強いお酒下さい(リレー小説Part 4)
『強いお酒下さい』(リレー小説)
①大学を卒業して数年。うさぎとの新婚生活は衛の人生に沢山の潤いを与えていた。
「まもちゃん行ってらっしゃい」
「ああ行ってくるよ」
玄関の段差を持ってしても背の高い衛は、少しだけ身を屈めてうさぎと唇を重ねる。これは毎朝の日課だ。
「うさこ、今日の夕飯は…」
「大学の時のお友達とご飯でしょ?」
②ツーカーのように衛が言いたいことをうさぎが言ってくれた。少し寂しい顔なのを衛は見逃さなかった。
「早めに帰るから」
そう言って衛からうさぎに唇を重ねる。「起きて待っているから」
「遅くなったら連絡する0時越えたら寝ろよ」
「そんな。子どもじゃないもん」
そう言ってうさぎは頬を膨らました。
③ああ、今日も俺の奥さんは世界一、いや宇宙一に可愛らしい。
とてつもない幸せに満ちながら衛は職場に向かうべく歩き出す。
今夜は久しぶりに大学時代の友人達と再会出来る。
もちろん喜びと懐かしさもあるし、それなりに楽しみであったが。
(...早く切り上げて帰ろうかな)
もうすでに妻が恋しい。
④仕事中もうさこのことばかり考えてしまう。デスクの上にはもちろんうさぎの写真。その写真を見ては「頑張ろう」と気合いが入る。結婚したとはいえ相変わらずモテる衛だが本人は全く気づいていない。うさぎが恋しくて「早くうさこに逢いたい」と思わず口に出たのを同僚は聞き逃すことはなかった。
⑤(今日も地場さんの嫁さん好きが炸裂してんな…まぁ、あんなに可愛い人だから仕方ないよなぁ…あー俺も彼女欲しー)
うさぎの写真を見る同僚。しかし衛が仕事に支障が出る事が無いのは分かっていた為、柔和な横顔に無駄に赤面しつつも敢えて触れない事にする。衛は恐ろしい速さで業務をこなしていった。
⑥しかし全ての業務を終えても今日はすぐにうさぎに会えない。
「うさこ…夕飯は食べたかな。」
衛は小さい溜息をついた。一応気を持ち直す。
(大学の友人達に会えることに楽しみなんだがうさこの顔に勝るものがない。)
衛はすぐに帰れるように、飲み会でも下座に座ることにした。
⑦飲み会では大学メンバーの近況から始まった。気心知れた友人でもあるためお酒のペースも徐々に早まっていった。飲み会も中盤に差し掛かった頃友人から「ところで地場は新婚生活どうなんだ?モテモテなお前を射止めた奥さんさすがだよ。地場は奥さんのどんなところに惹かれたよ?」と声をかけられた。
⑧「胃袋掴まれたとか?」
別の友人も話に乗ってくる。
「胃袋ねぇ」
エプロン姿で奮闘するうさぎを思い浮かべて衛は苦笑した。
「小気味良く人参切ってるなと思ったら指が落ちたって大騒ぎするわ、ケーキ作ればオーブンごと爆発させるわ。とにかく毎日命懸けで作ってくれてるよ」
「で、お味の方は?」
⑨訊ねられ衛は酒の入ったグラスをことり、とテーブルに置きながら意味深に微笑む。
そんな仕草もいちいち絵になる男である。
「愛する妻が俺を想って一生懸命に作ってくれた料理だぞ。最高に美味いに決まっているだろう」
「...そっかぁ」
質問したのが馬鹿だった、と頰を染めながらグラスを傾けた。
⑩ その質問で衛の「愛する妻」に対する想いに火が付いた。酒を飲んでいる勢いもあり出てくる「愛する妻」ののろけ。
「うさこ…妻は朝起きてご飯を作る後姿から可愛い、そして俺にふり返って〈おはよう、まもちゃん〉だぞ。その笑顔が正義だ。全てにおいて勝るものなし。」
