセスの言葉が嬉しくて感情が昂ぶった彼は呼び方をつい昔に戻してしまったが、彼女は何も言わずに微笑んだ。
「なんでかな。エリオスにはそう呼んでもらえる方が嬉しいや」
「そうですか? 実は僕もこう呼ぶ方がなんだかしっくりきます」
「あー! それっていつまでも私が子供って事?」
「いえ。貴女はいつまでも僕の心の中では愛しい小さな乙女ということです。僕だけの大切な……」
彼の優しい瞳で見つめられてプリンセスは心の底から嬉しそうに微笑んだ。
「エリオス。クリスタルパレスに来てくれるよね?」
「はい。今度こそ必ず」
エリュシオンで話したときよりもずっと心を近くに感じた二人は瞳を潤ませて頷き合った。
「エンディミオン、話は終わったの?」
「終わった終わった。もう勝手に終わらせてくれという感じだよ」
いつも穏やかな彼が珍しく機嫌が悪そうにマスクを外しながら答える。
啓示の部屋では見せることの無かった表情は、本当の顔を見せることが出来るのは妻である彼女の前だけなのだということを物語っている。
「どうしたの?」
「どうもこうもないさ」
もう一度ふうっと溜め息を付きながら具体的に答えることなく席に着く夫を見たクイーンはピンと来た。
「もしかして、二人の熱にあてられちゃった?」
くすくす笑いながら言うクイーンに隠すことなくあからさまにムッとしたキングは、書類をわざとバサバサと音を立てて広げた。
「全く。父親なんて切ないばかりだよ」
つい口にしてしまった本音に後悔するもすでに遅し。
妻はニコニコしながら彼に近付いて背後から腕を回して抱きしめた。
「大丈夫。あの子にとっての父親は世界でただ一人。あなただけなんだから。それはこの先もずうっと変わらないでしょ? それに、私もこれからもずっとエンディミオンを愛してるわ」
妻の柔らかいその声と温もりに僅かに甘えるように腕にキスをしたキングの表情は、やはり他の場では決して見ることの出来ない『地場衛』としての顔だった。
「エリオスを迎え入れる準備をしないとな」
「そうね」
夫の呟いた言葉に微笑みながらクイーンは返事をした。
啓示の部屋では真っ赤になったままの二人が取り残されていた。
「レディ・セレニティ……」
長い沈黙のあとようやく口を開いた彼に、プリンセスは幼かったあの日のように頬を膨らませて睨んだ。
「エリオスのバカ」
「すみません」
「私が近くにいたら使命を果たせないだなんて信じらんない!」
「……はい」
腰に手を当ててそう言い放つ彼女にエリオスは頷くしかない。そんな弱音を吐いてしまった自分自身を情けないと認めていたから。
「てゆうか、私が近くにいたほうがエリシュオンで一人で祈ってたときよりも地球は平和になると思うんだけど」
「え?」
「だから、私の願いもこの星がずっと平和でみんなが幸せに暮らしていくことなの。エリオスだって私の願いを叶えたいでしょ? だったら同じ場所で一緒に願った方が、今よりもこの星は幸せになれるって事」
「スモール・レディ……」
プリンセスの言葉が嬉しくて感情が昂ぶった彼は呼び方をつい昔に戻してしまったが、彼女は何も言わずに微笑んだ。
「なんでかな。エリオスにはそう呼んでもらえる方が嬉しいや」
「そうですか? 実は僕もこう呼ぶ方がなんだかしっくりきます」
「あー! それっていつまでも私が子供って事?」
「いえ。貴女はいつまでも僕の心の中では愛しい小さな乙女ということです。僕だけの大切な……」
彼の優しい瞳で見つめられてプリンセスは心の底から嬉しそうに微笑んだ。
「エリオス。クリスタルパレスに来てくれるよね?」
「はい。今度こそ必ず」
エリュシオンで話したときよりもずっと心を近くに感じた二人は瞳を潤ませて頷き合った。
