バレンタインの行方(まもうさ上司部下パロ)
脱衣所で洗った髪を適当に拭いていると玄関の鍵が開く音がした。この家の鍵を持っているのは衛以外にはただ一人。彼は逸る気持ちのままに躊躇いなく脱衣所のドアを開けた。
「マフラー取りに来たのか? 」
「ぎゃあ!?ち、地場さんっなんてカッコしてるんですかあ! 」
腰にタオルを巻いただけで濡れた髪を無造作に拭いている衛に真っ赤な顔をして手で覆いながらもしっかりと指の隙間から見ているうさぎ。衛は呆れた様に息を吐いた。
「べつに俺の裸なんて見慣れてるだろ 」
「んなもん慣れません!バカ!! 」
「ああそうか。それならそんなに見ないでくれないか?スケベ 」
「は、はあー?! 」
膨れる頬を包むと衛は触れるだけのキスをする。何度体を重ねても初心な恋人が可愛くてつい揶揄ってしまう謝罪も込めて。
大事そうに頭を撫でられてうさぎは真っ赤な顔のまま目を逸らす。風呂上がりの濡れた髪と引き締まった身体は衛本人は自覚はない様だが刺激が強すぎて、目のやり場に困ってしまう。色気選手権では絶対負けてしまう!という自負がある。しかしそんなうさぎの思いを聞こうものなら、ふざけるなお前も夜は大概だと衛も反論するだろう。
「風邪、引きますよ?早く服着てきてください 」
「うん、分かった 」
口を尖らせて言ううさぎに穏やかな声で今度は素直に返事をすると、額にキスを落として脱衣所に戻って行った。
「もー……甘すぎるよぉ。ほんっと、お色気大魔神め…… 」
衛さんのバカ。と、職場とのギャップにうさぎが恨めしそうに囁く声は勿論彼の耳には届かなかった。
うさぎは家から持ってきた包み紙を取り出してそれをじっと見つめる。本当なら昨日の夜衛の仕事が終わっていたら約束をして今日渡しに来ようと思っていた物だった。ドキドキと胸が鳴るのが分かる。大好きな人に初めて渡すチョコレート。流石に受け取ってもらえない訳は無いと思うが、どういう反応をしてくれるのか、味は好みに合うのか、どんな言葉をくれるのか。実際に渡してみなければ何も分からなくてどうしても落ち着かない。そんな風にソワソワしているとドアが開く音がした。うさぎは慌てて背中に包み紙を隠す。
「で、どうした?家に帰ったんじゃなかったのか 」
「か、帰りましたけど!それは用があって 」
「起こしてくれて良かったのに。いや、起きなかった俺が悪いか 」
「衛さんはお仕事大変だったんですからいいんです!それに昨日は本当はここに泊まる予定じゃなかったから 」
「そうか。無理に誘って悪かった 」
「もー!どうしてそうなるの!あたしだって嫌だったら泊まったりなんてしません!!はいコレどーぞ!! 」
何故だか機嫌が悪くなっていく恋人に業を煮やしてやけっぱちに包み紙を差し出した。しかし何の反応も無くてうさぎは泣けてくる。そして引っ込みの付かない手をそのままにして問いかけた。
「衛さん、今日何の日か知ってます? 」
声が震える。恐る恐る目線を上げると、目元を赤くして固まる珍しい上司の姿があった。
「衛さん? 」
「バレンタイン。用意してくれてたのか? 」
うさぎの手からそっとそれを受け取ると、蒼い瞳を瞬かせて彼女を見つめる。
「ま、まあ一応。本当は今日デートの約束して渡そうと思ってたんですケド、昨日、ああいう流れになっちゃったので……家に置きっぱなしで。だからそれを取りに戻ってたんです 」
「そう、だったのか 」
大きく長い息を吐いて安堵した様子の衛にうさぎはキョトンとする。
「ありがとう。大事に食べるよ 」
そう言って本当に嬉しそうに、いつもよりも幼く見える笑顔を浮かべる衛にうさぎの胸はどうしようもないくらい高鳴った。
初めて見る表情と紡がれた言葉は、多分自分が一番欲しかった物だったのだと気付いてぶわりと涙腺が緩む。
「な、なんで泣くんだっ! 」
「だって地場主任が可愛く笑うからぁ〜っ 」
「可愛いってなんだ!あーもううるさいぞ月野。泣きやめ!一緒にチョコ食うか? 」
「た、食べますうぅ〜っ 」
抱き締めると更に声を上げて泣く、部下でもありそして何よりも大切な恋人でもあるうさぎ。そんな彼女の頭を撫でて頬の涙を唇で拭ってやりながら思う。
俺はこの子とずっと一緒にいたい
片時も離れたくないんだ
