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パシャリ…
突然そんな音がしたものだから周りを見渡したら物陰に見えた白いマスク。
今日のキラーはゴーストフェイスだ。
慌ててその場から駆け出して逃げる。
トーテムをもぎもぎしてたらこれだよ。
ファーストチェイスを頂いてしまったわけで。
何とか時間を稼ぎたい。
『……?』
しかし、暫く走っていると心音がしなくなった。
追いかけるのをやめたのか?いや、もしかしたらしゃがんでこちらに来ているかもしれない…
油断はできないと警戒しながら次の発電機のある場所まで歩いた。
すると小屋の近くに発電機が1台あるのを見つけた。
私はソレを修理し始めた。
遠くで仲間が斬られた。どうやらターゲットを変えたらしい。
しばらくするとドワイトが合流してきて共に修理を始めた。
ドワイトがいると修理が早く済むから有難い。早く終わらせて帰りたい。
そう思いながら手を動かしていた時だ。
仲間が吊られた。
この発電機を終わらせたら救助に行こう、あと少しだ。そう思っていると、
ドワイトが「あ」と声を上げた。
私がなに?って言う前に。
私の身体は中に浮いた。
『ひぃえっ!?』
思わず悲鳴を上げる私を軽々と担ぎ上げたのは先程出会ったキラーゴーストフェイスだった。ドワイトには目もくれず彼は歩き出す。
吊られたくない。キャッチされてしまうという最悪の自体に涙が滲む。
精一杯暴れてみたけど小屋から近い場所だったためそこに地下があるらしく彼はそこへ迷わず進んだ。
地下だなんて、ああもうダメだ…必死に暴れる。この長いピロピロしたやつなんて!
邪魔!とソレを掴んでグイグイ引っ張ってやれば、「あ、ちょっ…!やめろって!」とマスク越しに声が聞こえた。
お前がやめろ!とジタバタ暴れていればゴスフェは「ちょっと、写真撮るだけだから!吊るして写真撮るだけだから!」などと意味不明な事を言い出した。
『痛いの嫌!承諾できない!写真撮るな変態野郎!!』
「え?口悪い!!全然見た目に合ってないんだけど?!」
何故かショックを受けたように声を上げてゴスフェはそれでも逃がさないようにガッチリと腕に力を入れてきた。
そうこうしているうちにフック前に運ばれてきてしまった為「よいしょっ」とか言って私は吊るされた。
フックの先が肩に突き破り断末魔を上げる。
死ぬんじゃないかってくらい痛いのに(実際死ぬ)、毎回儀式の度殺人鬼に吊るされるものだからやってられない。
しかも、今回最悪な事に痛みに呻いて泣いているというのに目の前にいるクズ野郎は写真撮っている。
絶対に…絶対にディサイシブキメてやる…!もしくは死ぬほどライト当ててやるし、板も当ててやる…!!
「ね、痛い?痛いの?可愛いね。泣いてる顔可愛いね」
『…うるさい、死んで』
こんなにお喋りな奴だと思わなかった。
今まで喋らなかったくせに。今日に限ってこんなに喋るなんて。
「痛すぎて漏らしたりしてないの?」
『?!』
そう言ってスカートの裾を持ち上げてきたので咄嗟に思わず、
「ぐぎゃ!?」
蹴り上げてしまった。
ゴスフェからくぐもった呻き声とカシャンとカメラが足元に落ちた音と同時に、既に近くで待機していたドワイトが蹴られて呻くゴスフェを2度見しながら私を救助した。
『わ、私は悪くないもん!』
「いいから早く!」
ドワイトに引っ張られながら地下を後にする。
「う、クソ…バカにしやがって…!」
ゴスフェが落ちたカメラを拾い上げて追ってくる。
あ、これケバブされるかも…
とにかく死に物狂いで走り抜けた。
そうして一撃目はボロタイで切り抜けられたが、板の読み合いで負けてしまい再び地面を這いずる。
「ふぅ、やっと捕まえた」
『うう…』
ズルズルと這いずりながらなんとかそれでも逃げようとしている後ろでまたカシャカシャ写真を撮る音がした。腹立つ。「これも撮っとこ~」じゃねーよ!
