嘘でもいいから

消えそうに見えた。
うさこ、俺はお前を失いたくない。
俺の不安を見透かしたように
「一生懸命守るから」
そう口にするうさこに堪らなくなる。いつもうさこの周りにいた光が敵に連れ去られてしまった今、俺がうさこを守らなければと、己の無力感に吐きそうになりながらも思っていた。
すぐそこには俺自身手の届かない、セーラームーンとしての使命を果たさんとするうさこがいる。
置いていかないで欲しい。
そばにいて欲しい。
繋ぎ止めたくて体を重ねたのは、俺の心が弱い証拠だ。
これじゃあうさこの隣にいる資格なんてない。それなのに、誰にもこの場所を譲りたくはなくて。
身勝手で、臆病で、わがままで。
こんな俺の横にいたらうさこをダメにしちまう。
けれど
「いつも、うさこのことを想ってる」
そう言ったらうさこは涙を溜めて微笑んでくれたから。
この笑顔のためにも俺は、嘘でもいい、力なんてなくても、君のことを全力で守る。
そう…誓ったんだ。

この愛だけは本物なのだと、信じているから。
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