気が付いたら五年前でした
過去の世界に来てしまった。
うさはどこだ?彼女に会えば解決の糸口が見つかる筈だ。
俺は十番街を走り回って必死に探していた。
そして雑踏の中にお団子頭の少女を見つけた。
五年前の君はまだあどけなさの残る出会った当初の姿で、懐かしさが込み上げる。
「うさ!」
「あんた!って、え?なんかちょっと雰囲気が「可愛い!」
「ぎゃーーっ?!やめてよ何考えてんのおぉ?!」
堪らなくて抱きついたら激しく拒絶された。辛い。
いやダメだろ、いかん。やりすぎた。そうだよな、この頃はまだ付き合ってもいない喧嘩ばかりの時期だ。
でも無理だぞ?だっていつの時代もうさは可愛すぎるだろ。
まるでうさぎの耳でも生えていそうな愛らしさでぷんぷん怒って真っ赤な顔して俺を見るこの子にどうしても頬が緩んでしまう。
「な、何笑ってんのよバカ!頭でも打ったんじゃない?!」
「実は、そうなんだ。」
「え?」
さっと顔色を変えて心配そうに俺を見る少女に胸が鳴る。
やっぱりうさはうさだなぁ……
今朝ベッドから落ちるうさを庇って頭を強く打ったと思ったら五年前の世界に来ていた。嘘みたいな本当の話だ。しかし俺はこれでも波瀾万丈な人生を歩んできているからそんな奇想天外な出来事も事実としてすんなり受け入れた。俺は本来理数系だが、不思議なことというは起こる時は起こるのだ。
直近で不思議なことと言えば寝起きのパジャマではなくきちんと服を着ていたことだろう。もちろん寝癖も付いていない。助かった。
「大丈夫なの?病院は?行った方がいいんじゃない?」
俺の顔を覗き込んで無意識に距離を詰めてくる少女に微笑む。
「優しいな、君は。」
本心から出た言葉。それを聞いていた五年前のうさの頬に朱が差す。
「あ、あたしだってそんな人でなしじゃないわよ!」
「ああ、知ってるよ。君は俺が知る中で一番強くて、一番優しい女の子だ。」
そして俺にだけ見せてくれる弱くて脆いところも、全部好きだ。
「ちょ、褒めすぎ!雨降るわ絶対!」
上擦った声とギクシャクした動きに思わず笑ってしまう。
「たんこぶは出来てるけどへーきだよ。ありがとな」
「べっべつにぃ?」
ぷうっと膨らんだ少女の頬に唇で触れれば、甘くて優しい匂いがした。
言葉にならない声を上げた彼女の頭を撫でると、次の瞬間には見慣れたベッドの下にいた。
「まもちゃん!死んじゃダメ!」
ああうさだ。戻ってきた。膝枕された状態で目覚めると、俺は恋人である彼女を力強く抱きしめる。頭に保冷剤を当ててくれていたようでそれがぽとりと床に落ちた。
「うさ、うさは初めて出会った時からずっと可愛かったよ。」
「な、何呑気に言って……!もう!私心配したんだからね!すごい音がしたのよ?頭、平気?しかも目覚めないと思ったら寝ながら急に笑い出すんだもん!まもちゃん変になっちゃたかもって「変じゃないよ」
動転してる彼女の涙を拭ってやりながら笑顔で答える。
嘘みたいな本当の話を君に聞かせてあげるのはちょっとだけ待ってて。
「心配かけてごめんな。俺は、昔も、今も。ずっと君の事が好きなだけなんだ。」
だから今は、
「キスして?うさ。」
おわり
うさはどこだ?彼女に会えば解決の糸口が見つかる筈だ。
俺は十番街を走り回って必死に探していた。
そして雑踏の中にお団子頭の少女を見つけた。
五年前の君はまだあどけなさの残る出会った当初の姿で、懐かしさが込み上げる。
「うさ!」
「あんた!って、え?なんかちょっと雰囲気が「可愛い!」
「ぎゃーーっ?!やめてよ何考えてんのおぉ?!」
堪らなくて抱きついたら激しく拒絶された。辛い。
いやダメだろ、いかん。やりすぎた。そうだよな、この頃はまだ付き合ってもいない喧嘩ばかりの時期だ。
でも無理だぞ?だっていつの時代もうさは可愛すぎるだろ。
まるでうさぎの耳でも生えていそうな愛らしさでぷんぷん怒って真っ赤な顔して俺を見るこの子にどうしても頬が緩んでしまう。
「な、何笑ってんのよバカ!頭でも打ったんじゃない?!」
「実は、そうなんだ。」
「え?」
さっと顔色を変えて心配そうに俺を見る少女に胸が鳴る。
やっぱりうさはうさだなぁ……
今朝ベッドから落ちるうさを庇って頭を強く打ったと思ったら五年前の世界に来ていた。嘘みたいな本当の話だ。しかし俺はこれでも波瀾万丈な人生を歩んできているからそんな奇想天外な出来事も事実としてすんなり受け入れた。俺は本来理数系だが、不思議なことというは起こる時は起こるのだ。
直近で不思議なことと言えば寝起きのパジャマではなくきちんと服を着ていたことだろう。もちろん寝癖も付いていない。助かった。
「大丈夫なの?病院は?行った方がいいんじゃない?」
俺の顔を覗き込んで無意識に距離を詰めてくる少女に微笑む。
「優しいな、君は。」
本心から出た言葉。それを聞いていた五年前のうさの頬に朱が差す。
「あ、あたしだってそんな人でなしじゃないわよ!」
「ああ、知ってるよ。君は俺が知る中で一番強くて、一番優しい女の子だ。」
そして俺にだけ見せてくれる弱くて脆いところも、全部好きだ。
「ちょ、褒めすぎ!雨降るわ絶対!」
上擦った声とギクシャクした動きに思わず笑ってしまう。
「たんこぶは出来てるけどへーきだよ。ありがとな」
「べっべつにぃ?」
ぷうっと膨らんだ少女の頬に唇で触れれば、甘くて優しい匂いがした。
言葉にならない声を上げた彼女の頭を撫でると、次の瞬間には見慣れたベッドの下にいた。
「まもちゃん!死んじゃダメ!」
ああうさだ。戻ってきた。膝枕された状態で目覚めると、俺は恋人である彼女を力強く抱きしめる。頭に保冷剤を当ててくれていたようでそれがぽとりと床に落ちた。
「うさ、うさは初めて出会った時からずっと可愛かったよ。」
「な、何呑気に言って……!もう!私心配したんだからね!すごい音がしたのよ?頭、平気?しかも目覚めないと思ったら寝ながら急に笑い出すんだもん!まもちゃん変になっちゃたかもって「変じゃないよ」
動転してる彼女の涙を拭ってやりながら笑顔で答える。
嘘みたいな本当の話を君に聞かせてあげるのはちょっとだけ待ってて。
「心配かけてごめんな。俺は、昔も、今も。ずっと君の事が好きなだけなんだ。」
だから今は、
「キスして?うさ。」
おわり