⑪ 「クールな地場が惚気か…普段は自分のこと何も話さないのにな。」と盛り上がり始めた。
「それより地場って奥さんから<まもちゃん>って呼ばれてるのか?」
意外な呼び名に驚くも衛は構わずうさぎの惚気話に火がついた。
「うさこはいつも俺のことを気遣ってくれる。こんな素晴らしい人はいないよ」
⑫「でも先輩だって、うさぎちゃんの事ずーっと大事にしてるじゃないですか」
そう言ったのは小林だった。彼は後輩だったが衛から誘われてこの飲み会に参加していたのだ。
彼は大学時代に一度うさぎに会っている。結婚した相手が彼女だと聞いた時は、あの衛がずっと一途に彼女を愛し続けていた事に驚いたが、どこか嬉しかったのも事実だ。
「え?小林、奥さん知ってるの?」
⑬ 他は衛の奥さんに会ったことがないので、小林の言葉に興味をひく。衛自身は彼の言葉で上機嫌な顔になるのを小林は見逃さない。「先輩にお似合いの素敵な女性ですよ」と優しく言う。
「当たり前だ、うさこはいつでも素敵だ。俺の全てだよ」
衛の妻への惚気話が最高潮になる。
⑭「いやー俺たちも逢ってみたいよ!地場がそれだけ惚気る奥さんに。」
友人たちはうさぎに興味津々。
「いや…それはできない。うさこのエンジェルスマイルを見ていいのは俺だけだからな。」とうさぎの笑顔を思い出し顔が綻ぶ衛を見ては誰もが衛はうさぎのことをどれだけ大切に思っているか思い知らされた。
⑮ふと衛が顔を上げると、どこか見覚えのあるおだんご頭が店の奥で見え隠れした気がする。愛妻への想いが高じての幻覚か。
思わず小林と目を見合わせた。まさかな。こんな所にいる訳がない。
だが幻覚はだんだんこちらへ近付いて……。そして。
「ま~もちゃん♡あんまり遅いからお迎えに来ちゃった♡」
⑯(ええっ!?これが噂のエンジェルスマイル!)
(料理爆発させちゃうけど笑顔が世界一可愛い地場の奥さん?!)
(本当にまもちゃんて言ってる〜〜!)
同期たちはまさかのご本人登場に一斉に色めき立つ。衛に至っては持っていたグラスをスルッと落とした。「わっ危ね!」小林が慌ててキャッチする。
⑰「まもちゃん大丈夫?! ケガは?!」
「ああ大丈夫だよ」
「まもちゃんに何かあったらあたし……!」
大丈夫も何も、そもそもグラスは割れていない。
けれどもうさぎは目には見えない傷でも治すように衛の手を取りそっと口付けた。
むせ返るほどピンクな二人の世界に、同期一同呆気に取られてしまう。
⑱(おいおい、待てよ。なんだこの雰囲気)
(ここで手にキスって、二人だけの世界になっている)
(もしもし俺らがいることを気づいていませんか)
見つめ合う衛とうさぎのあまりにもピンクな世界。誰かの咳で、やっと二人は互いの目から逸らし、周りを見渡す。
⑲ 「え…いや…これはその…」
必死に弁明しようとする衛と顔を真っ赤にしてうつむくうさぎ。
二人の世界を見せつけられた友人はなんと声をかけたらいいのか分からずしばし無言が続いた。
「うさぎちゃん。久しぶりだね。前に逢ったことあるけど覚えてるかな?」
小林はこの空気を変えるため声をかけた
⑳「えーっと、えーっと」うさぎは記憶の糸を辿る。
「あの時まだ15歳くらいだったよね?先輩のマンションにお邪魔した時に会って」
「あーっ」
ひらめいた様子のうさぎに小林が尋ねた。
「思い出した?」
「えっと、、、覚えてないです。」
うさぎらしい発言に、一同ズッコケた。
