殺人鬼の癖に優鬼してんじゃねぇぞ!!
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今日も元気に出勤。
儀式です。
私も散々この儀式に出されてるものでそろそろベテランになりつつある。
『と、思っているのか…?』
早速、第一村人です。
心音したなぁと思ったら近くにいてビックリして駆け出したがザクザク刺された上治療しようにもずっと下向いたまま走って付いてくるので何も出来ないまま私は倒れた。
『ふぇえ…ひどいよ…知らない子だよ…』
お初にお目にかかるキラーだった。
あうあう、と苦しんでるような声を上げた後彼は倒れた私の前に立ち見下ろす。
禍々しいニコちゃんマスク。
『………??初めましてだぁ~』
「は?」
緊張感のないような声を上げるものだから彼は思わずといったように声を漏らした。
じっと物珍しそうにジロジロと地面に這いつくばりながら見上げる。
初めて見たキラーだ。私が元いた世界ではいなかった。えー、アプデですか?新キラーとか聞いてない~~!!凜ちゃんしか知らないよ~!
「…ジロジロ呑気に見てんじゃねぇ」
『み゛っ!』
ゲシッと背中を踏まれてから担がれた。
それでも運ばれてる最中気になって気になって仕方ないものだから彼に話しかける。
『ねぇねぇ、なにさん?何キラー?』
「うるせぇ。話しかけんな…つーか、もがけよ」
だってもがいても私意味無いもん。非力すぎて抜けられないの。
そう言う前にフックに吊されて私は悲鳴を上げた。
何回も吊るされたがやっぱり痛い。こんな死んでしまいそうなくらい気が遠くなる痛みなのに何回も味わうんだもんなぁ…
ブラリと力なくぶら下がりながら正面を見るとまだいるニコちゃん。
『……え?まじ?キャンプですか?』
「…ちげぇ」
いや、だったらどっか早く行けよ。何ボサっと立ってるのさ。
違うと言いながら彼は他のサバイバーを探しに行くことも無く私を見上げている。これをキャンプと言わずになんという?
『血族でバッチリ見えてるんだからね』
「…そうか。ならこのままお前が死ぬまでいたって構わねぇな。」
『やっぱりフェイスキャンパーじゃん!』
サイテー!と騒いでいれば、「うるせぇ!」って言われた。
『ケバブしない。いい子だ。』
「はぁ?なんだよケバブって…」
丁寧にケバブとは吊られているサバイバーをキラーが攻撃する様子を肉を削ぐケバブに似ているからそう呼ぶんだよ。と教えた。
彼は何も言わずにただ、聞いていた。
『たまにね救助される時とかにね、誤って斬られたり殴られたりするんだよ。めっちゃ痛い』
でも、不思議とそれ以上傷が増えたりとか死ん
だりしないんだよ~すごいね。エンティティパワーだね。とベラベラと話していれば、視界に仲間の姿が見えた。
クエンティン・タランティーノだ。
即吊られた私なんて放って置いて発電機治せばいいのに。キャンプされているし。
あ、一台発電機が治った。
『いいの?ここにいて。キャンプしてる間にあっという間に発電機が修理されちゃうよ?』
ワンチャン離れてくれねぇかなぁ…と、首を傾げてそう呟いてみる。私だって生き残りたい…。
「…助けに来てんの分かってて動くかよ」
マジか、囁き付いてんのかよ。
『えーん!フェイスキャンパー最低!』
「………うるせぇ。」
耐久入っちゃうよぉ…あっち行けあっち行けと、半泣きで騒いでいると目の前の彼がとてつもなく大きなため息を吐いて漸く動き出して助けに来てくれているクエンティン・タランティーノを探し始めた。
やばい、クエンティン・タランティーノまでやられちゃう。
『見捨てでいいよ!発電機治して!』
しかし、クエンティン・タランティーノは彼に見つかってしまった。
一撃切りつけられてしまう。
『わぁん!ごめんね…!!あっ!』
そして、その間にジェイクがいつの間にか来てくれて私を助けてくれた。
「早く行くぞ!」
地面に着地して走る。
離れた所で爆竹の音がしたので、クエンティン・タランティーノが目眩しを使ったのだろう。慌ててその場から走り去った。
しばらく、走り心音がしなくなって物陰に隠れた。後ろから着いてきてくれたジェイクが治療してくれたからようやっと無傷になり、発電機に触れる。
まだ、クエンティン・タランティーノが追われているのだろうか…通電まで頑張ってくれ…頼む…1台上がる。丁度上がったと同時にクエンティン・タランティーノが倒れた。
それから、吊られて悲鳴が聞こえた後、暫くして再び心音がしてきた。
『げ!』と思って板の前にコソリと移動した。凄い速さで走ってくる彼が来た時、
『えい!』
「!?」
苦しげな声を上げて、板に当たる。
『こっち来ないで!』
「…ああ?」
あ、ガラ悪い!
