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しあわせな未来をあなたと共に

「フジはウェディングドレス着てみたいな、って思うことはない?」
「どうしたんだい、急に」
「ポニーちゃんたちが着てるウェディングドレス風の勝負服をフジも着てみたいのかな?って思っただけ。」
「でもフジならウェディングドレスなんて着こなしちゃいそうで羨ましいな」

「私を宣伝写真に使いたい、ってことですか?」
「うん。○○ちゃんなら似合うと思ってねー」
そう話すのは昔からお世話になっているカメラ屋さんからの言葉。
店でのカタログでウェディングドレスを着た私の写真を使いたい、ということだった。
私は老舗和菓子屋さんの娘ということもあって、街の中でも名前は知られていた。
最初はこんな私がウェディングドレスを来ていいのか迷ったが、昔から仲良くしてくださるカメラ屋さんのご好意に甘えて受け入れることにした。
トレセン学園に帰る途中、いつもは裏方で担当ウマ娘であるフジキセキのことを可能な限り見ていた。
自分のことなんて二の次で、フジキセキのことばかりだった。自分の欲望なんて後回し。
ウェディングドレスなんて縁が遠いものだって思ったが、まさかこんな機会に着るなんて。

学園に帰ってきたときには空がすっかり暮れていた。
「トレーナーさん、久しぶりの実家はどうだった?」
「びっくりした...えっと、のんびりは出来たかな」
「良かった。トレーナーさんと会えなかったのは悲しかったけど、私もゆっくり出来たよ。
でも寂しかったから、今度からは一緒に過ごしたいんだけど無理かな...?」
そんな顔をされたら断れないじゃない。

「分かったよ、分かった。」
私がフジに対して物凄く甘いのは既にお見通しだ。
「でもさっき学園に帰ってきたの、よく分かったね?」
「なんか帰ってきそうだなって予感がして、校門前に行ったらトレーナーさんが丁度いたんだよ。
実を言うとやっぱりトレーナーさんがいなくて寂しかったから、気を紛らわすのにも大変でね...。」
フジは普通にこういうことも照れずに言えるのが本当にすごいし尊敬している。
フジと同じ歳の時の私なんて、友達と何気ない話をして遊んだ記憶しかない。
勉強も出来るよりか出来ない組だったし、何なら馬鹿すぎて補習を食らってたぐらいだ。
それに比べてフジは勉強も出来るし、なんならウマ娘として派手に活躍して。寮長としての仕事も完璧にこなしている。
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