「よし!じゃ、もう1回吊るして写真撮ろう」
そう言って私を担ぎあげたゴスフェのご機嫌な肩に目掛けてガラスを思い切り突き刺した。
『もう1回遊べるドン!!』
「いっだぁあああ!?」
着地して走り出す。まだ板がある場所、あそこならまだある。
「あーー!もう!この!抵抗すんな!!」
背後からそんな声が聞こえたが関係ない。
私は逃げる。
結局それから私は通電まで走り抜けた。
だけども最後の最後倒れてしまう。
私が攻撃されたことによりノーワンだということが分かり仲間たちがコラプス中だというのに燃えてるトーテムを探し回ってくれていた。
「コラプスで死ぬ姿も写真に納めたいなぁ~」とかふざけた事を言い出すゴスフェに舌打ちしながらゲートを目指して這いずる。制限時間までにこのスピードではとてもゲートまではたどり着けないだろう。
チラリと辺りを見渡せば、燃えてるトーテムをなかなか見つけられないのかバラバラと走り回る仲間のオーラが見える。
もう、逃げて欲しい。コイツは私にだけずっと付きっきりだし、生き残れるならみんな生き残って欲しい。
きゅっと口を結んで前へ前へと這いずる。
『う、』
「なぁ~諦めなよ。どうせ誰も来ないんだから。ゆっくり俺と最後を迎えようよ」
背中に跨って座られて重くて動けない。
『ちょっと…!ルール、違反じゃないの…!?』
「何が?あんただって蹴ったじゃん。あれだってルール違反なんじゃないの?」
『あ、あれはスカート捲るから…!』
後ろを振り向いて抗議をした時だ。
思わず『あ、』と声を上げた。
私が声を上げた瞬間、ジェイクが手に持っていたフック(恐らく壊して落としたやつ)を思い切りフルスイングしてゴスフェを叩き飛ばした。
………え。
驚いて固まっているとジェイクはフックを投げ捨てて手早く私を治療し立たせ、それから手を引っ張って走った。
振り返ったゴスフェは気絶しているのか死んでいるのか分からないがピクリとも。ピクリとも動かなかった。
ジェイク、前科一犯。そんな言葉が頭をよぎった。
『じぇ、ジェイク…?』
「ん?」
ゲートまで手を離さずにいた彼はなんて事ないような顔をして私の方を見た。
『ルール違反では?』
「…アイツもルール違反だろ?早く出るぞ。」『あ、』
ぐいっと手を引かれてゲートから出た。
手、まだ繋いだままなのか…。
後でエンティティになにかされなければいいけど。そんな心配をして思わず彼の手を強く握ったら、彼も強く握り返してくれた。
「………はあ?」
エンティティは爆笑している。
今までにない抵抗を見せたサバイバーにご満悦であった。
ゴーストフェイスは逆に不機嫌で最悪な気分だった。頭痛いし。
大の字で空を見上げたまま「やってらんないっすわ」と呟きながらカメラを手に取り撮った写真の画像を見た。
「………」
彼女の映る画像に指を這わせて笑った。
「みて、すっげー可愛くない?まじアンジェ」
「………」
写真を見せられているジョーはウンザリしたような顔をして適当に相槌を打っていた。
ジョーと一緒にいたフランクも興味なさげにしており最初こそ写真を見ていたが、今はジュリーと会話をしていた。
「可愛いんだよなぁ~…見た目が超タイプ。次こそコラプス死する所を撮りたい…!」
うげっという顔をしながら趣味の悪い…と言うジョーの後からスージーが写真を覗き込んだ。
「あ、この子。いつも板当てた時とかストライクやってきた時に『ごめんね』って謝ってくる子だ。」
「え?」
それを聞いて、ジュリーも写真の人物を見ようと覗き込み、「ああ、この子。そうそう、なんか謝ってくるわよね。すっごく申し訳なさそうに」と言った。
「え、嘘だ~。俺謝られたときないけど?」
ゴーストフェイスがそう呟くと、フランクもジョーも「そう言えば、謝ってくる女がいたな。あんま気にしなかったが、コイツだったのか…」と口々に言い出した。
「なんか、優しいし可愛いから逃がしたくなっちゃうんだよね~…」
「バカ、スージーだめよ。逃がすなんて」
彼らのその言葉を聞いてゴーストフェイスは何故かショックを受けた。
「え?彼女結構口悪いよ?俺蹴られたし!」
まさか、そんな。
リージョン達はポカーンと一瞬黙ってから口々に、
「嘘だ。」
「ありえない」
「そんな感じには見えないが」
「あんたが何かしたんだろ?」
と言われる始末。
ゴーストフェイスはちょっと悔しい気持ちになった。
次会った時に問いただしてみよう。あと、コラプス死も撮らせてもらおう。
ゴーストフェイスがそんな事を思っている間に、遠くにいる彼女が寒気を感じて震えた。