如月のソルティ・チョコレート (牧紳一)
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――
数分して、アニキが帰ってきた。
スリッパと一緒に階段をゆっくり上ってくる音がする。それが聞こえなくなったと思いきや次はコンコン、って私の部屋のドアをノックしてる。
このドアを一枚挟んだすぐ先にいるってのに。
大好きなアニキがかき鳴らす音。叩く音がこんなに恐怖というか不快に感じたのは生まれて初めてかも……
「いもうと、入るぞ」
「……どーぞ」
やば……顔、見れない……
怒ってるだろーな……
キレられても仕方ない気がするようなしないよーな……
心外なんだけど。鬼を外に追い出せて清々してるのに。
さっきから何だろ、この塩辛い気持ち……
こんなチョコ、塩分過多で食べられたもんじゃない。
「アニキ……あのさ『これはお前の分だ』」
「……!」
「妹さんにも渡してくれと頼まれてな」
「え……!?」
突然、キレーなラッピング袋に包まれた小っちゃい箱を手渡してきた。
それにはメッセージカードが添えてあって
" よろしくね " って文字が……
なにそれ……なにこれ……
服を前後間違えて着てたとか、箸を取り違えてたってくらい恥ずいやつ……!
「かのじょのことなら大丈夫だ。
だが、どうするべきなのか分かるよな? いもうと」
「…………」
ボタンを掛け違えてても、アニキは指摘もしないで
黙って見過ごすフリをしてくれる。
気が付くまで、自分で答えを導けって言ってるような話し方。直接そのことは言ったりしない。
一から十まで全部言わないで
あくまで考えさせるような問いかけをしてくるんだ。
ずーっとひとつ屋根の下で暮らしてきて、私の性格を知り尽くしてる。
今何を考えてるかなんてアニキにはお見通しなんだ。
そうだったんだ。
やっと分かった。
このしょっぱさは " 罪悪感 " だったんだ ――。
「アニキ……」
「ん?」
「……今度、謝りたいから……会わせてよ……」
「フッ……」
下を向いてしょぼくれてると、ゴツいジャンボな手が。
頭ポンポン好き! もっとやってー!
大人の女性って感じで気品があってしっとりしてて、めちゃ良い人だった。
考えてみたらアニキが認めた人なんだから変な女なわけない……って、なに許しモードに切り替わってんのよ!
別に……仲良く(よろしく)してあげてもいいけど……
家にいる間は、私が独り占めするんだから!
オフの時のアニキは渡さないんだからね!
「これ、大好きなアニキへ……!」
「!」
「新作の黒蜜きなこ砂糖がけドーナツ……
来年は、絶対に手作りするから!」
「サンキュ。楽しみにしてるぜ」
「お返しはブラドのホワイトチョコがけドーナツね!
花束よりもアクセよりも、絶ッッ対ドーナツ!」
「花より団子か……仕方ないな。
あまりチョコばかり食ってると、ニキビができるぞ」
「いーだ! 青春の証だからいーの!」
甘い甘いとろけるような
濃密な一日になりますように!
ハッピーホワイト and バレンタイン……!
‥‥ The End ‥‥
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