ナイフ片手に青筋立てているだろう彼は私を追う。
「ぜってぇ、泣かす!」
『もう泣いてるんだけど?!』
彼からは殺意しか感じない。
ニコちゃんマークの仮面を付けた彼が私を執拗く追い始めてザクザクと刺された。
『ぴえん…!』
「………」
そんなに刺すことないじゃん!と言うくらい刺されて地に倒れてしくしく泣いていると再び担がれた。
さっきみたいに下を向いて来るのではなく、途中で普通に切られて最後は倒れた。
『うっ、うっ、ひどい…痛い…』
「板を当てやがった仕返しだ」
板ぐらいいいじゃないか!
こちとら刺されたんだぞ!と抗議する前にフックにまた吊られて断末魔をあげた。解せぬ。
もう、発電機は残1。さすがにさっきのようにキャンプしてる場合ではなくなったのか彼は他のサバイバーを探しに行った。
耐久だ~!!エンティティの脚が身体を囲うように鋭く脚が鎌首をもたげて目の前に現れる。
はい、行きますよ。と言うようにそーっと脚がお腹目掛けて寄って来るので慌てて掴んで刺されないように押さえる。ゲームのように最初は思い切り指すようにやられたものだが、私があまりにも真剣白刃取り(?)が苦手すぎて毎回刺さってしまい絶命するので何故か配慮されてこうなった。ありがとうございます。お手数かけます。
因みに初めてこれをトラッパーに見られた時、彼は何も言わなかったが凄く複雑な心境で見ていたと思う。しかし、納得したような感じに頷いていた。
私はエンティティにまで非力すぎて気を使わせてしまっていたのだ。本当にすまない…!腕立て伏せもっと頑張ります!
「…おまえ、何回吊られてんだよ」
しかし私が耐久でエンティティの脚を掴み踏ん張っているとジェイクが再び助けてくれた。ちなみにクエンティン・タランティーノも助けられていた。因みにエンティティのこの優しさ(?)をサバイバーの仲間は恐らく見た人はまだ居ないが、見られたらなんと言われるか…
とりあえず、ジェイクに文句は言おうか。
『好きで捕まってないもん』
「…治療するぞ」
再び治療を受けていたらブザーの音。通電したのだ。
そして心音。
「!おまえ、隠れてろ。オレが引きつける」
『え、でも…』
「お前は後が無いだろ!」と言って彼は走り出した。
私は渋々隠れた。
暫くして心音が無くなり、ゲートを目指して移動する。
しかし、私は馬鹿だからゲートの場所が分からなくなってしまった。
そう、迷子である。
ジェイクが怪我をしている。
やがて、彼の悲鳴が聞こえた。
『う、うう…分からない、分からないよぉ…ここ何処?』
とぼとぼと歩く。
ジェイクはボロタイ持ちの誰かに助けられて、なんとか救助された。よかった。
しかし、また刺された様だ。
そして、ゲートから出た。
『あ、あっち?あっちゲート?』
吊られていた所から近い所かもしれない。もはやハッチ探そうかと思っていたが、ハッチも全然何処か分からず途方に暮れていた。
そっちにキラーがいるかもしれないが、行ってみよう。
そう思った時だ。
『げ、また…』
そう、心音である。
物陰に隠れてみたが、何故か見つかってしまった。
「……何してんだ。お前は」
呆れたような声を出して目の前のキラーはため息を吐いた。
『ゲートが分からなかったんだもん…』
「…馬鹿だろ」
『うう…もう、降参する…吊りなよ…』
痛いのは嫌だが、情けなさと悔しさで死にたくなった。
せっかく助けてくれたというのに。本当に何してんだ私は。
彼はしくしく泣く私を吊ろうと動き出し…
『……?』
「……」
黙って私の腕を乱暴に掴むと、歩き出した。
『なに?どこに連れていくの…?』
「…黙ってついてこい、殺すぞ」
そう言われて口を噤んだ。
暫く歩くとゲートが見えてきた。
「セオ…!」
『クエンティン・タランティーノ…!』
「…スミスだよ…」
出口の前にはクエンティン・タランティーノがいた。まだ逃げていなかったのに驚いたけど、彼もまた私を引き連れてきたキラーに驚いていた。
「チッ!おら、早く行けマヌケ」
『わっ!』
強く背を押されて勢いでクエンティン・タランティーノにぶつかりそうになった。
彼は私を受け止めて、戸惑ったようにキラーを見た。
「なんのつもりだ…?」
「殺すぞ?早く出ていけ」
冷たくそう呟いて彼は背を向けてゲートの外へ歩いていってしまった。
『え、あ、ありがとう…!』
私の声にもなんの反応も返さずその背は見えなくなった。
「行こう、セオ」
『うん、待っててくれてありがとう。』
クエンティン・タランティーノは柔らかく微笑んで頷いて歩き出した。
また、生き残れた。
いつものキャンプで火を囲んで、みんなとお喋りをする。
あの見た事ないキラーはなんだったのか。
みんなも初めて出会ったようで様々な対策の意見交換をし合った。
あれは、リージョンというらしい。
新しいキラーで時折、この森は新しいキラーとサバイバーが追加されていくらしい。
キラーもきたという事はサバイバーもきたという事。
『お、おお…』
「?ジェフだ。よろしく」
立派な髭をこさえた大柄な新サバイバーを見て思わず驚いてしまう。
とりあえず、新しい仲間であるジェフと握手を交わして自己紹介をした。
きっとこれからも、キラーもサバイバーも増えていくのだろう。
私のいた世界では凜ちゃんまでだった。アダム先生までだったのだから。
知らないキラーに会えるのは出来れば画面の向こう側でが良かったなぁ。
私はいつか元の世界に戻れるのだろうか?
