サンタクロースの夜
「メリークリスマス!!」
玄関が開いた瞬間そう言って、サンタの格好をしたうさこが笑顔で飛び込んできた。
「おっと。うさこ、どうしたんだその格好。」
「えへへ!今年はまもちゃんにいーーっぱい!シアワセになってもらいたくてうさこサンタがプレゼントを届けに来たよ♬」
三角帽子に赤いサンタの衣装は、上は体のラインが出るくらいピッタリとした素材で下はスカート。丈はかなり短くて赤いブーツに白のニーハイソックス……なんというか、ちょっと色々と際どい格好だった。
彼女の言葉に胸が温かくなるけれど、別の部分が勝手に暴れ出す。その誤魔化しきれない単純な現象のせいで思ったままをつい口にしてしまう。
「プレゼントはうさこって事でいいのか?」
「え!?もー!やだあまもちゃんたら!すけべさん!!」
胸をドーンと押されてむせる。いてえ。
「はは、そんな格好してたらな……。とりあえず上がれよ。」
押されたところを抑えつつスリッパを出して、これ以上自分が変な事を言わないうちに彼女を部屋に促した。
いいか?うさこはプレゼントを渡しにきてくれただけだ早まるなよ衛。さっさと自分も彼女へのプレゼントも持って来て楽しくクリスマスを過ごそう。
「走って来たから暑くなっちゃった。」
「うさこ?!」
振り向けば、ふーっと息を吐いてジャケットを脱いだチューブトップにミニスカサンタ(と言っていいのか?)うさこがニコニコと自分を見ていた。
「はいまもちゃん、まずはこれ。開けてみて?」
可愛らしくラッピングされた箱を差し出してくるうさこから目を逸らしてしまう。
いや、もう何というか、俺にとってのプレゼント開封は始まってるから。
「まもちゃん?」
不安気な声にはっとなる。
「ごめんまもちゃん、こういうの嫌だった?」
「そんな事ないよ。」
うさこの顔を見たら泣きそうで、心の中で自分を拳で殴り、理性を掻き集めて真摯に答えた。
「良かったぁ。あのね、まもちゃんは小さい時にパパとママがいなくなっちゃったでしょ?
だからね、今までの分も私がサンタになって沢山プレゼントをしたかったんだ。」
柔らかな笑顔でそう言って俺を見つめる彼女に、胸が一杯になる。男としてのどうしようもない欲求を浄化していく。
包みを開けるとそこにはガラスでできたキラキラと光る地球をモチーフにしたキーホルダーが入っていた。
「これは私からのプレゼント!まもちゃんの綺麗な瞳とおんなじ色でしょ?一目惚れして買っちゃったの。」
「ああ、すごくいいな。ありがとう。大切にするよ。」
「うん!」
そしてこれは亜美ちゃん、これは浅沼君、これはまこちゃんにこれはレイちゃんと美奈子ちゃん!あとこれはうちのママから!と次々に白い袋からプレゼントを出してくる恋人に堪らなくなった俺は強く抱き寄せた。さっきまでの煩悩は殆ど消えて、独りぼっちだった子供時代の自分が丸ごとうさこに包み込まれて救われた様な温かな気持ちになる。
「うさこ、うさこ……。」
込み上げる思いはうまく言葉にならなくて、ただひたすら大好きな女の子の名前を呼び続けた。
「まもちゃん、メリークリスマス。」
「メリークリスマス。うさこ、大好きだ。」
気を抜くと泣いてしまいそうで、掠れる声を誤魔化すようにぎゅうぎゅう抱きしめる。
するとうさこは楽しそうに笑って、背中に回した手でギュッと抱きしめ返す。
「私も、まもちゃんの事だーーいすき!」
俺は彼女のその笑顔ごとキスをして想いを返した。
「俺もうさこにプレゼントがあるんだ。」
キスでトロンとした目になっている彼女に鼻先が触れ合う距離でそう言うと、うさこは顔を赤くして、その前にトクベツなプレゼントのお願いしてもいい?と聞いて来た。
「なに?」
「もう一回、キスして?」
その天才的に可愛い小悪魔のようなおねだりに、忘れかけていた欲求全てが呼び戻されてしまい、俺の思考はそこでブラックアウトした。
押し付けられた胸の柔らかさだとか、回した腰の細さだとか、上気した頬とか甘い唇だとか。うさこを象る全てが愛しい気持ちを隠すことができずに彼女のことを丸ごと抱きしめる。
そうして世界一可愛いサンタクロースとの聖夜は、包みを全て開けるまで明けることはなかった。
