九章 数多の涙とその代償

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 ボクとルナ、そしてせつなと亜美は最後の望みを懸けて、ある一つの可能性を実現化できるように夜を徹してデータを集めていた。

 発想の転換だ。思念体には攻撃できない。ならばせめて、シールドを張ることはできるのではないだろうか?
 亜美が発案したこの理論が、残された最後の道だとボクたちは決断し、そのタイミングやシールドの張り方などを様々な方法でシュミレーションしていた。
 絶対に諦めない。折れそうになっている衛の心も、危険に瀕しているうさぎの体も、きっと救ってみせる!
「アルテミス!」
 せつながボクのことを興奮気味に呼ぶ。
「これは! よし……!」
 この方法なら理論上可能だ。まだやったことのない方法。ボクたちの戦士の団結力と新しい可能性が試される。
「失敗は許されない。急いで皆を呼び出そう!」
 ボクは美奈。亜美達は他のメンバーに通信機で連絡をしてクラウンに招集した。
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