君だけの色で、俺を描いて (花形透)
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白への憧れ
「眠れない時はコレが一番よ」
「ありがと。お母さん」
「じゃあ、先に寝るわね」
「うん。おやすみなさい」
― その日の夜
なんだか眠れなくて、お母さんに一つ知恵をもらった。ひとりキッチンに立って五徳の上に置いたミルクパンを片手にコトコトと牛乳を温めてる。
白っていいな。
白が一番好きな理由は、どんな色にだってなれるから。
嫉妬するくらい潔白で、濁ってなくて
何にも染まってなくて、そんでもって自由で。
固定概念なんて全部取っ払って、記憶をリセットして、頭の中空っぽにして……
そうすれば世界の創造主にでもなった気分で
新しい発想で、とびきり満足できるものが描けるような気がするんだ。
逆を言えば、そうじゃないと良い絵が描けない。
憧れるなー……
これでも一丁前に、ひととおり喜びも悲しみも両方とも味わった。だからもう、恋はいらない。
だからって、今後一生誰とも付き合いたくないなんて思ってるわけじゃないし堂々宣言したわけでもない。ただ今は絵を描くことに夢中になっていたいだけ。
恋をしていたら頭の中はまっさらじゃいられない。
笑ったり、泣いたり、相手の反応ひとつで派手な暖色になったり地味な寒色になったり、時には分かりづらい
くすんだ色になる時だってきっと訪れる。
今現在の自分にとって誰かを愛することは……
端的に言っちゃえば、無駄なこと。それに自分の可能性を潰しちゃうことにだってなりかねない。
だけどあなたは
淀んだこの心を、鮮やかに染めようとしてくるから。
気付いたら、恋に落ちてた ――
一年の時から彼のことが気になってた。
多分、一目惚れだったんだと思う。
結構な頻度で、練習に明け暮れる姿をこっそり見てた。
でも……彼は翔陽のスターだから。チームを盛り立てる大黒柱。なんたって全国を目指してるんだから。
「好き」なんて言葉、安易に発しちゃいけない。
特に私みたいな女に構ってる暇なんてない。
向こうは白で、こっちは黒。秀才の彼と凡才の自分が相反してよく見えてただけなのかもしれない。
「熱っ……」
出来たてのホットミルクをマグカップに注いで一口だけ飲んだ。甘くて、コクがあって、あったまる……
喉を通り抜けて身体中に染み入っていった。
だけど……
せっかく飲んだのに考えすぎてあまり寝付けなかった。
花形君……
がんばって……
