祭りと恋と、誕生日(クン美奈)
ー文化祭当日ー
賢人は地球組揃い踏みで十番高校に訪れていた。
圧倒的に顔がいい五人は文化祭の客からも生徒からも大注目を浴びていた。しかしそんなことはお構いなしに、超マイペースな彼等の会話が繰り広げられている。
「なあなあ、まことたちのクラスはどこなんだよ」
「落ち着きなさいよ。2年A組ってここに書いてあるでしょ。案内図も読めないのあんたは」
文化祭案内図を広げた要が、それを覗き込んでくる晃にぴしゃりと言い放った。
「レイがいない……ここには、レイがいない……どこにも……レイ……」
「だいたいお前たちは集合するのが遅すぎだ。俺と衛がどれだけ待ったと思っている。早く行かないと売り切れるかもな、美奈子が言うには前評判が良いカフェをしているらしいから」
「そうなのか?じゃあ少し急ぐか。俺もせっかくうさにもらった割引券を無駄にしたくないし」
衛が持っている券を見て賢人は吹き出した。
「え、まじか衛、ぶふっ、こ、これは使えないと思うぜ? くっくく」
晃も堪えきれない笑いと共にそう言った。
そのピンクのハートシールが散りばめられたチケットには
『わり引き巻!まもちゃんせん用♡』
と書いてある。
「はぁ……どうしてこれが使えるって思った訳? ひらがなばっかりだし、『券』の字も間違ってるし」
要は盛大にため息をついて、人差し指でその箇所を突いた。
「ほんとだ……」
改めてチケットを見て衛も固まる。
「ほんとだ……じゃないわよ、ったく」
衛はこれを貰った時、レポート続きで魂が半分死んでいた。その為に割引券をもらったという認識しかなく、すぐに財布にしまい込んでしまった。その後、目の前の恋人を抱き寄せて押し倒したところで、意識が飛んだのだった。
「しっかりしろ衛。とりあえず早く行くぞ」
うさぎとのあれこれを思い出しそうになっている衛は、賢人の声ではっとなる。
「お、おう」
顔を寄せ合って耳打ちする眉目秀麗な男二人に、遠巻きで眺めていた一定数の女子のハートは見事に持って行かれていた。
つづく
賢人は地球組揃い踏みで十番高校に訪れていた。
圧倒的に顔がいい五人は文化祭の客からも生徒からも大注目を浴びていた。しかしそんなことはお構いなしに、超マイペースな彼等の会話が繰り広げられている。
「なあなあ、まことたちのクラスはどこなんだよ」
「落ち着きなさいよ。2年A組ってここに書いてあるでしょ。案内図も読めないのあんたは」
文化祭案内図を広げた要が、それを覗き込んでくる晃にぴしゃりと言い放った。
「レイがいない……ここには、レイがいない……どこにも……レイ……」
「だいたいお前たちは集合するのが遅すぎだ。俺と衛がどれだけ待ったと思っている。早く行かないと売り切れるかもな、美奈子が言うには前評判が良いカフェをしているらしいから」
「そうなのか?じゃあ少し急ぐか。俺もせっかくうさにもらった割引券を無駄にしたくないし」
衛が持っている券を見て賢人は吹き出した。
「え、まじか衛、ぶふっ、こ、これは使えないと思うぜ? くっくく」
晃も堪えきれない笑いと共にそう言った。
そのピンクのハートシールが散りばめられたチケットには
『わり引き巻!まもちゃんせん用♡』
と書いてある。
「はぁ……どうしてこれが使えるって思った訳? ひらがなばっかりだし、『券』の字も間違ってるし」
要は盛大にため息をついて、人差し指でその箇所を突いた。
「ほんとだ……」
改めてチケットを見て衛も固まる。
「ほんとだ……じゃないわよ、ったく」
衛はこれを貰った時、レポート続きで魂が半分死んでいた。その為に割引券をもらったという認識しかなく、すぐに財布にしまい込んでしまった。その後、目の前の恋人を抱き寄せて押し倒したところで、意識が飛んだのだった。
「しっかりしろ衛。とりあえず早く行くぞ」
うさぎとのあれこれを思い出しそうになっている衛は、賢人の声ではっとなる。
「お、おう」
顔を寄せ合って耳打ちする眉目秀麗な男二人に、遠巻きで眺めていた一定数の女子のハートは見事に持って行かれていた。
つづく