第一話 光の未来



「ねえまもちゃん。あたしね、この前見たの」
 デッドムーンとの戦いも終わり、30世紀に戻る前に、あたしはどうしても聞いておきたいことがあってまもちゃんのマンションに遊びに来ていた。
「見た? 何を?」
 ごくりと生唾を飲み込んでじっと覗き込むようにまもちゃんを見ながら答える。
「まもちゃんが、幽霊と話してるところ」
「幽霊??」
 突拍子も無い事を言い出したと思ったのか、まもちゃんは困惑した表情であたしを見ていた。
「この部屋にいるでしょ!? やたらと綺麗なお兄さん達の幽霊が!!」
 若干の恐怖心を紛らわすためにわざと声を上げて問う。でもやっぱり怖くて、言った後にキョロキョロと部屋を見渡す。
「ああ。なるほどね……」
 あたしの言葉に一人で納得したように呟く。
「なるほどって。まもちゃん! あの幽霊は一体何者なの!?」
 まもちゃんはくすくす笑って立ち上がると、棚の中から小さなガラスのケースを取り出して持ってくる。

 あれ…?あのケースどこかで…

「ちびうさが見たのはこれだよ」
 中を見るととても綺麗な石が四つ並んでいた。
「え? これ……石だよね。どういうこと?」
 幽霊だと言っているのにその正体があまりにも想像と掛け離れていて思ったままを口にする。
「翡翠だよ。俺にとってとても大切な四人がここに宿っているんだ」
 四つの翡翠を嬉しそうに、でも悲しそうに見つめてそう言うまもちゃんは、あたしに向き直ると静かにそれを差し出してきた。
「大切な……? 誰なの?」
「ケースを開けて。会わせてやるよ。」
 まもちゃんの穏やかな口調、表情で、あたしが見た幽霊たちは怖い存在ではないことも分かって小さく頷く。そしてケースを受け取るとゆっくりとその蓋を開けた。
 まもちゃんが瞳を閉じて柔らかいオーラを発しているのを感じたかと思えば、あの時見た男の人たちが音もなく目の前に現れたから驚いて目を凝らす。

『マスター……これはどういうことです?』

 まもちゃんのことをマスターと呼ぶ銀髪の男の人は、あたしを見るなり気難しい顔をして明らかに愛想笑いを浮かべてからそう言った。

「お前たちのことを知りたいそうだ。」

 そしてまもちゃんは、あたしといる時とも、うさぎといる時とも、みんなといる時とも違った、心を許したリラックスした表情をしている。けれど、どこかパパとも似た高貴な雰囲気も纏いながら四人の名前を教えてくれて、最後にあたしのことを彼等に紹介した。
『そんなことは言われなくても分かるわよ。プリンセスと瓜二つじゃない。』
 ゾイサイトがあたしのことを上から下までじっくりと見て、クローンかしら?なんて失礼なことをしれっと呟いている。
 
 なんか苦手だこの人…。

 ネフライトは無駄にニコニコしてるし、ジェダイトに至っては全然あたしの方を見ないでむすっとしている。

 えーと?……まもちゃんの大切な人って曲者揃い?

「じゃあ俺はちょっと図書館に本を返しに行ってくるな。ゆっくり喋ってていいぞ?」
 あたしの先行き不安な思いに全く気付かないまもちゃんは頭を撫でながらそう言うと、玄関の扉の向こうへと消えてしまった。

 ちょっとまもちゃん!無責任だよぉ~っ!!なんて思ってから仕方ないと諦めるまで数秒。彼等に向き直ると全員が跪いて並んでいた。
1/3ページ
スキ