ラブリーチョコに気をつけろ

 うさこと学校帰りにコンビニに寄っていつものように俺が飲み物を用意してやっているとリビングからフニャッとした声が聞こえてきた。
「まもちゃん、あつーい」
「え?うさこ?」
 そう言って振り返った俺は絶句した。何故なら制服のリボンを外してシャツを捲り上げようとしている恋人がいたからだ。
ちょ、待って、なんでだ春だからか?!
「うさこ何してんだ!」
「だってなんだか暑くなっちゃってー」
 トロンとした目で笑い掛けるうさこ。
 ……最高に可愛いな。じゃ、なくて!服は脱ぐな服は!!
 俺は全力でシャツを下ろして「やめなさい」と強めに言う。すると、
「まもちゃんだあ。ヘヘヘへ」
 俺の腕にすりすりと頬を寄せて胸もわざとではないだろうが当ててくる。
 誰だうさこをこんなにしたのは!俺の理性はそろそろ限界だぞ、男子高校生舐めんな!
 ふとテーブルの上にチョコレートが置いてある。よく見るとアルコール入りの文字が。くそチョコが貴様かああ!!
 うさこが間違って買ってきてしまったのだろうそれを睨んでいると、
「まもちゃんたべる?おいひいよ?」
 呂律が回っていなくせになぜか機敏な動きで一粒、唖然としている俺の口に放り込んだ。
「ね?おいしーでしょ?」
 笑った顔にキスをする。
 チョコと強めのリキュールの味とうさこの甘い香りが混ざって、俺の頭の中も溶ける。美味しくて、なかなか離してやることができなかった。
 チョコのせいにはしたくない。けど、俺がいつだってこんなになっちまうのは、うさこ、お前にだけだ。
「ん、まもちゃ、へへ、チョコの味」
「うん、もっと食わせろよ……」


おわり
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