㉑あの頃よりも綺麗になったうさぎに小林も内心ドキドキしていたが、中身はあの頃のままだと苦笑し、やれやれと起き上がる。衛は申し訳なさそうにはははと笑っている。
「それよりうさここそ危ないじゃないか!こんな夜遅くに出歩いて」
はっと正気に戻って肩に手を置き言う衛に、うさぎは瞳を潤ませた。
㉒「こんな時間に一人で出歩いて何かあったらどうする。」
「ごめんなさい。だってどうしても早くまもちゃんに逢いたくて…」
うさぎは俯きながら呟いた。
「全く困ったお姫様だな…」
衛はやれやれといいながらうさぎの頭をそっと撫でた。
再び二人の世界に入りそうな所で小林は声をかけた。
㉓「でもうさぎちゃんに何もなくて良かったよ」
「もしピンチになってもまもちゃんは絶対助けに来てくれますから♡」
「何か事件に巻き込まれたことあるの?」
「そりゃ何回も!」
タキシード仮面の秘密を喋りそうになったうさぎの口を衛が慌てて手で塞いだ。一滴も飲んでないのに喋り上戸か、うさこは。
㉔「すまないが先に帰らせてもらうよ」
衛のこんなに慌てる姿を見るのは珍しく、彼らはまばらに返事をして手を振った。何より可愛い奥さんにも会えたし、甘過ぎはしたが幸せな友人の姿を見れたので、残ったメンツでそろそろ強いお酒を飲み明かしたい気分になっていた。
「お幸せに」
「ああ」「はい♡」
㉕小林が後ろを振り返ると、衛とうさぎの影がちょうど重なり合ったところだった。
そうして一人分のシルエットにしか見えないほど密着した二人は、人混みに紛れてやがて見えなくなった。
「あー! 俺も可愛い嫁さん欲しい!」
それは小林だったか誰だったか、心の声が大声になり夜の街に木霊して消えた。
おわり
①⑤⑫⑯㉑㉔みっこ
②⑥⑩⑬⑱夕月さん
③⑨焔桜さん
④⑦⑪⑭⑲㉒アャフィスさん
⑧⑮⑰㉓㉕にいなさん
⑳水音凛香さん
①大学を卒業して数年。うさぎとの新婚生活は衛の人生に沢山の潤いを与えていた。
「まもちゃん行ってらっしゃい」
「ああ行ってくるよ」
玄関の段差を持ってしても背の高い衛は、少しだけ身を屈めてうさぎと唇を重ねる。これは毎朝の日課だ。
「うさこ、今日の夕飯は…」
「大学の時のお友達とご飯でしょ?」
②ツーカーのように衛が言いたいことをうさぎが言ってくれた。少し寂しい顔なのを衛は見逃さなかった。
「早めに帰るから」
そう言って衛からうさぎに唇を重ねる。「起きて待っているから」
「遅くなったら連絡する0時越えたら寝ろよ」
「そんな。子どもじゃないもん」
そう言ってうさぎは頬を膨らました。
③ああ、今日も俺の奥さんは世界一、いや宇宙一に可愛らしい。
とてつもない幸せに満ちながら衛は職場に向かうべく歩き出す。
今夜は久しぶりに大学時代の友人達と再会出来る。
もちろん喜びと懐かしさもあるし、それなりに楽しみであったが。
(...早く切り上げて帰ろうかな)
もうすでに妻が恋しい。
④仕事中もうさこのことばかり考えてしまう。デスクの上にはもちろんうさぎの写真。その写真を見ては「頑張ろう」と気合いが入る。結婚したとはいえ相変わらずモテる衛だが本人は全く気づいていない。うさぎが恋しくて「早くうさこに逢いたい」と思わず口に出たのを同僚は聞き逃すことはなかった。
⑤(今日も地場さんの嫁さん好きが炸裂してんな…まぁ、あんなに可愛い人だから仕方ないよなぁ…あー俺も彼女欲しー)
うさぎの写真を見る同僚。しかし衛が仕事に支障が出る事が無いのは分かっていた為、柔和な横顔に無駄に赤面しつつも敢えて触れない事にする。衛は恐ろしい速さで業務をこなしていった。
