FF7・ヴィンユフィ短編
*Twilight*
「シドのところの赤ちゃん、産まれてから三ヶ月たったじゃん?だからさ、ティファが『今度皆でお祝いしようよ』て!」
「……そうか」
周囲がぼんやりと闇に包まれ始めたジュノンの街で、一歩先を歩くヴィンセントに向かって喋りかけながら、ユフィは彼の広く大きな背を見つめ歩いていた。
ヴィンセントの戦いでもあった大きな戦いの後、寿命を取り戻したことが明らかになった彼は、旅をしながらWROからの依頼をこなす日々を送っている。
頻度は少ないが、ヴィンセントがWROに来社するようになってからというもの、ユフィは度々彼を捕まえてはこうして近状を話していた。
初めこそ早々に帰られてしまっていたものの、今では返事もするようになり、彼女の歩調に合わせて歩くようにもなった。
ヴィンセントに想いを寄せるユフィはそれをとても嬉しく思い、諦めずに付いて来て良かったと、頑張った自分を胸中で褒め称えた。けれど……
(次は、いつ会えるんだろう……)
ヴィンセントは未だ何処かに身を置くこともせず、広い世界を一人旅を続けている。
以前より会う機会が増えたと言えど、それはWROからの依頼があるからであり、自分の意志で来ている訳ではない。
(……やだなぁ)
また数ヶ月……いや、もしかしたら、WROからの依頼が無ければ、数年間会えなくなるかもしれない。
(このまま……一緒に行けたら)
「……ユフィ?」
ヴィンセントの声で我に返る。
気付けばユフィはヴィンセントに後ろから抱き付いていた。
「あ、あの!え……ええっと!!」
いつも大胆不敵な行動をとってはいるが、街中で、しかも付き合ってすらいない相手にいつものおんぶではなく抱き付いてしまったことに、ユフィは羞恥で顔が熱くなるのを感じ、そして己のしでかした行動に狼狽した。
(どど、どうしよう!どうしよう!!)
自分は何てことをしてしまったのだろうか……。背中から抱き付いて密着するなど、どう考えても無邪気な仲間の仕草ではない。
早く離れて釈明しなければと、身体を離して距離を取ろうとしたユフィだったが、先程感じたの寂しさが湧き上がり、火照る身を再びヴィンセントの背に寄り添わせた。
「……ユ」
「あのさ、その……いつまで、ここにいる?」
息苦しさを感じる程に鼓動の高鳴りを感じ、今すぐ走って逃げ帰りたい衝動に駆られるが、このままサヨナラをして、また会えなくなる方がユフィには辛かった。
「……近々、この近くに部屋を借りるつもりだ」
降ってきた予想外の言葉に顔を上げれば、振り替えったヴィンセントの赤い瞳と目が合った。
真っ直ぐ向けられる視線に心臓が爆発しそうになるが、今聞いた言葉の衝撃が彼女には強く、心の底から溢れる歓喜に自然に口が開いた。
「アンタが?部屋を?ホント……ホントに?うっそ、マジで?!」
「ああ……。WROに正式に加入するとなれば、近くに部屋を借りた方が何かと都合が良い」
そんなに驚くことか?と言いたげに首を傾げるヴィンセントだが、初めて聞いた衝撃的な事実にユフィは驚かずにはいられなかった。
「アンタ、WROに入るの?え、それって……決定?」
ユフィの問いに、ヴィンセントは一つ頷いた。
今までの寂しさは何だったのか……。今では喜びに胸がいっぱいになり、「そっか、そっか」と呟いては口角が上がった。
(これから、もっと一緒にいれるんだ……)
ヴィンセントが銃を置くまで続くのだろうと思っていた旅は終わりを迎え、無理だと決め付けていたWROに加入したことに、ユフィは諦めかけていた希望に再び光が射したのを感じた。
「じゃ、じゃあさ!入社祝いでさ、これから飲みに行かない?アンタが好きそうな店、この先輩ユフィちゃんが連れてってあげる!」
そう言うとヴィンセントの左手を握り、持ち前の強引さで歩き出そうと足を踏み出したユフィだったが、踏み留まったヴィンセントを振り返り、恐る恐る彼の顔を見上げた。
もしかしたら、浮かれ過ぎてしまったかもしれない……。
襲い掛かる恐怖と不安感に呑み込まれそうになりながらヴィンセントの様子を窺っていれば、彼はガントレットで重装備されている左手を掴んでいたユフィの手を外すと、装備のされていない右手に繋ぎ直し、そして満足そうに頷いて優しく微笑んだ。
「では、好意に甘えるとしよう」
繋ぎ直したヴィンセントの優しさと、まるで恋人のような仕草に昇天しそうになりながら、ユフィは満面の笑みで答えると、ヴィンセントの手を引いて歩き始めた。
(こうなったら、ゼーッタイ!!叶えてやる……!)