戻れるなら戻りたい。この世界で出会った仲間のサバイバー達の事は大好きだ。彼らは生きている。画面の向こうでは決して感じることの無かった友情を彼らと育むことが出来たのは凄く嬉しい事だ。しかし、同時に儀式での死の痛みはとても辛いし、嫌である。いつか本当に死ぬんじゃないかと怖くなってしまうのだ。
ふと頭に手が置かれて撫でるようにクシャりとされた。
顔を上げるとジェイクと目が合う。
『なに?』
「泣きそうな顔してんぞ、泣き虫」
その言葉に一瞬驚いて、笑う。
『ジェイクに言われたくない』
「へっ、そうかよ」
ぐしゃぐしゃと髪を乱暴に撫でられて『やめて~』と声をあげた。
それを見て仲間たちが微笑ましそうに笑う。
見てんじゃねぇ!
「そういえば、どうしてあのキラーはセオを吊らなかったんだろうね。」
クエンティン・タランティーノがそう話題を振るとそれを聞いたジェイクの動きが止まり、じっと私を見た。
私は首を傾げてそんなジェイクを見上げた後、クエンティン・タランティーノの方を向く。
『…うーん、多分みんな逃げられたからやる気を無くしたのかな?あと、私の事アホって言ってたし。失礼じゃない?』
「また、優されたの~?ズルくない?オレも優しくされたいんだけど?」
『お黙りエース。ヴィゴの塩漬け唇でも啜ってろ!』
私の返しに「酷くない?あれが塩対応って、やつ?」と隣にいるケイティ(ケイト)にヨヨヨ…と嘘泣きしながら呟いたが彼女は笑うだけだ。
嘘泣きバレバレだよ。
「でも、最近本当に多いわよね?この前もじゃない?」
ネアが頬杖をつきながら私を見て言う。今度はネアを見て私は口を開く。
『でもしっかり吊られてるけどね。生きて帰れるのはいいけど、できればそうゆう時は無傷で返して欲しいよ』
殴られるのも斬られるのも痛いし。そういえば、無傷で帰れたのはヒルビリーの時だけでは?
「まぁ、セオが優しくされてる時はだいたい俺らも逃げられるからな」
「ヒルビリーの時はダメだと思ったよ…」
丁度思い出してたら、デビキンとドワイトがそう呟いた。
あの時は正直ヒルビリーから逃げられるとは思わなかった。ヒルビリーが私と遊び始めたから勝てたのだ。
楽しそうに笑いを零すヒルビリーを思い出して寒気を催し、ぶるっと震えた。
皆がそれぞれ話し始めて私から意識がそれて、何となく再び隣に座るジェイクを見上げた。
彼も視線を感じて「どうした?」という様な目をする。
『うーん、次も優しいかなぁ…』
「さすがにもう、無いだろ。」
『無いかぁ…やっぱり死ぬのは怖いなぁ…皆と生き残りたいなぁ…』
「…」
ジェイクはそれきり黙ってしまう。
私は目の前の焚き火の炎を見つめ黙った。
確かに最近死んではいない。ありがたいのはありがたい。
でも、次こそは分からない。もしかしたら死ぬかもしれない。今度こそゲームオーバーで戻れなくなったら…
キュッと唇を噛んで膝を抱える。
死ぬ前にレイスきゅんには会いたい…。
『なんで新キラーに出会ってレイスきゅんには会えないの…?ありえない…!』
「………」
私は知らない。ジェイクが少し寂しげに見えた私の頭を撫でようと手を上げていたが、私のつぶやきにヒクッと口を引き攣らせていたことを。
それをバッチリ見ていたネアとメグが笑っていた事を。
今日も生き残れた!