⑥しかし全ての業務を終えても今日はすぐにうさぎに会えない。
「うさこ…夕飯は食べたかな。」
衛は小さい溜息をついた。一応気を持ち直す。
(大学の友人達に会えることに楽しみなんだがうさこの顔に勝るものがない。)
衛はすぐに帰れるように、飲み会でも下座に座ることにした。
⑦飲み会では大学メンバーの近況から始まった。気心知れた友人でもあるためお酒のペースも徐々に早まっていった。飲み会も中盤に差し掛かった頃友人から「ところで地場は新婚生活どうなんだ?モテモテなお前を射止めた奥さんさすがだよ。地場は奥さんのどんなところに惹かれたよ?」と声をかけられた。
⑧「胃袋掴まれたとか?」
別の友人も話に乗ってくる。
「胃袋ねぇ」
エプロン姿で奮闘するうさぎを思い浮かべて衛は苦笑した。
「小気味良く人参切ってるなと思ったら指が落ちたって大騒ぎするわ、ケーキ作ればオーブンごと爆発させるわ。とにかく毎日命懸けで作ってくれてるよ」
「で、お味の方は?」
⑨訊ねられ衛は酒の入ったグラスをことり、とテーブルに置きながら意味深に微笑む。
そんな仕草もいちいち絵になる男である。
「愛する妻が俺を想って一生懸命に作ってくれた料理だぞ。最高に美味いに決まっているだろう」
「...そっかぁ」
質問したのが馬鹿だった、と頰を染めながらグラスを傾けた。
⑩ その質問で衛の「愛する妻」に対する想いに火が付いた。酒を飲んでいる勢いもあり出てくる「愛する妻」ののろけ。
「うさこ…妻は朝起きてご飯を作る後姿から可愛い、そして俺にふり返って〈おはよう、まもちゃん〉だぞ。その笑顔が正義だ。全てにおいて勝るものなし。」
⑪ 「クールな地場が惚気か…普段は自分のこと何も話さないのにな。」と盛り上がり始めた。
「それより地場って奥さんから<まもちゃん>って呼ばれてるのか?」
意外な呼び名に驚くも衛は構わずうさぎの惚気話に火がついた。
「うさこはいつも俺のことを気遣ってくれる。こんな素晴らしい人はいないよ」
⑫「でも先輩だって、うさぎちゃんの事ずーっと大事にしてるじゃないですか」
そう言ったのは小林だった。彼は後輩だったが衛から誘われてこの飲み会に参加していたのだ。
彼は大学時代に一度うさぎに会っている。結婚した相手が彼女だと聞いた時は、あの衛がずっと一途に彼女を愛し続けていた事に驚いたが、どこか嬉しかったのも事実だ。
「え?小林、奥さん知ってるの?」
⑬ 他は衛の奥さんに会ったことがないので、小林の言葉に興味をひく。衛自身は彼の言葉で上機嫌な顔になるのを小林は見逃さない。「先輩にお似合いの素敵な女性ですよ」と優しく言う。
「当たり前だ、うさこはいつでも素敵だ。俺の全てだよ」
衛の妻への惚気話が最高潮になる。
⑭「いやー俺たちも逢ってみたいよ!地場がそれだけ惚気る奥さんに。」
友人たちはうさぎに興味津々。
「いや…それはできない。うさこのエンジェルスマイルを見ていいのは俺だけだからな。」とうさぎの笑顔を思い出し顔が綻ぶ衛を見ては誰もが衛はうさぎのことをどれだけ大切に思っているか思い知らされた。
⑮ふと衛が顔を上げると、どこか見覚えのあるおだんご頭が店の奥で見え隠れした気がする。愛妻への想いが高じての幻覚か。
思わず小林と目を見合わせた。まさかな。こんな所にいる訳がない。
だが幻覚はだんだんこちらへ近付いて……。そして。
「ま~もちゃん♡あんまり遅いからお迎えに来ちゃった♡」
⑯(ええっ!?これが噂のエンジェルスマイル!)