おわり
玄関が開いた瞬間そう言って、サンタの格好をしたうさこが笑顔で飛び込んできた。
「おっと。うさこ、どうしたんだその格好。」
「えへへ!今年はまもちゃんにいーーっぱい!シアワセになってもらいたくてうさこサンタがプレゼントを届けに来たよ♬」
三角帽子に赤いサンタの衣装は、上は体のラインが出るくらいピッタリとした素材で下はスカート。丈はかなり短くて赤いブーツに白のニーハイソックス……なんというか、ちょっと色々と際どい格好だった。
彼女の言葉に胸が温かくなるけれど、別の部分が勝手に暴れ出す。その誤魔化しきれない単純な現象のせいで思ったままをつい口にしてしまう。
「プレゼントはうさこって事でいいのか?」
「え!?もー!やだあまもちゃんたら!すけべさん!!」
胸をドーンと押されてむせる。いてえ。
「はは、そんな格好してたらな……。とりあえず上がれよ。」
押されたところを抑えつつスリッパを出して、これ以上自分が変な事を言わないうちに彼女を部屋に促した。
いいか?うさこはプレゼントを渡しにきてくれただけだ早まるなよ衛。さっさと自分も彼女へのプレゼントも持って来て楽しくクリスマスを過ごそう。
「走って来たから暑くなっちゃった。」
「うさこ?!」
振り向けば、ふーっと息を吐いてジャケットを脱いだチューブトップにミニスカサンタ(と言っていいのか?)うさこがニコニコと自分を見ていた。
「はいまもちゃん、まずはこれ。開けてみて?」
可愛らしくラッピングされた箱を差し出してくるうさこから目を逸らしてしまう。
いや、もう何というか、俺にとってのプレゼント開封は始まってるから。
「まもちゃん?」
不安気な声にはっとなる。
「ごめんまもちゃん、こういうの嫌だった?」
「そんな事ないよ。」
うさこの顔を見たら泣きそうで、心の中で自分を拳で殴り、理性を掻き集めて真摯に答えた。
「良かったぁ。あのね、まもちゃんは小さい時にパパとママがいなくなっちゃったでしょ?
だからね、今までの分も私がサンタになって沢山プレゼントをしたかったんだ。」
柔らかな笑顔でそう言って俺を見つめる彼女に、胸が一杯になる。男としてのどうしようもない欲求を浄化していく。
包みを開けるとそこにはガラスでできたキラキラと光る地球をモチーフにしたキーホルダーが入っていた。
「これは私からのプレゼント!まもちゃんの綺麗な瞳とおんなじ色でしょ?一目惚れして買っちゃったの。」
「ああ、すごくいいな。ありがとう。大切にするよ。」
「うん!」
そしてこれは亜美ちゃん、これは浅沼君、これはまこちゃんにこれはレイちゃんと美奈子ちゃん!あとこれはうちのママから!と次々に白い袋からプレゼントを出してくる恋人に堪らなくなった俺は強く抱き寄せた。さっきまでの煩悩は殆ど消えて、独りぼっちだった子供時代の自分が丸ごとうさこに包み込まれて救われた様な温かな気持ちになる。
「うさこ、うさこ……。」
込み上げる思いはうまく言葉にならなくて、ただひたすら大好きな女の子の名前を呼び続けた。
「まもちゃん、メリークリスマス。」
「メリークリスマス。うさこ、大好きだ。」
気を抜くと泣いてしまいそうで、掠れる声を誤魔化すようにぎゅうぎゅう抱きしめる。
するとうさこは楽しそうに笑って、背中に回した手でギュッと抱きしめ返す。
「私も、まもちゃんの事だーーいすき!」
俺は彼女のその笑顔ごとキスをして想いを返した。
「俺もうさこにプレゼントがあるんだ。」
キスでトロンとした目になっている彼女に鼻先が触れ合う距離でそう言うと、うさこは顔を赤くして、その前にトクベツなプレゼントのお願いしてもいい?と聞いて来た。
「なに?」
「もう一回、キスして?」
その天才的に可愛い小悪魔のようなおねだりに、忘れかけていた欲求全てが呼び戻されてしまい、俺の思考はそこでブラックアウトした。
押し付けられた胸の柔らかさだとか、回した腰の細さだとか、上気した頬とか甘い唇だとか。うさこを象る全てが愛しい気持ちを隠すことができずに彼女のことを丸ごと抱きしめる。
そうして世界一可愛いサンタクロースとの聖夜は、包みを全て開けるまで明けることはなかった。
おわり