有り得ないと思っていた現実にこれからの希望を見出だしながら、ユフィはヴィンセントを連れてジュノンの街を突き進み始めた。
ユフィの後ろ姿を見つめる、愛しみを込めたヴィンセントの表情は、彼女に代わりに周囲の人々が目撃していた。
「シドのところの赤ちゃん、産まれてから三ヶ月たったじゃん?だからさ、ティファが『今度皆でお祝いしようよ』て!」
「……そうか」
周囲がぼんやりと闇に包まれ始めたジュノンの街で、一歩先を歩くヴィンセントに向かって喋りかけながら、ユフィは彼の広く大きな背を見つめ歩いていた。
ヴィンセントの戦いでもあった大きな戦いの後、寿命を取り戻したことが明らかになった彼は、旅をしながらWROからの依頼をこなす日々を送っている。
頻度は少ないが、ヴィンセントがWROに来社するようになってからというもの、ユフィは度々彼を捕まえてはこうして近状を話していた。
初めこそ早々に帰られてしまっていたものの、今では返事もするようになり、彼女の歩調に合わせて歩くようにもなった。
ヴィンセントに想いを寄せるユフィはそれをとても嬉しく思い、諦めずに付いて来て良かったと、頑張った自分を胸中で褒め称えた。けれど……
(次は、いつ会えるんだろう……)
ヴィンセントは未だ何処かに身を置くこともせず、広い世界を一人旅を続けている。
以前より会う機会が増えたと言えど、それはWROからの依頼があるからであり、自分の意志で来ている訳ではない。
(……やだなぁ)
また数ヶ月……いや、もしかしたら、WROからの依頼が無ければ、数年間会えなくなるかもしれない。
(このまま……一緒に行けたら)
「……ユフィ?」
ヴィンセントの声で我に返る。
気付けばユフィはヴィンセントに後ろから抱き付いていた。
「あ、あの!え……ええっと!!」
いつも大胆不敵な行動をとってはいるが、街中で、しかも付き合ってすらいない相手にいつものおんぶではなく抱き付いてしまったことに、ユフィは羞恥で顔が熱くなるのを感じ、そして己のしでかした行動に狼狽した。
(どど、どうしよう!どうしよう!!)
自分は何てことをしてしまったのだろうか……。背中から抱き付いて密着するなど、どう考えても無邪気な仲間の仕草ではない。
早く離れて釈明しなければと、身体を離して距離を取ろうとしたユフィだったが、先程感じたの寂しさが湧き上がり、火照る身を再びヴィンセントの背に寄り添わせた。
「……ユ」
「あのさ、その……いつまで、ここにいる?」
息苦しさを感じる程に鼓動の高鳴りを感じ、今すぐ走って逃げ帰りたい衝動に駆られるが、このままサヨナラをして、また会えなくなる方がユフィには辛かった。
「……近々、この近くに部屋を借りるつもりだ」
降ってきた予想外の言葉に顔を上げれば、振り替えったヴィンセントの赤い瞳と目が合った。
真っ直ぐ向けられる視線に心臓が爆発しそうになるが、今聞いた言葉の衝撃が彼女には強く、心の底から溢れる歓喜に自然に口が開いた。
「アンタが?部屋を?ホント……ホントに?うっそ、マジで?!」
「ああ……。WROに正式に加入するとなれば、近くに部屋を借りた方が何かと都合が良い」
そんなに驚くことか?と言いたげに首を傾げるヴィンセントだが、初めて聞いた衝撃的な事実にユフィは驚かずにはいられなかった。
「アンタ、WROに入るの?え、それって……決定?」
ユフィの問いに、ヴィンセントは一つ頷いた。
今までの寂しさは何だったのか……。今では喜びに胸がいっぱいになり、「そっか、そっか」と呟いては口角が上がった。
(これから、もっと一緒にいれるんだ……)
ヴィンセントが銃を置くまで続くのだろうと思っていた旅は終わりを迎え、無理だと決め付けていたWROに加入したことに、ユフィは諦めかけていた希望に再び光が射したのを感じた。
「じゃ、じゃあさ!入社祝いでさ、これから飲みに行かない?アンタが好きそうな店、この先輩ユフィちゃんが連れてってあげる!」
そう言うとヴィンセントの左手を握り、持ち前の強引さで歩き出そうと足を踏み出したユフィだったが、踏み留まったヴィンセントを振り返り、恐る恐る彼の顔を見上げた。
もしかしたら、浮かれ過ぎてしまったかもしれない……。
襲い掛かる恐怖と不安感に呑み込まれそうになりながらヴィンセントの様子を窺っていれば、彼はガントレットで重装備されている左手を掴んでいたユフィの手を外すと、装備のされていない右手に繋ぎ直し、そして満足そうに頷いて優しく微笑んだ。
「では、好意に甘えるとしよう」
繋ぎ直したヴィンセントの優しさと、まるで恋人のような仕草に昇天しそうになりながら、ユフィは満面の笑みで答えると、ヴィンセントの手を引いて歩き始めた。
(こうなったら、ゼーッタイ!!叶えてやる……!)
有り得ないと思っていた現実にこれからの希望を見出だしながら、ユフィはヴィンセントを連れてジュノンの街を突き進み始めた。
ユフィの後ろ姿を見つめる、愛しみを込めたヴィンセントの表情は、彼女に代わりに周囲の人々が目撃していた。