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しあわせな未来をあなたと共に

正直私はフジに引け目を感じていた。
だからいつも「フジはすごいね」って自然に言ってしまっている。
本心、それしか言葉が出ない。
だけどフジは「トレーナーさんの方がすごいよ」と。
本当にそうだろうか。お世辞にも程がある。
話し込んでいるうちに日もかなり暮れてしまい、フジをそのまま寮に返すのは危ないと感じ、今日はトレーナー寮に泊めることにした。
「トレーナーさんがウェディングドレスを着る...?」
「うん。昔からの知り合いのカメラ屋さんから、私をモデルにして撮りたいって言ってきたの。
本当は乗り気じゃなかったんだけどね、昔から仲良くしてもらってるから、ご好意に甘えてってこと」
「その撮影日って何日かな?」
「確か...明後日って言ってたよ。
上手くフジのレースとは被ってない日で、向こうが都合の良い日で空いてたのが明後日ぐらいしかないって言われたから」
まずいことを言ったのだろうか。
それからフジは黙り込んでしまった。

お風呂に入る中でフジのことをつい考えてしまう。
いつもだったら「ウェディングドレスを着たトレーナーさん、とても似合うだろうな」って返しが来るはず。
だけど無かったということは、私はフジに見切られたのかもしれない。考えてみたら思い当たる節が多すぎだ。
最初フジを担当したときは、フジに対しての劣等感が激しすぎて上手くそりが合わなかった。劣等感は今は無いが、たまに引け目を感じる時は少々ある。
数えきれないほどフジに対して、酷い対応をしてきてる...と風呂の中でそう考えてしまった。
お風呂から出てリビングに向かうと、リラックスした様子のフジがそこにはいた。
本当にフジはスタイルが良くて羨ましい。
同性なのに、フジに対してドキドキするのは何でだろうか。
「トレーナーさんあがったのかい?」
「う、うん。風呂からはあがったよ」
上手く視線を逸らそうとしたが、フジにはお見通しだったようで「私の目を見て」と真剣な眼差しで目を合わせられた。
「お風呂の中で考えてたんだ。
トレーナーさんのウェディングドレスの件で。」
「え?」
「無理なお願いごとだとは分かっているつもりさ。
トレーナーさんのウェディングドレスを見たいんだけど、参加は無理に近いだろうから見ることだけは出来ないかな?
いきなり黙ったのはそのことで頭がいっぱいだったから。変な勘違いをさせちゃってごめんね、トレーナーさん。」
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