(料理爆発させちゃうけど笑顔が世界一可愛い地場の奥さん?!)
(本当にまもちゃんて言ってる〜〜!)
同期たちはまさかのご本人登場に一斉に色めき立つ。衛に至っては持っていたグラスをスルッと落とした。「わっ危ね!」小林が慌ててキャッチする。
⑰「まもちゃん大丈夫?! ケガは?!」
「ああ大丈夫だよ」
「まもちゃんに何かあったらあたし……!」
大丈夫も何も、そもそもグラスは割れていない。
けれどもうさぎは目には見えない傷でも治すように衛の手を取りそっと口付けた。
むせ返るほどピンクな二人の世界に、同期一同呆気に取られてしまう。
⑱(おいおい、待てよ。なんだこの雰囲気)
(ここで手にキスって、二人だけの世界になっている)
(もしもし俺らがいることを気づいていませんか)
見つめ合う衛とうさぎのあまりにもピンクな世界。誰かの咳で、やっと二人は互いの目から逸らし、周りを見渡す。
⑲ 「え…いや…これはその…」
必死に弁明しようとする衛と顔を真っ赤にしてうつむくうさぎ。
二人の世界を見せつけられた友人はなんと声をかけたらいいのか分からずしばし無言が続いた。
「うさぎちゃん。久しぶりだね。前に逢ったことあるけど覚えてるかな?」
小林はこの空気を変えるため声をかけた
⑳「えーっと、えーっと」うさぎは記憶の糸を辿る。
「あの時まだ15歳くらいだったよね?先輩のマンションにお邪魔した時に会って」
「あーっ」
ひらめいた様子のうさぎに小林が尋ねた。
「思い出した?」
「えっと、、、覚えてないです。」
うさぎらしい発言に、一同ズッコケた。
㉑あの頃よりも綺麗になったうさぎに小林も内心ドキドキしていたが、中身はあの頃のままだと苦笑し、やれやれと起き上がる。衛は申し訳なさそうにはははと笑っている。
「それよりうさここそ危ないじゃないか!こんな夜遅くに出歩いて」
はっと正気に戻って肩に手を置き言う衛に、うさぎは瞳を潤ませた。
㉒「こんな時間に一人で出歩いて何かあったらどうする。」
「ごめんなさい。だってどうしても早くまもちゃんに逢いたくて…」
うさぎは俯きながら呟いた。
「全く困ったお姫様だな…」
衛はやれやれといいながらうさぎの頭をそっと撫でた。
再び二人の世界に入りそうな所で小林は声をかけた。
㉓「でもうさぎちゃんに何もなくて良かったよ」
「もしピンチになってもまもちゃんは絶対助けに来てくれますから♡」
「何か事件に巻き込まれたことあるの?」
「そりゃ何回も!」
タキシード仮面の秘密を喋りそうになったうさぎの口を衛が慌てて手で塞いだ。一滴も飲んでないのに喋り上戸か、うさこは。
㉔「すまないが先に帰らせてもらうよ」
衛のこんなに慌てる姿を見るのは珍しく、彼らはまばらに返事をして手を振った。何より可愛い奥さんにも会えたし、甘過ぎはしたが幸せな友人の姿を見れたので、残ったメンツでそろそろ強いお酒を飲み明かしたい気分になっていた。
「お幸せに」
「ああ」「はい♡」
㉕小林が後ろを振り返ると、衛とうさぎの影がちょうど重なり合ったところだった。
そうして一人分のシルエットにしか見えないほど密着した二人は、人混みに紛れてやがて見えなくなった。
「あー! 俺も可愛い嫁さん欲しい!」
それは小林だったか誰だったか、心の声が大声になり夜の街に木霊して消えた。
おわり
①⑤⑫⑯㉑㉔みっこ
②⑥⑩⑬⑱夕月さん
③⑨焔桜さん
④⑦⑪⑭⑲㉒アャフィスさん
⑧⑮⑰㉓㉕にいなさん
⑳水音凛香さん