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『はぁ、はぁ、』
もうどのくらい走っているのか。
私は吊られた仲間を助け出した後、すぐ戻ってきた殺人鬼に見つかり追われた。
また、仲間が吊られてしまう!とわざと殺人鬼の前に出て行けば一撃肩へ走る痛み。
逃げて!早く!
仲間の背を見届けて、私は走る。
ーーそう。それからだ。私はずっと追われている。
『はぁ、はぁっ』
息も絶え絶えに必死に走る。
少し振り返れば、すぐ後に恐ろしい仮面をつけた大柄な男がついて来ている。
『なん、で…』
再び前を向いてジグザグに走る。
もう、とっくに追いつかれているのに彼は一向に攻撃してこないのだ。負傷した肩を押さえて必死に逃げる私の後をひたすら追う。
私は決して避けるのは得意ではない。
なのに、
カーンッ!
と障害物に当たる音。
彼の振り上げた肉包丁がすぐ隣へ振り下ろされたのだ。
そう。わざと攻撃を外してるのだ彼は。
途中仲間がすれ違おうが発電機が直されようが。
彼は私から離れず永遠と追ってくるのだ。
(なんで…)
いやだ。もう来ないで。
どんなに逃げても一定の距離を保ってくる。追われる恐怖と疲労に限界を迎えてる身体はすぐにでも倒れそうだった。
よせばいいのに少し振り返って再び彼を見れば、
『ひっ、』
笑ってる。
くくく…っと声を出して、肩を震わせ。
ギラリと目を光らせて再び追ってくる彼は楽しんでいた。私が必死に逃げてる様を見て。
ゲートが通電してブザーが鳴る。
それでも彼は私から離れず追ってくる。
『や、だ…もう、や』
必死に前へ前へ走る。
だが、とうとう。恐れていたものを私は踏んでしまった。
ガシャン。
そんな音が足元からして。
『きゃあー!!』
私の足に噛み付くように発動したトラバサミ。あまりの痛さにもう手遅れなのに外そうと必死に手をかける。
すぐ後ろにいるのだ。このまま担ぎ上げられて私も吊られるのだろう。
『ひっ、うっ、う…』
痛みと恐怖に涙しながら必死に外そうとする。
ドクンドクンと相変わらず煩い心音と背後から感じる視線。
『なん、でっ…』
身体は持ち上がらない。
背後に立つ殺人鬼を見上げる。
月に照らされて見えた目と口が笑っていた。
早くしろ。とでも言うように罠が外れるのを待つように武器をトントンと手のひらへ叩きながら見下ろしていた。
『も、いや…許して…』
私の声を聞いて再び聞こえた笑う声に絶望した。
鬼ごっこは続く。