二人のバレンタインデーは始まったばかり。
そして二人が一緒に暮らし始めるのはーーーきっともう時間の問題。
おわり
「マフラー取りに来たのか? 」
「ぎゃあ!?ち、地場さんっなんてカッコしてるんですかあ! 」
腰にタオルを巻いただけで濡れた髪を無造作に拭いている衛に真っ赤な顔をして手で覆いながらもしっかりと指の隙間から見ているうさぎ。衛は呆れた様に息を吐いた。
「べつに俺の裸なんて見慣れてるだろ 」
「んなもん慣れません!バカ!! 」
「ああそうか。それならそんなに見ないでくれないか?スケベ 」
「は、はあー?! 」
膨れる頬を包むと衛は触れるだけのキスをする。何度体を重ねても初心な恋人が可愛くてつい揶揄ってしまう謝罪も込めて。
大事そうに頭を撫でられてうさぎは真っ赤な顔のまま目を逸らす。風呂上がりの濡れた髪と引き締まった身体は衛本人は自覚はない様だが刺激が強すぎて、目のやり場に困ってしまう。色気選手権では絶対負けてしまう!という自負がある。しかしそんなうさぎの思いを聞こうものなら、ふざけるなお前も夜は大概だと衛も反論するだろう。
「風邪、引きますよ?早く服着てきてください 」
「うん、分かった 」
口を尖らせて言ううさぎに穏やかな声で今度は素直に返事をすると、額にキスを落として脱衣所に戻って行った。
「もー……甘すぎるよぉ。ほんっと、お色気大魔神め…… 」
衛さんのバカ。と、職場とのギャップにうさぎが恨めしそうに囁く声は勿論彼の耳には届かなかった。
うさぎは家から持ってきた包み紙を取り出してそれをじっと見つめる。本当なら昨日の夜衛の仕事が終わっていたら約束をして今日渡しに来ようと思っていた物だった。ドキドキと胸が鳴るのが分かる。大好きな人に初めて渡すチョコレート。流石に受け取ってもらえない訳は無いと思うが、どういう反応をしてくれるのか、味は好みに合うのか、どんな言葉をくれるのか。実際に渡してみなければ何も分からなくてどうしても落ち着かない。そんな風にソワソワしているとドアが開く音がした。うさぎは慌てて背中に包み紙を隠す。
「で、どうした?家に帰ったんじゃなかったのか 」
「か、帰りましたけど!それは用があって 」
「起こしてくれて良かったのに。いや、起きなかった俺が悪いか 」
「衛さんはお仕事大変だったんですからいいんです!それに昨日は本当はここに泊まる予定じゃなかったから 」
「そうか。無理に誘って悪かった 」
「もー!どうしてそうなるの!あたしだって嫌だったら泊まったりなんてしません!!はいコレどーぞ!! 」
何故だか機嫌が悪くなっていく恋人に業を煮やしてやけっぱちに包み紙を差し出した。しかし何の反応も無くてうさぎは泣けてくる。そして引っ込みの付かない手をそのままにして問いかけた。
「衛さん、今日何の日か知ってます? 」
声が震える。恐る恐る目線を上げると、目元を赤くして固まる珍しい上司の姿があった。
「衛さん? 」
「バレンタイン。用意してくれてたのか? 」
うさぎの手からそっとそれを受け取ると、蒼い瞳を瞬かせて彼女を見つめる。
「ま、まあ一応。本当は今日デートの約束して渡そうと思ってたんですケド、昨日、ああいう流れになっちゃったので……家に置きっぱなしで。だからそれを取りに戻ってたんです 」
「そう、だったのか 」
大きく長い息を吐いて安堵した様子の衛にうさぎはキョトンとする。
「ありがとう。大事に食べるよ 」
そう言って本当に嬉しそうに、いつもよりも幼く見える笑顔を浮かべる衛にうさぎの胸はどうしようもないくらい高鳴った。
初めて見る表情と紡がれた言葉は、多分自分が一番欲しかった物だったのだと気付いてぶわりと涙腺が緩む。
「な、なんで泣くんだっ! 」
「だって地場主任が可愛く笑うからぁ〜っ 」
「可愛いってなんだ!あーもううるさいぞ月野。泣きやめ!一緒にチョコ食うか? 」
「た、食べますうぅ〜っ 」
抱き締めると更に声を上げて泣く、部下でもありそして何よりも大切な恋人でもあるうさぎ。そんな彼女の頭を撫でて頬の涙を唇で拭ってやりながら思う。
俺はこの子とずっと一緒にいたい
片時も離れたくないんだ
二人のバレンタインデーは始まったばかり。
そして二人が一緒に暮らし始めるのはーーーきっともう時間の問題。
おわり