三章 真実の扉
1
嫌な予感がする。今朝の占いの結果に影が落ちた。何かはまだ分からないけれど、着実にそれは近付いてきている。
私は学校が終わると、いつも皆と合流するクラウンへ向かった。
「レイちゃん!」
振り向くと深刻な顔をした亜美とまことが走り寄ってきた。
「二人ともどうしたの?美奈とうさぎは?」
「それが……」
まことが学校でのうさぎの様子を話す。私は今朝の占いの結果と、うさぎとの関係がたちまち頭の中で結び付き、自分自身の顔が強張っていくのが分かった。
「レイちゃん?」
「何かはまだ分からない。はっきりしたことはまだ何も。だけど、うさぎの身に危険が迫ってる」
私は身を硬くして鋭い眼差しを二人に向けてそう告げる。
「何だって⁉︎」
「また敵が現れるということ?」
私は掌を爪が白くなるほど握り締める。
どうしていつものように何も分からないのだろう。こんなに危険なシグナルが頭に鳴り響いているのに肝心なことが何も浮かび上がってこないなんて。うさぎを守るために絶対必要な情報なのに。
「とにかく、うさぎの家に行くわよ。何が起ころうとしているのかうさぎを視れば分かるかもしれないわ」
「よし分かった! 今度こそ私達が側にいて守らなきゃな!」
まことの言葉で、かつてのギャラクシアとの戦いのことを思い出し、チクリと胸が痛む。
そう、あの時はちゃんと守れなかった。もうあんな風には決してならない。なりたくない。きっと亜美とまことも同じことを思っているはず。美奈はもしかしたらうさぎの変化に気付いて何らかの行動に出たのかもしれない。いや、きっとそうだ。私達は急いで月野家に向かった。
けれどうさぎはもうすでに家にはいなかった。母親の話によると学校から帰ってきて、またすぐにどこかへ出掛けたという。行き先は告げなかったけれどルナと一緒だそうだ。
うさぎ、どこに行ったの? さっきから通信機もスマホも繋がらない。
「うさぎを一人にするのは危険だわ」
私は月野家を後にしてどうしようもない暗闇を断ち切るように声を張った。
「でも、ルナが一緒なら何かあればすぐに私達に知らせてくれるんじゃないかしら」
亜美の言うことも分かる。ルナは賢いし、何より、うさぎのかけがえのないパートナーだ。
「とにかく、敵の正体がはっきりするまでは安心できない。亜美も一度調べてみてくれる? 私も占いをやり直すわ」
「そうね。今はルナに任せて、私達は私達にしかできないことをしましょう」
亜美と私は頷き合う。
「じゃあ私は美奈の様子を見てくるよ。もしかしたら何か掴んでいるかもしれない」
まことが通信機で美奈を探す素振りを見せて言った。私達はここで別れた。
今にして思う。この時何がなんでもうさぎを探せば良かった。どんなことがあろうとも、そうすべきだったのだと。
嫌な予感がする。今朝の占いの結果に影が落ちた。何かはまだ分からないけれど、着実にそれは近付いてきている。
私は学校が終わると、いつも皆と合流するクラウンへ向かった。
「レイちゃん!」
振り向くと深刻な顔をした亜美とまことが走り寄ってきた。
「二人ともどうしたの?美奈とうさぎは?」
「それが……」
まことが学校でのうさぎの様子を話す。私は今朝の占いの結果と、うさぎとの関係がたちまち頭の中で結び付き、自分自身の顔が強張っていくのが分かった。
「レイちゃん?」
「何かはまだ分からない。はっきりしたことはまだ何も。だけど、うさぎの身に危険が迫ってる」
私は身を硬くして鋭い眼差しを二人に向けてそう告げる。
「何だって⁉︎」
「また敵が現れるということ?」
私は掌を爪が白くなるほど握り締める。
どうしていつものように何も分からないのだろう。こんなに危険なシグナルが頭に鳴り響いているのに肝心なことが何も浮かび上がってこないなんて。うさぎを守るために絶対必要な情報なのに。
「とにかく、うさぎの家に行くわよ。何が起ころうとしているのかうさぎを視れば分かるかもしれないわ」
「よし分かった! 今度こそ私達が側にいて守らなきゃな!」
まことの言葉で、かつてのギャラクシアとの戦いのことを思い出し、チクリと胸が痛む。
そう、あの時はちゃんと守れなかった。もうあんな風には決してならない。なりたくない。きっと亜美とまことも同じことを思っているはず。美奈はもしかしたらうさぎの変化に気付いて何らかの行動に出たのかもしれない。いや、きっとそうだ。私達は急いで月野家に向かった。
けれどうさぎはもうすでに家にはいなかった。母親の話によると学校から帰ってきて、またすぐにどこかへ出掛けたという。行き先は告げなかったけれどルナと一緒だそうだ。
うさぎ、どこに行ったの? さっきから通信機もスマホも繋がらない。
「うさぎを一人にするのは危険だわ」
私は月野家を後にしてどうしようもない暗闇を断ち切るように声を張った。
「でも、ルナが一緒なら何かあればすぐに私達に知らせてくれるんじゃないかしら」
亜美の言うことも分かる。ルナは賢いし、何より、うさぎのかけがえのないパートナーだ。
「とにかく、敵の正体がはっきりするまでは安心できない。亜美も一度調べてみてくれる? 私も占いをやり直すわ」
「そうね。今はルナに任せて、私達は私達にしかできないことをしましょう」
亜美と私は頷き合う。
「じゃあ私は美奈の様子を見てくるよ。もしかしたら何か掴んでいるかもしれない」
まことが通信機で美奈を探す素振りを見せて言った。私達はここで別れた。
今にして思う。この時何がなんでもうさぎを探せば良かった。どんなことがあろうとも、そうすべきだったのだと。