最果ての宿り木

 長い長い戦いの末、あたしは最後にして最強の敵、セーラーカオスを倒した。
「ふふ、疲れたなあ……。シルバームーンクリスタルも限界まできちゃったみたい」
 左側から中心にかけてヒビが入ったクリスタルをそっと撫でる。
 それはあたしが生きた証。
 それはこのクリスタルが全てを受け入れて守ろうとした証。
 荒れ果てた大地に仰向けになって、星が見えない空を見上げて左手を伸ばした。
「後悔は、無いの」
 ガーディアンコスモスにも言われたわ。『どうしてカオスを倒した後じゃなくて戦う前に戻るの』って。でもね……

 その時、雲が開けて満天の星が輝くのをあたしは見た。この地でこの光景は一体いつぶりなのだろう。
 けれど、あたしがしたことは間違っていなかった。
 だって美しいモノをこうして一つ取り戻せたのだから。
 
 こめかみに熱い滴が落ちて耳たぶを濡らしていく。

 信念を持ってセーラーカオスとは戦いたかったの。迷いを取り払って、胸のきぼうを輝かせて。だからあの瞬間に戻ってきたの。
 これで良かったのよ。ねえ、そう思うでしょ?

「あなた……」

 両手を星空に伸ばして愛する人を想う。

 熱くぼやけた視界の先に大好きな人が見えた気がする。けれど力を保てなくなった腕は地に落ちる。そこには草の感触が、花の香りがして。
 安らぎの中で目を閉じれば、温かなものが掌と唇に触れた。
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