殺人鬼の癖に優鬼してんじゃねぇぞ!!
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この奇妙な世界に来てからどのくらい経ったのか。夢なのかなんなのか分からないが、私は現実世界でハマりにハマったゲーム、dbdの世界へと来てしまっていた。
最初夢だやっほほーい!と一人称視点のサバイバープレイを楽しんでいたが、発電機回してたら現れた殺人鬼であるトラッパーさんに『わぁ~!トラッパーさんだぁ~!かっくぃ~!』と感動していたのもつかの間。
景気良く武器を振り上げた腕はそのまま私へ降ろされて。激痛と共に悲鳴を上げることとなる。
無事その後逃げるまでもなく2発目を受けて這いずり。トラッパーさんの逞しい腕に持ち上げられ、担がれて。
フックに吊るされる。
肩爆発したわ。肺も絶対穴空いてるし。
過去最大に悲鳴を上げながら泣いたわ。
そして、救急キットとか他人からの申し訳程度治療で完治とか本当に馬鹿げてる。そんなんで治るとか。(笑)である。
そんな初心者丸出しも数こなせばなんとかサバイバーも板についてくる。因みに板は大事だ。
現実世界の知識も活かせばなかなかに生き残れるのだ!
さっき殺害されたがな!シェイプに立ちメメ!
だが、めげない!めげた所でどうせ焚き火の前に戻されるのだ!
『セルフケア欲しぃなぁ…』
ブラットポインツを振りながら呟くが欲しいものは出ないものである。
救急箱が飛ぶように無くなるので私は開始早々いつもチェストを開けにいかないといけない。
ライトや工具箱は途中で出会った仲間に押し付けるスタイル。
因みに救急キットは出ない時もあるので悲しみを背負うこととなる。
仲間に依存するしかないのだ。
ありがとうねクローデット。すぐ飛んできてくれる。
だいぶ馴染んできたサバイバー組と焚き火を囲んで色々話したりもする。
勿論現世での話をしたがなんも信じてくれない。まぁ、構わないがな。
『因みに私の最推しはレイスきゅんです』と言ったらうげぇって顔をされた。そんなドン引かんでもいいのに…。(しょぼん)である。
そんな推しのレイスきゅんに私は今だ出会えてないわけで。
このサバイバー達の中からランダムに4人選ばれて儀式に向かうので、当然出番がない日とかもある。そうなってくると、なかなかお目当てのキラーなんぞ当たらないわけで。
たまに他のサバイバーがレイスきゅんに会えたりするのでハンカチをキィー!と噛み締める日々である。
因みに土日祝日はお休みである。会社かよ。
そんなこんなで出勤です。
『爆音ドクターぁあああ~~~!!』
隠密無効。自分の居場所をキラーに自分で教えてしまう恐ろしい特殊能力の彼に当たってしまい最速見つかって散々電気浴びせられた上に鉄の棒(トゲトゲ)で殴られ這いずりである。
『………?』
だが、しかし持ち上げない。
そのまま放置して他のサバイバーを探しに行ってしまった。
ポカーンとして助けを待つと、ネアが来てくれて起こしてくれた。
1段階回復した後は『ありがとう』と言って元気を取り戻して再び走り出す。
セルフケアがないのでチェストを漁りに地下へ行った。
だがしかし、チェストを漁っている最中ビリビリと足元へ電気が集まってきている。
あ、これ来るじゃん。
案の定階段降りてきたドクターに涙目でチェストを締める。漁ったままだ掴まれてしまうからだ。
『んぎゃっ!!』
そして叩かれる。
当然自己治療できない私は完治した状態ではない為そのまま倒れふす。
今度こそ地下なわけだから吊るされるはず。
「………」
『………』
だがしかし、ドクターは無言で見下ろした後踵を返して地下から出ていった。
『…は?なんで?』
その後も私も仲間も攻撃されては這いずり放置されるというよく分からない状態にされる。
決して吊らないのだ。
『あの…、』
「……」
とうとう、通電したらしくブザーが鳴った。
流石にあまりにも這いずり放置された私はもう、失血死寸前で恐らく仲間を待てない。
なので気になることを聞いてみようと思った。
『なんで吊るさないの?』
だけど、彼はじっと見下ろしたままで何も答えなかった。
『ゲート開いちゃうよ?みんな逃げちゃうよ?』
言葉は帰ってこない。
あ、あとすこしで死ぬなぁ…そう思ってくたりと上げていた頭を地に下ろす。
あーあ。生き残れるチャンスだったのに。
今回はダメかぁ…
レイスきゅんに会いたかったなぁ。
目を閉じた時、身体を持ち上げられた。
ああ、漸く吊るすのかぁと頭の端っこでそう思っていたけど、担いだままいつまでもドクターは歩き出さない。
「…抵抗しなさい」
『……?』
漸く喋ってくれたけど、意味が分からなくて首を傾げる。そして、失礼だけど見た目に反して意外と優しい声だった。
彼は暴れずじっとする私にため息をついてやがて歩き出した。
フックをいくつか通り過ぎた時だ。
ゲートをくぐって彼は私を降ろした。
『………いいの?』
ぺたりと地に座ったまま彼を見上げる。
歪な笑顔を象った彼の表情はイマイチ分からない。
「早く行きなさい。」
死にたいわけじゃないから、お言葉に甘える。
『お礼は言わないよ。』
「いらない」
ちゃんと返ってくる言葉に嬉しくて少し笑顔になる。もう少し話したいけど、本格的に出血死しそうなので私は境界線へ這いずった。
『今日のドクター優しかったね。』
私をゲートまで担いでくれたんだ。
そう言えば、みんな不思議そうな顔をして「なんだったんだろうね?」と首を傾げてた。
全員生還なかなかない事なのでちょっとお祝いしたいものだ。
『ブラットポイントでお酒とかオードブル交換出来たらいいのにね。』
「いや、そりゃありがたいけど。無理でしょ。」
『えー?神様だから出来るんじゃないかなぁ。』
「…あんたってエンティティの事何気に信仰してるわよね。ありえない」
『…この世界で頼れる神様はエンティティしかいないじゃないか。』
うげーって顔をしているネアに『その顔ちょっとブサイクよ』って返したら「言ったわね!」と笑いながら頬をムギュっと手で掴まれた。
「ほーら、あんたもブサイクー!」と言われて抵抗してネアの頬を同じようにムギュっと掴んだ。互いに変な顔になって笑い出す。
それを周りの仲間たちは呆れたように(でも少し笑ってた)見つめていた。
『え?あ…ある…交換できるよ!お酒とオードブル!』
「まじ?!最高!」
さっきまでエンティティの事悪く思ってたのに、現金だなぁと思いながら私はお酒とオードブルを交換した。
セルフケアはまたこんど。今日はパーティだ。
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